名城大学通信 45 [2013 spring]

名城大学通信 45 [2013 spring] page 37/40

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名城大学通信 45 [2013 spring]

排気管が外れたり、突然エンジンがストップしたりと、無念のリタイアを繰り返し、順位も35位?38位と停滞を続けました。「設計段階や製作の過程で起きたミスがあぶり出せないまま、大会に突入してしまった」「走る、曲がる、止まるという車の原点を見直し、無理な設計はせず、遅くとも完走することを第一に考えよう」。第9回大会では3年生だった4年生部員たちの意見でした。大会で使用されるマシンは最大610ccの4サイクルエンジンを搭載した1人乗り。安全に走行できるかを確認する車検が実施され、合格車両は静的審査325ポイント(コンセプト、設計、コスト、マーケティング能力)と動的審査675ポイント(加速性能、旋回能力、直線あり、急カーブあり、S字スラロームありの1周900メートル走行のタイムを競うオートクロス、耐久性、燃費)の合計点を競います。これまでの大会で名城チームは静的審査では上位の結果を残しており、他チームからは「名城さんは最後まで走り切りさえすれば十分上位に食い込めるのに」と、言われ続けてきました。1年生から始まる「卒業研究ゼミ」車両コンセプトが決まると、車両に必要となるフレームやサスペンション、エンジンといった各部品の担当者が割り振られ、設計から製作が行われます。後期試験が始まる1月中には設計を終わらせ、5月完成を目指して製作が行われます。大学の設備では製作困難な部品は、チーム協力メーカーに依頼することになりますが、プロであるメーカー側との交渉では、学生だからという甘さは許されません。部員たちはメーカー担当者との交渉を進めるためにも、授業で学ぶ自動車工学の専門領域を1年生段階から自分で学ばざるを得なくなります。活動は毎日、授業が終わる4時半ごろから夜9時、10時ごろまで。夏休みや春休みは終日活動が続きます。早藤講師は「自動車技術研究会はサークルと言っても指導教員のいない卒業研究ゼミのようなもの。授業時間数に換算したらものすごい量」と語ります。クルマ、モノづくりが好き部員たちに共通するのは車やモノづくりが好きなことです。4年生の山本さんは高校時代からモータースポーツファンで、名城大学にフォーミュラカーを作っているサークルがあることは高校時代に調べました。自動車技術研究会ではステアリング系の部品を担当するとともにドライバーもしました。長谷川瞬さん(名城大学附属高校卒)は「中学校の卒業文集で自動車エンジニアになりたいと書きました」と言うほどです。安藤光信さん(帝京大可児高校卒)も、迷わず入部し、サークルのまとめ役も務めました。「4年間のサークル活動では自動車の知識や技術力もつきましたが、一番得たと思うのはチームをまとめるマネジメント力です」と語ります。山本さんの就職先は地元の大手自動車メーカー。長谷川さんの就職先も愛知県内でスポーツカーのマニュアル変速機を扱う部品メーカーでエンジニアとしての仕事に就きます。安藤さんは長野県にあるオートバイのブレーキパーツで有名な会社に就職しますが「人の命に関わる仕事なのでやりがいがあります」と、夢を膨らませています。3年生の木全俊輔さん(岐阜県立岐阜東高校卒)も、小学生時代はショベルカーやダンプカーなど働く車が、中学生時代はスポーツカーが大好きでした。新主将になった2年生の分部あゆみさん(愛知県立昭和高校卒)の夢は宇宙ロケットの製造です。3人しかいない女子部員の1人ですが「エンジン系、サスペンション系、フレーム系とか、専門知識が深まりました。航空系へのあこがれもありますが、最近は自動車技術の奥深さにも魅力を感じています」。1年生の佐久間崇文さん(愛知県立成章高校卒)も大学選びの決め手になったのはMRTのウェブサイトだったそうです。第10回大会参加全チーム・スタッフが集合(映像提供:公益社団法人自動車技術会)細部まで入念にチェックし、テストを重ねる部品設計に取り組むメンバーたち36 45