薬学部/薬学科科目 Pick Up

機能形態学

機能形態学は、人間の体の仕組み(解剖学)と機能(生理学)を理解し、知識として修得する医学・薬学分野における必須の学問です。将来医療科学に携わる学生は「ヒトの正常な生命活動がどのように維持されているのか」を正確に学び取る必要があります。そのため、どのような器官がどのような仕組みで働き、その機能を発揮しているのか、また多くの器官がどのように協調して正常な生命活動を維持しているのかを学びます。このように機能形態学で修得する身体の造りと役割についての知識は、疾患の病態や薬物治療・副作用などの理解に不可欠となります。

有機薬化学

医薬品の多くは、天然界に存在する植物、動物、微生物などに含まれる成分、あるいはその成分を基にして開発されています。その構造は、炭素原子からなる基本骨格に、酸素、窒素、硫黄原子などが複雑に結合しています。有機薬化学では、"反応を電子の動きで考える"ことを主眼として講義が進められ、種々の反応機構を学ぶことにより、炭素骨格の構築、官能基の導入や変換、立体選択性などを考察しながら、"ターゲット分子"の合成法を立案できるように講義が組み立てられています。

分子生物学

分子生物学という学問は、DNA(デオキシリボ核酸)の遺伝子情報をもとに生体内で起こる現象を分子レベルで理解するものです。近年、分子生物学は急速に発展し、薬学の分野においても、医療現場では組換え医薬品、抗体医薬品、分子標的薬など分子生物学を基に開発された医薬品が多くあり、医療現場で薬剤師として働く際に分子生物学を理解したうえで業務に携わる必要性があります。そこで、分子生物学という科目を通して、薬学的な基礎知識と実際の医療現場で役に立つ知識を身に付けることができる講義を実施しています。

製剤学

医薬品は、有効性と安全性の両方が必須であり、均一な品質の確保が必要です。この薬物と製剤材料の性質を十分理解するために、物質の溶解について個体物質の溶解過程と速度論、次いで溶解物質の膜透過の基本的理論を学びます。また分散系に必須の界面活性剤の性質について学び、分散系の種類と安定性について学びます。また薬物を製剤化(人に投与できる形にする)して医薬品にする際に使用される製剤用添加剤のレオロジー、流動性、安定性などの物性について学びます。さらに医薬品の剤形を調製するための理論と製剤化について学習します。

衛生化学

衛生化学は、ヒトの生命をまも(衛)ることを目的とする衛生薬学の一分野で、栄養と健康・病気予防、食品衛生・環境汚染物質などの問題を化学的に考えていきます。生活習慣病には、食生活や環境要因が関与しています。栄養素とその消化・吸収・代謝、食品の安全性と品質管理について化学的視点から学んだり、さらには、環境中に氾濫している有害化学物質の生体への影響を回避するために、食品汚染、化学物質の代謝、発がん、毒性などについて理解し、毒性試験法、安全性評価法に関する知識、考え方についても学びます。

薬物動態学

安全で有効な薬物治療を行うためには、薬物の体内での動き(生体内動態)の理解が必要となります。薬物動態学では薬物投与から薬理効果の発現、その効果の消失を規定する薬物生体内動態(薬物動態)として、吸収、分布、代謝、排泄の過程に関する基本的知識を習得します。また、薬物の物理化学的性質や、疾患に伴う生理変化が、薬物動態に及ぼす影響と薬物相互作用の発生機序を理解します。そして、薬物投与後の体内薬物濃度の時間的推移の薬物速度論、薬物体内動態解析法、予測法を学習し薬物投与計画を立案する方法を習得します。

医薬品情報学

医薬品情報は、薬剤師が医療の中でその職務を果たすうえで、基本となる知識と技術です。医薬品の適正使用に必要な医薬品情報を理解し、正しく取り扱うことができるよう、医薬品情報の収集、評価、加工、提供、管理に関する知識を学びます。医薬品は、薬そのものの知識ばかりでなく、その使い方が非常に大切で、常に最新の情報から、最善の治療を実践していかなければなりません。そのためには、エビデンスに基づく薬物治療(EBM)を行うことが必須です。さらに、エビデンスを作っていくために、臨床研究に結びつけることができる知識の習得も目指しています。

臨床コミュニケーション

"薬の専門家"として活躍するためには、医師、看護師、その他の医療スタッフばかりでなく、患者や患者家族と良好な信頼関係を構築することが極めて重要です。良好な信頼関係があってこそ、より有用な患者情報を共有することができ、患者を中心としたチーム医療が成り立ちます。また、患者とよりよい信頼関係を築くことにより、患者が納得できる医療ができます。この講義では、コミュニケーションについての基本的な理念と技法を学び、患者の心理、患者と接する側の不安や苦悩、患者とのコミュニケーションのあり方について学びます。

薬物治療マネジメント

疾患別に、"基礎から臨床まで" を念頭に講義が組み立てられています。1~3年で学んだ薬学の基礎知識に、医学、治療学を組み入れることにより、患者を中心とした医療において、"薬の専門家" として適切な薬物治療に貢献できるように、知識が臨床現場で活用ができるように、症例を中心に、(1)疾患を理解する、(2)患者を理解する、(3)薬物を理解することを3つの柱とし、薬物治療における知識の統合が図れるように工夫されています。また、小グループによる討論を重視し、自発的に問題点の抽出、解決策の提案などができるように講義が進みます。

実務実習

実務実習に先立って実施する事前学習を履修し、共用試験に合格した後、5年次に病院11週間および薬局11週間の合計22週間の実務実習を行います。実際に医療現場における実習を通して、指導薬剤師のもとで関係法規や制度に裏付けされた病院実務および薬局実務を経験することで、薬剤師に必要な基本的な知識・技能・態度を修得することを目的としています。そして、薬物治療に責任を持つことができるようになるために、大学で学んだ知識・技能・態度を紐付けながら、実際に患者さんと接し、医療人としての心構え、薬剤師としての倫理観を養います。

薬学卒業研究・演習

薬剤師として、個々の患者に応じて有効かつ安全な薬物治療を実施するには医療の現場で遭遇する問題を論理的かつ科学的に解決する能力を有することが必須です。配属研究室において創薬化学や医療薬学などに関連した研究課題に取り組み実験・研究技能を修得するとともに、問題抽出能力、調査能力、実験・研究結果評価能力、プレゼンテーション能力、論文作成能力を育みます。この卒業研究により医療人として生涯にわたり科学的視点から常に問題点を発見し、生命科学研究を通して問題解決を図ることのできる能力を醸成します。

  • 情報工学部始動
  • 社会連携センターPLAT
  • MS-26 学びのコミュニティ