大学概要 【2019年度実施分】女子学生のキャリア支援教育

経済学部

No.3

実施責任者山本 雄吾

本事業は,本学部女子学生のキャリア形成・就職活動支援のため,女性経営者・先輩たちによる講演会,ビジネスに必要な実務知識やマナーの修得,国際機関等での活動体験,仕事とくらしの両立を経験するインターンシップを提供するものである。2019年度も引き続き上記の4事業を継続するが,外部の人材育成事業者のサポートを得て,一層効果的な体験提供を計画している。なお,本事業の概要については学部Webサイト「未来をつくる仕事☆わたしのチャレンジ」においても公開している。

関連リンク

2019年12月2日 講演会 「ネパールの持続可能な観光を通した歴史遺産の保護」 受講報告

2019/12/17

 2019年12月2日、国連ハビタット(UN-HABITAT)・福岡県国際交流センター主催の講演会に参加しました。国連ハビタット・ネパール事務所のパドマ・ジョシ事務所長ならびに坐間昇気候変動専門官より、「カトマンズ盆地における持続可能な観光及び歴史遺産のための緑の成長プロジェクト」の背景や事業内容をうかがいました。

■複合的なアプローチの立案、さまざまなパートナーとの事業連携 [大谷遥香 (経済学科3年)]
 ネパールでは、歴史遺産が危機にさらされています。都市の拡大、ネパール経済・生活様式の変化、伝統的な技術・知識の喪失などが主な原因で、ことに2015年のネパール大地震後、拍車がかかっているそうです。近年の経済・社会変動のなか、有形・無形遺産に対する人々の思い自体が衰微していることも課題であると、パドマ・ジョシ氏は指摘されていました。
 国連ハビタット・ネパール事務所では、2018年より、「カトマンズ盆地における持続可能な観光及び歴史遺産のための緑の成長プロジェクト」を、ブンガマティという歴史遺産居住区域で展開されています。この地区は人口約4,000、世帯数1,000あまりで、その歴史は14世紀にまでさかのぼるという歴史のある街です。大地震の時には、およそ900戸の2/3が損壊しました。その復興事業において苦慮されたことは、人々が暮らしてきた歴史的な価値のある建物の再建だけでなく、住民の生計をどのように立て直してゆくのかという点でした。
 本事業では、「歴史遺産」の保全に加えて、「地球・自然環境」との調和、「観光」を軸にした産業の振興をはかるという、複合的なアプローチがとられました。そして、特に若者、女性、都市貧困層が、プロジェクトのターゲット・グループとされました。パドマ・ジョシ氏は、「持続可能な開発目標」(SDGs)に照らせば、「8 働きがいのある仕事と経済成長」、「11 住み続けられるまちづくり」、「12 持続可能な消費と生産のパターンの確保」を視野に展開する、政府、地方自治体、国際機関、民間部門による「パートナーシップ」事業であると解説されました。
 ネパールへの国際協力プロジェクトの下調べを通じて、私の念頭には、水道、道路、水力発電、学校建設など、各分野にて実施される個別の取り組みがありました。国連ハビタット・ネパール事務所の方々が、上述の通り、歴史的な街の震災復興という場面において、建物の再建のみならず、地域経済の活性化、貧困削減、気候変動への対処までをひとまとめにして事業を立案され、多様なアクターと連携して実施されていることに驚嘆しました。複合的な事業の企画・構想、そして運営の仕方を学ぶ貴重な機会となりました。

