ブックタイトル名城大学通信 49 [2015 Spring]
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名城大学通信 49 [2015 Spring]
08|赤﨑勇終身教授のLED研究グループで研究するメリットを教えてください。上山教授(以下上山):我々はそれぞれ別の研究テーマに取り組んでいますが、ベースになっている技術はすべて、赤﨑先生から受け継いだものなんです。一緒に取り組むことで相乗効果もありますし、情報量が多いことも魅力です。竹内准教授(以下竹内):研究の結果は必ず赤﨑先生に見ていただくのですが、いまだに厳しいチェックが入ります。教授や准教授になると突っ込んでくれる人がいなくなるものですが、こうして教えをいただけることに本当に感謝しています。赤﨑先生がよく言われる「研究に王道なし」、つまり地道に着実に積み上げていくという姿勢はもちろん、研究に対するアプローチ、考え方、すべての面で赤﨑先生の影響は大きいですね。岩谷准教授(以下岩谷):我々は学問に携わっているわけですから、学問を発展させるという視点でもチームワークは大切です。|名城大学の研究環境はいかがですか。上山:世界一だと思います。デバイス※1をつくるというところまでしっかりできる、最高の環境が整っています。竹内:研究環境には、最先端の装置はもちろん、経験も含まれます。デバイスをつくるプロセスには、教科書に書かれていないことも多いのですが、その経験という面でも名城は群を抜いています。上山:名城には、先輩から受け継いだノウハウが蓄積しているんですね。たとえ装置が良くても、使いこなせる人がいなければ何もできませんから。岩谷:車とドライバーの関係にたとえると、わかりやすいのではないでしょうか。たとえマシンが良くても、ドライバーが悪いと良いタイムを出すことはできません。ここにある装置は、F1マシンと同じ。良いドライバーがいるからこそ、ポテンシャルを発揮できるんです。上山:LED共同研究センターにある装置は、すべて我々が、何を導入するのか、どういう仕様で購入するのかを考えました。装置の原理に始まり、何ができて何ができないのか、他の研究施設の装置と比べて何が違うのかなどを3人とも理解しています。そして、導入した高価な装置のすべてに、我々の新しいチャレンジを盛り込んだ点も自慢ですね。|未知なるものに挑み続けるモチベーションは?上山:好奇心ですね。こういう実験をしたらどうなるんだろう、自分が立てた仮説は正しいだろうか。そんな好奇心が自分を研究に駆り立てています。岩谷:同感です。見込みを立て、本当にそうなるのかどうかを見たいという気持ちで研究に向かいます。上山:とにかく研究が好きなんですよ(笑)。論文を書くのも、学会発表も、すべてが楽しくて仕方ありません。|先生方の目標を教えてください。竹内:究極の目標は、研究の成果が製品化され、世の中の多くの人に使ってもらうことですね。このため、私は企業との共同研究を進めています。これは学生にとっても良い勉強になり、決められたスケジュールの中で研究を進めていく手本になっています。岩谷:私も産学連携で研究を行っています。赤﨑先生が青色LEDを実現した頃、先生が1人で研究していたのに対し、現在は窒化物の分野の研究者が大勢います。競争が激しくなっている分、実現への時間も短くなっているため、昔なら10年以上かかると思っていたことが、5年くらいでできるようになってきました。上山:私は2006年に、エルシード株式会社というベンチャー企業を立ち上げました。設立直後は代表取締役も務めていましたが、大学教員との兼任は無理だということに気づき、現在は取締役CTO(最高技術責任者)を務めています。このエルシードでは、大学発の技術を工業的にきっちりと完成させてプロトタイプをつくるということを目標にしており、モスアイ構造※2を使ったLEDもエルシードで仕上げました。これを大手企業に採用してもらうための活動を始めたところです。|皆さんにとってお互いの存在は?竹内:赤﨑先生に出会っていなかったら、今の自分はいない。だから赤﨑先生は、ある意味で父親を超えた存在かもしれません。上山先生は、素晴らしい先輩です。岩谷:私にとって上山先生は、よき相談相手ですね(笑)。上山:赤崎先生は、親父のような存在ですが、2人は頼りになる仲間。自分だけだと知識にもできることにも限界がありますが、2人がいるから限界を超えられる。誰が欠けても現在の研究環境は維持できません。竹内:赤﨑先生を父としたら、私たちは長男、次男、三男という関係かもしれませんね(笑)。※1.デバイスLEDチップなど、電気エネルギーを光エネルギーに変換する機能を持った電子部品(素子)。※2.モスアイ構造昆虫のガの眼(Moth-Eye)のような微細な凹凸構造のこと。上山教授は、LEDの表面を光の波長に合わせたモスアイ構造にすることで、光の取り出し効率を飛躍的に高めることに成功している。(写真下右から2つ目)