名城大学通信 44 [2012 summer]

名城大学通信 44 [2012 summer] page 25/44

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空気中、土壌中、水中…私たちの身の回りには無数の微生物が存在しています。身近に存在しながら、なかなか直接感じることは出来ませんが、例えばお酒や味噌、醤油、ペニシリン(抗生物質)を作るのも実は微生物。また....

空気中、土壌中、水中…私たちの身の回りには無数の微生物が存在しています。身近に存在しながら、なかなか直接感じることは出来ませんが、例えばお酒や味噌、醤油、ペニシリン(抗生物質)を作るのも実は微生物。また食品や医薬品だけでなく、例えばソフトジーンズなどの繊維関係やバイオエタノール生産に用いる酵素を作るなど、微生物は我々の生活に不可欠な存在となっています。微生物の生化学・分子生物学を専門としており、バクテリアから研究をスタートし、最近は特に麹菌に注目した研究を行っている加藤雅士教授に研究室を紹介していただきました。微生物の研究には無限の可能性が秘められている我々の身近に存在する微生物。一つひとつは小さいですが、それを合わせると地球上の植物の量全体に匹敵し、種類もはるかに多いと推定されています。例えば、1gの土の中には一億を超える微生物が存在しますが、我々の全叡智を傾けてもわずかその0.1%以下の微生物しか培養・同定することができません。言い換えれば、99・9%以上が未知の世界。しかし、微生物から医薬品となる多くの物質がすでに発見されているなど、今後も有用物質が続々と見つかることが期待されています。だからこそ微生物の研究には無限の可能性があります。基礎研究から応用研究まで研究領域に上限はない現在、応用微生物学研究室では麹菌などの産業用微生物や、花から分離した天然酵母を活用し、基礎研究からお酒の開発のような応用研究まで幅広く研究しています。実は私は八重桜の花から酵母を取り出し、産官学連携で桜の日本酒の商品化を実現させました。これまでにカーネーションやカキツバタ、アジサイなどから優良な天然酵母の分離も成功させており、現在、天然の花酵母を利用した本学オリジナル日本酒を開発中です。その他にも、例えば最新の遺伝子解析手法を用いて醸造過程をモニタリングする研究や、特定の遺伝子の調節機能をもつタンパク質(調節因子)の性質解明といった基礎研究なども進めています。誰でもwelcome!実用化研究から未知の世界の発見まで幅広く研究を進める研究室ですが、学生には自分で物事を発案でき、ポジティブかつコミュニケーション力溢れる人間になって欲しいと思っています。そのため、研究室にはディスカッションスペースを設置。また、自発的に研究が進められるように、そしてどんな職業に就いても経験を生かせられるように、研究の企画書を書いてもらうように薦めています。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・〈研究室を訪れて〉「先生は博識で熱意があり優しくいつも笑顔。研究室はアットホームな雰囲気ですが、実験設備は整っており研究環境は充実しています。やる気次第で興味のある研究を進めることができ、確実に実力がつきますね」と語る学生たち。普段、悪者扱いされがちな微生物だが、人類への恩恵は計り知れない。これらを使いこなし、新たな可能性を開拓する。加藤研究室から社会に貢献する成果が生まれるのもそう遠くない気がした。我々の生活には欠かせない微生物の存在。その潜在能力を解明し、最大限に引き出す。〈農学部応用生物化学科〉加藤雅士研究室加藤教授(前列左)と研究室の皆さん?24 44