■事業の運営は地元住民組織とともに [榊原えれ奈 (産業社会学科2年)]
 本事業のコミュニティ・レベルでの活動内容については、伝統的家屋の再建への技術支援(耐震性の強化を含む)、公共インフラの整備、歴史的建造物の修復などに加え、観光振興の一環として、海外からの来訪者へのアメニティ施設の整備も、ひとつの柱に掲げられています。そして、このような事業の運営には、住民の参加が促されています。
 ネパール大地震では、都市に水辺空間を創出している池も被災しましたが、その瓦礫の除去にあたっては、重機を用いずに、地域住民が自らの手で作業を進めたそうです。スライド上の写真を拝見しながら、人々が有形・無形の遺産へ寄せられてきた思いを呼び覚ますきっかけとなったのではと感じました。
 持続可能な観光を通した歴史遺産の保護、地場産業の活性化に関しては、地元の祭り・舞踊、稲作、木彫りなどの体験のほかに、サイクリング・トレイルなどの整備を通じ、ネパールの歴史・文化を、身をもって経験できる工夫が次々になされています。この体験型観光のブランディングにあたっては、SDGsの「12 つくる責任、つかう責任」が強く意識されています。
 最後に、今後、本事業を通じた支援終了後も、プロジェクトが地元の住民組織などによって円滑に運営されるように、「制度的な持続可能性」も十分に考慮したプランニングがなされているとのお話もありました。
 私たちは、国連ハビタットの英文報告書をゼミで読み進め、まちづくりに関わるさまざまな観点について学びを深めてきました。今回、ネパール事務所での取り組みをうかがうなかで、いくつかの重要な用語を聞き取ることができ、プロジェクトへの関心が一段と高まりました。事前にネパールについて資料を収集した際、「停電」が課題と記されていましたが、近年は水力発電により状況が大いに改善されたと坐間昇氏よりご教示いただき、開発の成果が着実に現れていることを実感しました。「SDGs」にもとづく観光の発展を通じて、海外との交流が高まり、当地に暮らす女性が自由に活躍できる場が広がることも願いました。

[担当: 谷村光浩]

ACTIVITY

ワークショップ「あなたの未来を考えよう!」を開催しました。

2019/06/18

 経済学部では、就職について漠然とした不安やもやもやを抱えている方のために、令和元年5月30日(木)および6月13日(木)の2回にわたり、自分の未来の描き方を考える連続ワークショップを開催しました。
 講師にパブリック・ハーツ(株)代表取締役の水谷香織様をお迎えし、第1回は「未来ってどう描くの? -未来志向の考え方-」のテーマで、「情動を伴った想像をする」という体験を通じて自分の未来を描く技法を習得しました。続いて第2回は「夢は本当に実現するの? -学生生活が変わる!夢の実現方法-」のテーマで、「あなたの夢【未来】が、あなたの学生生活【今】を変える」という未来志向の考え方を理解するとともに、コーチングのミニ体験を通じてその感覚を感得・体得しました。以下に参加者の感想(ふりかえりシート)を示します。

*ふりかえりシート(抜粋)
■本日の気づきをお書きください。また、今後それをどのように活かしていきたいですか?

 自分の中で考えていたよりも、なりたい自分が明確だった。
 人生の目標について、自分の言葉で伝えてみると、よりいっそう「やってやろう!!」という気持ちになれた。
 (これまで、自分が)「ドリームキラー」という人物像にあてはまっていたことがあったかもしれないので、応援する人になれたらいいと思った。
 自分が話すとき、うなずいてくれたり、目を見てくれたりしただけで「自分最強かも・・・」とか思えたので、この感覚を忘れないでいたいです。

 今日一番心に残ったことは、自分にはまだまだたくさん可能性があるということです。私が3か月後、20年後、そして一生をどういう風に生きているのかを考えて発表し、グループのみんなが褒めてくれたことで、絶対できる、やってやろうという自信が持てるようになりました。
 今後は、今日の経験を生かして、まずは自分のことを最後まで信じてあげようと思います。また、友達の夢は絶対に応援してあげることです。批判して、その子の夢を自分が壊すことのないようにしていきたいと思います。みんなの幸せを自分のことのように感じられる人になりたいと思いました。

 自分のやりたいことや夢を否定されずに「できるよ!」と応援されると、やる気や向上心がわいてきて、「できる! この夢叶う!」と自然に思うことができるようになっていて、びっくりしました。
 私も誰かの話や希望を聞いたとき、どれだけ難しくても「できる!」と思ってもらえるような話の聞き方をしたいと思います。自分のやりたいことが前より鮮明になりました。

 今日のワークショップで一番に感じたのは「やりたいことを明確にもつ」ということです。やりたいことがあれば、それに対して行動し、前に進むことができると思う。そして、やりたいことはできると信じることも重要であると感じた。まずは自分がやりたいことをできると信じないと、何もできないと思う。
 自分の考えをアウトプットすることで、より明確になるし、よりやりたいという気持ちが高まる。また、他の人の意見を聞くことで、吸収できるものが多くあると思った。

