学生生活ハラスメントへの対応

はじめに

大学における人間関係は、自由で平等な関係が保証され、互いに相手を尊重しあうことが基盤となっています。ハラスメント(セクシュアル・ハラスメント及びその他のハラスメント)は、個人の人権を侵害するものであり、いかなる場合にも許されるものではありません。

名城大学(以下「本学」という。)は、学生・教職員一人ひとりが個人として尊重され、ハラスメントのない快適な環境で安心して勉学に、課外活動に、研究に、又は執務に専念でき、充実したキャンパスライフを送ることのできる大学を目指して、以下のガイドラインを定めます。

ガイドラインの対象及び適用範囲

このガイドラインは、本学の全ての構成員を対象とします。なお、構成員とは、学生(研究生、科目等履修生を含む。)並びに教育職員等(非常勤を含む。)、研究者、事務職員及び技術職員等(契約職員、派遣職員等を含む。)を指します。

このガイドラインは、ハラスメントが本学の構成員相互間において発生又は問題となった場合に、それが起った場所・時間を問わず、適用されます。

このガイドラインは、ハラスメントが本学の構成員と関係者(関係業者等、就学上・就労上の関係等を有する者)との間において発生又は問題となった場合にも、適用又は準用します。

ハラスメントとは

ハラスメントとは、相手の意に反する不適切な言動(不作為を含む)により相手を不快にさせたり、不利益や損害を与えることによって、本学で学び、研究し、働く環境を悪化させることをいいます。

以下に4種類のハラスメントについて説明しますが、これらが重なる場合もありますし、これら以外のハラスメントもあります。

(1)セクシュアル・ハラスメント

就学上・就労上の優位な地位や上下関係等を利用してなされる男女間又は同性間における「性的嫌がらせ、性的なからかい、性的ないじめ、性的暴力」のことで、多くは次の行為をいいます。

  • 性的要求への服従又は拒否を理由に、就学上・就労上の利益又は不利益に影響を与えること
  • 相手方が望まないにもかかわらず、性的誘いかけを行ったり、好意的な態度を要求すること
  • 就学上・就労上の利益・不利益を条件として、性的誘いかけを行ったり、好意的な態度を要求すること
  • 性的言動、図画・文書の掲示等により不快の念を抱かせるような環境を醸成すること又は人格や個人としての尊厳を傷つけること

(2)アカデミック・ハラスメント

研究・教育の場における、権力を利用した嫌がらせや差別のことです。性別を問わず、研究活動、教育指導、暴力的発言や行為などで相手に身体的、精神的苦痛や負担、もしくは極度の不快感を負わせることをいいます。

(3)パワー・ハラスメント

就学上、就労上の立場を利用して、その影響力を濫用する言動のことです。指導の範疇を超えて継続的に学歴・体型・家族・プライバシーに関することなどを話題にし、人格と尊厳を侵害し不安を与えることや、相手の意に反してその労力を使用したり拘束したりして、不快感を感じさせることをいいます。

(4)ジェンダー・ハラスメント

ジェンダー(社会的・文化的性別)規範を押しつけたり、それを望む言動により、相手を不快にさせることです。性別により差別しようとする意識も含まれます。

ハラスメントのないキャンパスを実現するために

ハラスメントの被害にあったときには

ひとりで悩まないで
ハラスメントを受けたと感じたら、ひとりで悩まずに、保健センター(電話:052-838-2031、メール:hoken@ccmails.meijo-u.ac.jp)に連絡してください。相談に来ることがためらわれる場合は、まず身近で信頼できる人に相談をしてください。相談には家族や信頼できる友人、教職員と一緒に来ることもできます。

記録を残してください
あなたが受けた言動について、「いつ、どこで、誰から、どのようなことかがわかる記録(自筆のメモ・メール・録音等)」を残しておくと、相談や申立ての際に役立ちます。

緊急の場合は警察に連絡を
相手からの暴力行為などで、心身に危険を感じたり、緊急を要する場合は、迷わず周囲の人に助けを求め、警察に連絡をしてください。

ハラスメントを見かけたら

見過ごさない勇気を
集団内でハラスメントの存在が黙認されてしまうと、それが慣習化し徐々に環境が悪化していきます。周囲の人たちもその関係に巻き込まれてしまうため、特に教育、指導、管理監督する立場にある人の果たす役割は重要です。ハラスメントを見過ごさない勇気を持ちましょう。

