特設サイト第31回 漢方処方解説(10)芍薬甘草湯

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    芍薬甘草湯
  • シャクヤクの苗
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  • カンゾウの苗
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今回取り上げる漢方処方は、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)です。

漢方薬は、ほとんどが二種類以上の生薬を組み合わせて用いるもので、ゲンノショウコやセンブリなど、それぞれ単独で生薬を煎じる民間薬とは違います。
その組み合わせ方には、中国伝統医学あるいは漢方医学ならではの理論があります。
いわゆる伝統医学は、独自の理論体系をもつことが特徴の一つとされますが、それが現代の科学で説明できるかと言えば、まだまだそうはいきません。
そういう点で、なぜ効くのかを理解しようと、私たちの研究対象となるのです。

さて、芍薬甘草湯はボタン科のシャクヤクの根とマメ科のカンゾウ(※1)の根やストロン(※2)を用いる二つの生薬だけで構成されるシンプルな処方で、非常に即効性のある鎮痛・鎮痙薬として知られていますが、その即効性についての科学的理解はまだ十分とは言えません。

中高年の方々の間で、山歩きやトレッキングが流行っていますが、その旅のお供に、あるいはお守り代わりにと、エキス剤を持っていくことも流行っているという話を聞きました。
確かに、いわゆる「こむら返り」の特効薬として知られており、「ゴルフに向かう医師の中には、このエキス散をポケットに忍ばせている方もいますよ」という逸話もありました。足がつったときに服用すれば、割合早く筋肉の緊張も解け、痛みも緩和されるものですが、甘草が大量に用いられていますから、その副作用も懸念されます。

ドラッグストアにもエキス製剤があり、入手もできますが、くれぐれも連用はせず、どうしてもというときの頓服薬として活用して頂きたいものです。

(※1)カンゾウについては、「第10回 ヘビーローテーション」に詳しく記載されています。そちらもご参照ください。

(※2)植物の地下茎のこと。水平根茎(すいへいこんけい)、走出茎(そうしゅつけい)。匍匐枝 (ほふくし) 、匍匐茎 (ほふくけい)ともいいます。

(2016.11.29)

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