 今日話した皆さんがそれぞれになりたい自分や楽しい経験を持っていて、それを聞くと自分の考え方を広げるきっかけにもなるし、何よりも楽しいということに気がつきました。今日の経験を通して、人と意見を交わすときには最初から否定的にならずに、まずは「それは出来る」というような肯定的な考えを持って聞いてみようと思いました。

2019年6月10日 講演会「国連ハビタットのアフリカにおける活動」を受講して

2019/06/20

 2019年6月10日、国連ハビタット(UN-HABITAT)・福岡県国際交流センターが主催される講演会に参加しました。ケニアで「持続可能な開発」プロジェクトを糸口に、難民と受け入れコミュニティがともに暮らせる街づくりを展開されている寺田裕佳氏*と、スーダンにて難民・ホストコミュニティ支援、国内避難民の帰還支援を推進される松本夏季氏**より、各事業計画の概要ならびに進捗状況・成果をうかがいました。

■ケニアでのプロジェクトの報告から
 ・近隣諸国から流入する「難民」と「都市化」
 ケニア北西部には、スーダン、コンゴ、エチオピア、ソマリアなどの近隣諸国から多数の難民が押し寄せています。現地では、人道支援に加え、「都市化」への早急な対応が欠かせないそうです。難民の流入と緊急支援は、伝統的に遊牧生活を営んできた受け入れコミュニティの人々にも大きな影響を与えるため、一時的な対処策の繰り返しではなく、難民と地元の人々がともに自立的に暮らしていける街づくりまでを視野に、「参加型」の事業運営が試みられています。
 ・難民と地元の人々が集える公共空間
 従来の難民キャンプは、柵で囲われた閉鎖的な場でしたが、このプロジェクトでは、難民も地元の人々もともに利用できるオープンな公園が整備されたそうです。スライドを拝見し、開かれた公共空間において、難民と地元の子どもたちから大人まで交流が進み、これから一緒に暮らしていく街を、ともに語り合える素地が大いに形成されうることを実感しました。
 ・女性のエンパワーメント
 本プロジェクトが実施されている居住区においては、事業終了後も持続的な発展が可能になるように、道路工事は地元に新設された会社が担うといった工夫がなされています。また、特に女性の雇用機会を創出するため、ソーラーパネルを活用した街灯の整備にあたっては、域外から高額な完成品を持ち込むのではなく、みずから必要な資材を揃え、組み立てられるように支援されたそうです。そうした活動は、安全な街づくりにもつながっていることが分かりました。

 国連ハビタットの報告書には、誰も置き去りにされない「インクルーシブ」(包摂的)な都市経済・社会を形成することの重要性が指摘されていますが、今回のご報告にて最前線での実践例を拝聴させていただき、具体的に少しイメージできるようになりました。
                                            (経済学科3年 大谷遥香)

■スーダンでのプロジェクトの報告から
 ・共通の文化・価値観は、ひとつの鍵に
 南ダルフール州での国内避難民に関する支援でも、避難してきた人々と、支援事業が展開される地元の住民が対象に掲げられています。具体的には、国内避難民の土地の権利を確保することから、女性と若者への自助的な建設技術の訓練、基本的な公共施設・サービスの改善まで、広範な取り組みが計画されているそうです。流入してきた人々と地元住民が、文化や価値観において共通点を見出せる状況にあると、ともに暮らしていくことへの理解が円滑に深まるようです。
 ・環境への負荷を低減する建築用ブロック
 スーダン白ナイル州で進められている南スーダン難民と地元の受け入れコミュニティ住民への支援においては、両者がともに利用できる安全で清潔な町市場とアクセス道路の整備が進められています。特に、施設の建設にあたっては、従来の焼成レンガでは森林破壊をまねくことから、SSB(Stabilized Soil Blocks)という、焼かずに押し固める建築用ブロックの製法が導入されました。この技術は、使用する水の量も抑えることができるそうです。

■質疑応答から
 ・支援の最終局面とは
 難民、国内避難民に関わる支援がめざす最終の段階とは、どのような状況でしょうか。流入してきた人々が元の居住地に帰還することなどが想定されていますかとのフロアからの問いについては、流動者も地元住民も一緒に暮らせる街を、関係者が参加型で描き出し、築き上げていくといったビジョンがありうるとの見方が示されました。