相談を勧める
ハラスメントについての相談を受けた場合は、必要に応じて相談員(カウンセラー)によるハラスメント相談を勧めてください。その際、相談された人が同行することも可能です。

知り得た情報の扱いは慎重に
相談内容等の知り得た情報については、プライバシーに十分に配慮し本人の意向を尊重し慎重に扱いましょう。

加害者にならないために

互いの人格を対等に尊重する姿勢を持ちましょう。

社会的に形成された性別意識、たとえば「男性や女性はこうあるべき」だという固定的な性役割観などの偏った見方・考え方を押しつけることは避けましょう。

相手が自分の言動をハラスメントと受け止めているとわかったらすぐに止めて、真摯な気持ちと態度で謝罪しましょう。あなたの家族や身近な人が受けたとしたら不快だと思う行為は慎むという心構えが大切です。

反対意見や「ノー」という意思表示がないからと言って、それが合意・同意とは限りません。立場や地位が上の人(指導者や先輩)は十分配慮してください。

学外での言動であっても、相手が教育・研究、就学、就労上の関係のある本学構成員であればハラスメントにあたる可能性があります。

ハラスメントに関する制度

本学は、ハラスメントを防止及び排除するため又はハラスメントに関する問題が生じた場合に、迅速かつ適切に問題の解決及び被害者の救済にあたるため、次の制度を設けて対応します。

防止対策

本学は、あらゆるハラスメントを防止及び排除するために、ハラスメント防止委員会を設置し、次のような対策を講じます。

  1. ハラスメントの防止啓発のためにリーフレットやポスター等を作成し、ガイドラインの抜粋等を学生便覧、広報及びホームページに掲載します。
  2. 研修会及び講演会を開催し、ハラスメントへの理解を深めるよう努めます。
  3. ハラスメントが生じないよう、環境の改善に向けた提言をします。
  4. その他、ハラスメントの防止に関して必要な事項を審議します。

ハラスメントへの対応

本学は、ハラスメントに関する問題が生じた場合に、迅速かつ適切に問題の解決及び被害者の救済にあたるため以下の対応をします。また、緊急性が高い場合には、別途、緊急対応をします。

相談体制―相談窓口(相談員)

本学は、ハラスメントに関する全学的な相談窓口を保健センターに置き、相談員(カウンセラー)が相談に応じます。

  1. 相談の申込みは保健センターに直接来訪するか、電話、メールでも受け付けます。
  2. 相談員の氏名は、保健センターで公表します。
  3. 相談員は、相談者のプライバシーを守ります。
  4. 相談員は、相談者の悩みを親身に聴き、相談者がどうしたいのかを決めるための援助をします。
  5. 相談員は、次に掲げる救済体制について説明するなど問題解決に必要な情報を提供します。また、必要に応じて外部の関係機関を紹介します。

救済体制―問題を解決するための手続き

ハラスメントに関する問題を解決するには、以下の3つの方法があります。

(イ)学内の第三者による非公式な対応
(ロ)合意文書による解決(調停)
(ハ)苦情申立て

どちらの方法をとるかは相談者本人が決定します。
手続き方法については相談員の説明をよく聞いて納得できるまで充分話し合います。

(イ)学内の第三者による非公式な対応

相談者が苦情申立ての手続きは望まないが、相手方に注意・警告をしてもらいたい場合には、学内の第三者(相手方の所属する部署の責任者・学部長・所属長等)をとおして、非公式に対応します。この場合、相談員が人権委員会委員長(以下「委員長」という)に取り次ぎます。

  1. 相談者のプライバシーに配慮します。
  2. 委員長は、第三者に適切な対応を依頼します。但し、事態が重大で大学としての措置が必要であると委員長が判断した場合には、相談者の同意を得たうえで、苦情申立て手続きに移行することがあります。
  3. 依頼を受けた第三者は、適切な対応をします。
  4. 対応の内容は原則として、厳重注意とし複数人の立会いのもとに行います。その際、注意を聞き入れず同様の行為が繰り返し行われた場合には厳しい措置がとられることを警告し、報復行為を行わないよう勧告します。
  5. 第三者は、すべての対応が終了した後で、結果のみを文書で委員長に報告します。

