特設サイト第30回 漢方処方解説(9)小青竜湯

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    小青竜湯

残暑の厳しかった秋も深まり、目覚めた時や通学・通勤時に、乾いた冷たい空気を感じるようになってきました。そんな空気の中で、キンモクセイの香りに気づくのが私自身のお気に入りの瞬間でもあるのですが、皆さんはどう感じるのでしょうか。

忙しい毎日の中で、ふとしたことで季節を感じたり、一年という時間の流れを感じたり。
ひとそれぞれにチェックポイントがあると思いますが、私の場合は何故だか、それが初夏と晩秋、あるいは初冬のようで、それはいつも空気の温度や湿度と香りによってもたらされます。

さて、今回、ご紹介するのは第11回にも登場した「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」です。
朝晩の急な冷え込みで体調を崩すことが多くなってはいませんか?
鼻がむずむずしたり、ティッシュを手放せなくなったり、大きなくしゃみで誰かを驚かせたりしていませんか?
そうした鼻かぜに応用されている処方です。

漢方薬の処方名のつけ方にはいろいろとあり、葛根湯のように主薬である生薬の名前に由来するもの、また芍薬甘草湯のように構成生薬の名前をすべて並べたものなどがあります。それに対して、小青竜湯の処方名は、中国で天の四方を司る四神のうち東の守り神である青竜に由来するというもので、漢方薬の中では重要な処方とされています。ちなみに、西は白虎で白虎湯(びゃっことう)、北は玄武で真武湯(しんぶとう)、南は朱雀で十棗湯(じっそうとう)とされます。

構成生薬は、麻黄(まおう)、桂枝(けいし)、乾姜(かんきょう)、甘草(かんぞう)、細辛(さいしん)、半夏(はんげ)、芍薬(しゃくやく)、五味子(ごみし)の8つです。
外界からの寒さや冷えからくる風邪様症状(悪寒、頭痛、身体痛、発熱など)を伴い、くしゃみ、鼻水、鼻閉などの鼻炎症状を示すものによく用いられます。

私の場合、鼻の奥がちりちりと痛み、風邪を引いたかもと思ったときに、エキス剤の一包でも服用すると不思議と治ってしまうのですが、皆さんはどうでしょうね。

(2016.10.25)

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