 「国連ハビタットのアフリカにおける活動」を拝聴し、問題を抱える「難民」「国内避難民」とされる人々だけでなく、そうした人々を受け入れるコミュニティへの支援が合わせて必要なことを学びました。また、国内外から流入してきた人々と地元住民がこれからの街づくりをともに話し合う場づくりは、これからの日本にも重要なポイントであると感じました。
                                         (産業社会学科2年 榊原えれ奈)

* UN-HABITATプログラム・マネジメント・オフィサー / カロべイェイ事業担当
** UN-HABITATスーダン事務所 広報担当


[担当: 谷村光浩]

「ANAビジネスソリューションによる接遇・マナー研修」を開催しました。

2019/08/28

 本年度、経済学部では女子学生のキャリア支援のため、「ANAビジネスソリューションによる接遇・マナー研修」を実施しました。これは、ANAのCA経験者による「接遇=おもてなしの心の表し方」を学ぶ、ワンランク上のビジネスマナー研修です。就職活動やインターンシップに役立つのみならず、この先、社会に出て多くの人と出会う際に大切な心「接遇」を理解し、「接遇」の表し方を基盤に、接遇力・コミュニケーション力を高めるための重要なポイントを習得することが目的です。この研修によって、気づく力や判断力を養い、入社後のクライアントとの交渉や社内の関係部署とのコミュニケーションの際にも役立つことを期待しています。
 令和元年8月5日・6日開催の「ANAビジネスソリューションによる接遇・マナー研修」では、講師として宇佐美 佳代様(ANAビジネスソリューション株式会社 専属講師)をお迎えしました。宇佐美様はANA(全日本空輸株式会社)に客室乗務員として入社後、国内線・国際線のパーサー、チーフパーサーとしてフライトを従事されました。また、客室乗務員を育てるインストラクターとして教育・訓練を務める傍ら、多くの社外講演などを務められました。
 研修では、演習と実習を中心に、社会生活におけるマナーやコミュニケーションについて学びました。スピーチの演習や模擬面接では、実習した学生一人一人に対して、講師の宇佐美様から個別に具体的なアドバイスをいただきました。和やかな雰囲気の中、学生は前向きに研修に取り組み、研修が終わる頃には表情や姿勢は見違えるように大きく成長しました。

「ANAビジネスソリューションによる接遇・マナー研修」の参加者アンケート結果が纏まりました.

2019/09/02

 令和元年8月5日・6日に実施された「ANAビジネスソリューションによる接遇・マナー研修」の参加者アンケート結果が纏まりました。
 接遇・マナー研修には1年生から3年生までの学生が参加しました。「研修内容の難易度」については、「やや難しい」という意見と「普通」という意見に分かれ、「研修内容」も「初めて知る内容」という意見から「ほとんどすでに知っている」という回答まで様々でした。しかし、「この研修が今後の就職活動に役立つと思うか」については、すべての受講生が「役立つと思う」と答えており、研修に対する評価の高さがみられました。
 自由記入のコメントを見ると、研修のどういった点を評価していたのかがうかがえました。多くの受講生がまずあげていたのが、面接でどのように対応するのか、一人ひとり細かいところまでアドバイスをもらえた点でした。少人数で個別に具体的に指導していただけた点に対し、受講生の反応がよかったようです。また、ビデオ撮影で自分の姿を客観的にみて分析できた点を評価する意見もありました。
 加えて、講師の先生の丁寧なご指導に対する評価も多くあげられました。さらに、受講生がお互いに刺激しあう場であったという意見もありました。改善してほしい点には、もう少し長期で研修を受けたい、もっと実践の時間が欲しかったなど、受講生の更なる意欲が感じられました。総じて受講生にとって有意義な研修であったことが、アンケートよりわかりました。

自由記入

【良かったところ】
・自分の癖や悪い所など他者の目を通して知ることができた点。
・ビデオで自分を客観的に分析できた点。
・ビデオで自分を見ることができた。他の人からの意見が聞けた。
・少人数だったので、一人一人が悪いところもよいところもよく見てもらえた。積極的な人たちで刺激があった。
・1人1人に先生がコメントをくださったので、とてもタメになりました。就活が近くなったら、また受けたいと思うくらい良かったです。
・1人1人に細かいところまでアドバイスをいただけたのがよかったです。
・ためになる話ばかりで実習があってよかったと思えた。
・話を聞くだけでなく、実際に実践できるところがとてもよかった。少人数で、聞きたいこともとても聞きやすかった。
・常にフィードバックがいただけたので、2日目の改善につなげることができました。これからの将来いつまでも使って行かなければならない内容だったので、これからは常に心がけていきたいなと思いました。これからの就活に役立てていきたいです!!
・高校でマナーの授業があったが、より詳しく教えてくれてよかった。