(ロ)合意文書による解決(調停)

調停は当事者間の合意文書による解決法です。この場合、相談員が委員長に取り次ぎ、委員長は直ちに人権委員会を召集し、委員会の中に調停委員会を設置します。

  1. 調停委員会の委員は、公正・中立性を確保するため当該部局の関係者以外から選ぶとともに外部から弁護士等の専門家を加えることができます。
  2. 調停委員会は、当事者間の合意文書による解決に向けて支援をします。
  3. 調停が成立した場合には、調停委員会は、合意事項を文書で確認のうえ人権委員会に報告します。
  4. 人権委員会は、調停委員会の報告を基に結果を学長に報告します。
  5. 人権委員会が大学として環境改善等の措置が必要であると判断した場合には、対応策を付して学長に勧告します。
  6. 当事者間での合意が成立する見込みのない場合には、調停委員会は、調停を中止することができます。この場合、相談者の同意を得て苦情申立ての手続きに移行することができます。
  7. 調停は、相談者の意思によりいつでも打ち切ることができます。

(ハ)苦情申立て

申立人(相談者)が大学に対して何らかの措置をとるよう申立てる手続きです。この場合、相談員が委員長に取り次ぎ、委員長は直ちに人権委員会を召集し、人権委員会が事実関係の調査を必要と判断した場合には、調査委員会を設置します。

  1. 調査委員会の委員は、公正・中立性を確保するため当該部局の関係者以外から選ぶとともに外部から弁護士等の専門家を加えることができます。
  2. 調査委員会は、事情聴取など問題解決に必要な事項の調査を行います。
  3. 調査委員会は、当事者のプライバシーに配慮しながら、二次被害の防止に努めます。
  4. 調査委員会は、原則として2か月以内に調査を終了し、調査結果を文書で人権委員会に報告します。
  5. 人権委員会は調査委員会の報告に基づいて慎重に審議のうえ、結果を文書で学長に報告します。また、救済措置、環境改善または処分等の必要があると判断した場合には、対応策を付して学長に勧告します。
  6. 調査は申立人の意思によりいつでも打ち切ることができます。

緊急対応・緊急措置

  1. 相談員は、事態が重大で緊急性が高いと判断した場合には、できる限り相談者の意思を尊重したうえで、速やかに委員長に報告します。
  2. 委員長は、直ちに人権委員会及び関係部署と協議して対応策を決めます。
  3. 救済手続き中に、申立人が被申立人から報復行為や嫌がらせなどの二次被害を受けた場合には、申立人の安全を確保するため、緊急措置をとります。

本学がとるべき措置等

本学は、ハラスメントの被害者に対し、心理的ケアを含む可能な限りの救済措置をとるよう最善の努力をします。また、被害者等が相談をしたことや苦情の申立てをしたことにより、二次被害を受けることのないよう努めます。

  1. 学長又は理事長は、人権委員会からの報告または勧告に基づき、加害者に対する処分内容及び学内措置等について当該部局・学部等に勧告します。また学長又は理事長は、就学、就労、教育研究環境の改善等必要な措置をとります。
  2. ハラスメントが認定された場合は、再発防止のためにハラスメント防止に関する研修等を加害者に義務付けます。
  3. 本学はハラスメントの問題が生じ対処した場合には、処分内容及び措置について申立人に報告します。
  4. 被申立人が申立人に対して、嫌がらせや妨害、報復等の言動を行うことを厳しく禁じます。もし報復行為がなされた場合には、大学として直ちに必要な措置をとります。
  5. ハラスメントの相談・調停・苦情申立て・事情聴取に際して虚偽の申立てや証言をした者は、学則又は職員規則により処分されます。

守秘義務

ハラスメントに関する相談・苦情処理に関わる者は、任期中、退任後及び退職後に拘わらず、守秘義務を負います。

ガイドラインの見直し

本ガイドラインは、必要が生じた場合、その都度見直し・改正を行います。

施行日:平成17年4月1日
改正:平成27年9月1日

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