名城大学通信 43 [2012 winter]

名城大学通信 43 [2012 winter] page 14/40

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薬学部は7月23、24日に「高校生体験実験講習会」を開催しました。夏休み中の高校生を対象に毎年開催しているもので、今年度は23日が「毎日の生活と放射線のかかわり―見てみよう、測ってみよう、あなたのまわりの放....

薬学部は7月23、24日に「高校生体験実験講習会」を開催しました。夏休み中の高校生を対象に毎年開催しているもので、今年度は23日が「毎日の生活と放射線のかかわり―見てみよう、測ってみよう、あなたのまわりの放射線―」、24日が「注射薬をまぜてみよう!注射薬の配合変化とその予測―」のテーマで行われました。両日とも50人近くの生徒のほか、保護者や高校教員も参加。特に23日の「毎日の生活と放射線のかかわり」の実験は、東日本大震災に対応した本学の教育支援本部事業の一環としても取り組まれました。薬学部の高橋郁子教務技師(放射線取扱責任者)が、放射能、放射線についての基礎知識を解説した後、7号館3階実験室で、エチルアルコール、ドライアイスで人工的に霧を作り、線源のウラン鉱から飛散される放射線の飛跡を観察する「霧箱実験」が行われました。東海テレビ、CBCの2社も取材に訪れ、霧箱をのぞきこみながら、線香花火のような放射線の飛跡の様子に驚きの声をあげる高校生たちを取材していました。高橋教務技師は「高校生たちは、霧箱の実験を通して放射線に大変興味を持ってくれました。これをきっかけに放射線、放射能に対して正しい知識をもってほしいと思います」と話していました。都市情報学部では東日本大震災の発生を受けて、まちづくりを専門とする立場から、復興に役立つ情報や、発生が近付いているとされる東海、東南海大地震に備えた情報などを発信する場として公開講座を開催しました。これまでに9月29日と11月10日の2回開催され、それぞれ300人と320人が聴講しました。危機管理と生活再建第1回は、都市防災計画が専門で、大震災後、岩手県陸前高田市でボランティア活動にも加わりながら調査を行っている柄谷友香准教授が「被災地区コミュニティの協働を通じた被災者生活再建の実態と課題」と題して講演。「被災者自身がノウハウを学びながら生活再建に向けて主体性を発揮できる支援が必要」などと指摘しました。続いて、交通計画が専門の若林拓教授は、今回の大震災後の道路網の迅速な復旧ぶりを紹介。米国カリフォルニア州での地震災害の調査研究の体験を例に、「日本の風土に調和した危機管理システムを構築していく上で、カリフォルニア州や東北地方整備局の迅速な対応は復旧活動のヒントになり得る」と述べました。また、都市情報学部元教授で岐阜県関市の民生委員・児童委員の松本久司さんが「災害時における民生委員の立場と役割について」のテーマで提言を行い、「大規模災害では自助、共助、公助の割合は7・2・1と言われ、公助は期待できない。今回のような災害では共助が重要な意味を持つ」と述べました。引き続き講演した3人に木下栄蔵教授と昇秀樹教授が加わり、酒井順哉教授の司会でパネルディスカッションが行われました。フロアからの質疑応答を含め、パネリストたちからは「過去の教訓が生かされずに海沿いに家が建てられたことについては、住民の生活の上で判断された歴史もあって難しい面がある」「共助の観点から、自治会を中心にボランティアの組織化を進めていくべき」「一概に被災者というのではなく、救護が必要な人からすでに自立した人までを分類し、どのような支援が必要なのかを見極めていく必要がある」といった意見が述べられました。震災復興と経済政策第2回は、第1部で木下栄蔵教授が「東日本大震災の復興対策が日本を救う」、第2部で経済評論家の三橋貴明氏が「日本の大復活はここから始まる」とのタイトルでそれぞれ講演を行いました。両氏とも東日本大震災の復興対策が現在の日本経済を覆うデフレ脱却につながるとの視点から、予定時間を超えての熱を帯びた講演となりました。第3部としてパネルディスカッションが行われ、司会の昇秀樹教授と大野栄治学部長が加わり、木下教授、三橋氏とともに聴講者からの質問にも答えながら、活発な議論が行われました。放射線見えた!薬学部で高校生が体験実験都市情報学部公開講座「東日本大震災を考える」を開催1343