【改善してほしい点】
・もう少し長期でやりたい。
・2日間あるうちの1日目からもっと実演をしたかったです。
・説明よりももう少し実践を多くしてほしい。
・面接の時の対応をもう少し教えていただけたらなおよかったと思います。
・たまに先生が反対のグループを見て話をされていたときに、聞き取りにくいところがいくつかありました。

2019年10月7日「世界ハビタット・デー 2019」報告: Interview

2019/10/21

Interview

熊谷有美氏
国際連合人間居住計画(ハビタット) 福岡本部 広報担当官

2019年10月7日 アクロス福岡8階

大谷遥香 [経済学科 3年]
榊原えれ奈 [産業社会学科2年]

毎年10月の第一月曜日は「世界ハビタット・デー」。都市や居住環境に関わる諸課題への理解を深め、それらの解決に向けた道筋を探る取り組みが世界的に展開されています。
国連ハビタット福岡本部では、毎年この時期に、アジア太平洋地域の小学校高学年を対象とする「世界ハビタット・デー記念絵画コンクール」が開催され、今年で19回を数えます。このたび、この絵画コンクールを発案され、初回から企画・運営に当たられている国連ハビタット広報担当官・熊谷有美氏に、作品を1点ずつ手に取りながらお話をうかがうことができ、さらには「広報」という活動について貴重な示唆をいただいてまいりました。

■絵は子どもからの「まちづくり」レポート
国連ハビタットに2001年3月に着任された熊谷氏は、同年秋の「世界ハビタット・デー」にむけ、この「絵画コンクール」を立案されました。未来を築く子どもたちには、それぞれの暮らしの場から「まち」を考え、絵を描くなかで「より良い社会」のありようを探るチャレンジを試みてもらうこと、さらには集まった作品から、子どもたちがともに学ぶことに加え、大人との対話も促されることなど、本事業の立ち上げ時からの思いをご教示くださいました。私たちも、作品を一点一点拝見しながら、応募された方々の「メッセージ」を糸口に、いつしかアイデアのやり取りに心を弾ませていました。これらは、まさに子どもからの「まちづくり」レポートです。

■インフォーマル居住地に暮らす子どもにもチャンスを
日本語版の「作品募集要項」には、所属の学校を通じた応募上の手順が記されていますが、途上国などで学校に通えない子どもには、地域コミュニティや国連ハビタットの現地スタッフの方々を通じた提出ルートが確保されています。また、コンクール後には、入賞作品が各月を飾るカレンダーが配布されます。そうした事業のスキームをうかがい、いずれの子どもも「誰も置き去りにしない」ことはもとより、誰もが胸を張って生きていける社会が目指されていることを実感しました。これまでの作品のなかには、「まち」の絵の一部に、「まちづくり」を話し合う人々の場面が組み込まれた絵画もあり、次代を担う子どもが、参加型事業運営を大切に思っていることが推察できました。

■「広報」とは、対話が自然になされるような場をつくること
熊谷氏は、このプロジェクトの企画・運営にあたり、地元の方々を含め、国内外の関係機関と緊密な調整を図られています。私たちがこれから社会に踏み出すにあたり、ステークホルダーとの「コミュニケーション」の取り方なども、おうかがいしたいと考えていましたが、手もとに準備したメモ書きを忘れるほど、会話の弾む楽しい時間を与えていただきました。最後に、「広報」とは、何かの要点を手際よく伝えるということよりも、子どもも含め、広く関心を寄せてくださる人たちが、そうした要点を自ら感じ取れ、語り合えるような場を整えることではないかと感じました。

[担当: 谷村光浩]

2019年12月2日 講演会 「ネパールの持続可能な観光を通した歴史遺産の保護」 受講報告

2019/12/17

 2019年12月2日、国連ハビタット(UN-HABITAT)・福岡県国際交流センター主催の講演会に参加しました。国連ハビタット・ネパール事務所のパドマ・ジョシ事務所長ならびに坐間昇気候変動専門官より、「カトマンズ盆地における持続可能な観光及び歴史遺産のための緑の成長プロジェクト」の背景や事業内容をうかがいました。

