ブックタイトル名城大学通信 50 [2015 Summer]

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概要

名城大学通信 50 [2015 Summer]

名城大生の夢!一歩踏み出せば、世界は変わる。新しい自分に、きっと会える。それを実現した学生たちのストーリー。0011Real Report理工学研究科博士後期課程1年旭化成株式会社先進デバイス開発チーム吉川陽さん「昨日まで世界になかったものを」めざし、博士号取得に挑戦中。子どもの頃から好奇心が強く、金属を溶かしたり、いろいろな液体を混ぜたりして遊ぶことが大好きでした。高校卒業後は、名古屋大学の化学生物工学科に入学。研究室で尊敬する先生に出会ったこともあり、将来は研究職に就きたいと考えるようになりました。大学院時代には博士後期課程へのオファーもあったのですが、一度大学を出て外の世界を見てみたいという気持ちが強く、化学とエレクトロニクス、両方の技術を生かせる旭化成への就職を決めました。入社後は、研究者として赤外光を発光するInSbなどの成膜に取り組み、MOCVDを用いたInSbの成膜では世界のトップデータを有するようになりました。また、MOCVDでは成膜不可能といわれていたAlInSbの高品質な膜をつくることにも世界で初めて成功しました。順調だった研究者としての日々に転機が訪れたのは、アメリカのスタッフと一緒に仕事をするようになったとき。そのほとんどが博士号を取得している彼らと対等に仕事をするためには、自分自身も博士であることが必要だったのです。戦うチケットすら持っていないことに愕然とし、博士後期課程への進学を決意。役員に直訴することで会社の許可も取り付けました。進学先として選んだのは、名城大学理工学研究科の赤﨑研究室。窒化物の研究では世界トップであること、そして日本一の設備が整っていることが決め手でした。今後はここで、窒化物を用いた高感度の紫外線センサの研究に取り組みます。新しいこと、まだ誰もやっていないことに挑戦できるのが研究の醍醐味。博士号取得後は、海外でも活躍できる研究者として、会社のキャッチフレーズでもある「昨日まで世界になかったものを」めざしていきます。InSb:インジウムアンチモン。赤外線検出などに幅広く利用されている半導体。MOCVD:有機金属気相成長法。有機金属やガスを用いた結晶成長方法。AlInSb:アンチモン化アルミニウムインジウム。三元合金の一種。