■複合的なアプローチの立案、さまざまなパートナーとの事業連携 [大谷遥香 (経済学科3年)]
 ネパールでは、歴史遺産が危機にさらされています。都市の拡大、ネパール経済・生活様式の変化、伝統的な技術・知識の喪失などが主な原因で、ことに2015年のネパール大地震後、拍車がかかっているそうです。近年の経済・社会変動のなか、有形・無形遺産に対する人々の思い自体が衰微していることも課題であると、パドマ・ジョシ氏は指摘されていました。
 国連ハビタット・ネパール事務所では、2018年より、「カトマンズ盆地における持続可能な観光及び歴史遺産のための緑の成長プロジェクト」を、ブンガマティという歴史遺産居住区域で展開されています。この地区は人口約4,000、世帯数1,000あまりで、その歴史は14世紀にまでさかのぼるという歴史のある街です。大地震の時には、およそ900戸の2/3が損壊しました。その復興事業において苦慮されたことは、人々が暮らしてきた歴史的な価値のある建物の再建だけでなく、住民の生計をどのように立て直してゆくのかという点でした。
 本事業では、「歴史遺産」の保全に加えて、「地球・自然環境」との調和、「観光」を軸にした産業の振興をはかるという、複合的なアプローチがとられました。そして、特に若者、女性、都市貧困層が、プロジェクトのターゲット・グループとされました。パドマ・ジョシ氏は、「持続可能な開発目標」(SDGs)に照らせば、「8 働きがいのある仕事と経済成長」、「11 住み続けられるまちづくり」、「12 持続可能な消費と生産のパターンの確保」を視野に展開する、政府、地方自治体、国際機関、民間部門による「パートナーシップ」事業であると解説されました。
 ネパールへの国際協力プロジェクトの下調べを通じて、私の念頭には、水道、道路、水力発電、学校建設など、各分野にて実施される個別の取り組みがありました。国連ハビタット・ネパール事務所の方々が、上述の通り、歴史的な街の震災復興という場面において、建物の再建のみならず、地域経済の活性化、貧困削減、気候変動への対処までをひとまとめにして事業を立案され、多様なアクターと連携して実施されていることに驚嘆しました。複合的な事業の企画・構想、そして運営の仕方を学ぶ貴重な機会となりました。

■事業の運営は地元住民組織とともに [榊原えれ奈 (産業社会学科2年)]
 本事業のコミュニティ・レベルでの活動内容については、伝統的家屋の再建への技術支援(耐震性の強化を含む)、公共インフラの整備、歴史的建造物の修復などに加え、観光振興の一環として、海外からの来訪者へのアメニティ施設の整備も、ひとつの柱に掲げられています。そして、このような事業の運営には、住民の参加が促されています。
 ネパール大地震では、都市に水辺空間を創出している池も被災しましたが、その瓦礫の除去にあたっては、重機を用いずに、地域住民が自らの手で作業を進めたそうです。スライド上の写真を拝見しながら、人々が有形・無形の遺産へ寄せられてきた思いを呼び覚ますきっかけとなったのではと感じました。
 持続可能な観光を通した歴史遺産の保護、地場産業の活性化に関しては、地元の祭り・舞踊、稲作、木彫りなどの体験のほかに、サイクリング・トレイルなどの整備を通じ、ネパールの歴史・文化を、身をもって経験できる工夫が次々になされています。この体験型観光のブランディングにあたっては、SDGsの「12 つくる責任、つかう責任」が強く意識されています。
 最後に、今後、本事業を通じた支援終了後も、プロジェクトが地元の住民組織などによって円滑に運営されるように、「制度的な持続可能性」も十分に考慮したプランニングがなされているとのお話もありました。
 私たちは、国連ハビタットの英文報告書をゼミで読み進め、まちづくりに関わるさまざまな観点について学びを深めてきました。今回、ネパール事務所での取り組みをうかがうなかで、いくつかの重要な用語を聞き取ることができ、プロジェクトへの関心が一段と高まりました。事前にネパールについて資料を収集した際、「停電」が課題と記されていましたが、近年は水力発電により状況が大いに改善されたと坐間昇氏よりご教示いただき、開発の成果が着実に現れていることを実感しました。「SDGs」にもとづく観光の発展を通じて、海外との交流が高まり、当地に暮らす女性が自由に活躍できる場が広がることも願いました。

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