Challengers' Action

「手ぶら旅行」ができるサービスをかたちに。
"自分の好き×社会のニーズ"から生まれたビジネスプラン。

中西玄 神谷亮汰 宮嶋海斗

2023年06月08日

ブリッジ・プログラム(2年次以降プログラム)

旅行するとき、大きな荷物を持たず身軽に動けたらいいのに。なんて思ったことはありませんか。この記事でご紹介するHOURDISは、そんな「こうだったらいいのに」を実現しようと挑戦したチームです。自分たちの好きなことと社会に潜むニーズをかけ合わせて、どんな取り組みができるのか。本格的な事業化を目指して続けている活動を紹介します。

アイデアの源泉は自分たちの興味関心。

HOURDISの活動は、2021年度後期のチャレンジ支援プログラムをきっかけにスタートしました。お話を聞いたのは、名城大学理工学部4年の中西玄さんと神谷亮汰さん、名古屋大学工学部4年の宮嶋海斗さんの3人。名城大学と名古屋大学の学生による活動です。

チームを立ち上げたのは、中西さんと宮嶋さん。小中学校の同級生だった二人は、以前から起業に関心があり、ビジネスプランコンテストに事業プランを出すために動き出します。

中西さん:アイデア出しを始めて、最初に思いついたのは、高齢者向けに老人ホームでファッションショーをするというものでした。実際に施設へ行って、アンケートも取ったんです。でも、おじいちゃんおばあちゃんは、着るものにはほとんど興味がないという回答で。このように、アイデアとニーズを探っていきました。

ファッションに着目したのは、宮嶋さんの趣味でもあるから。自分たちの好きなことを糸口に検討したそうです。その中から生まれたのが、現在のHOURDISの事業構想へとつながる、「旅行の不自由を取り除く」というアイデアでした。

旅行に出かけようとすると荷物の準備は欠かせない。服や靴を選び、要るものをキャリーケースいっぱいに詰め込む。駅や空港では大きな荷物を引っ張り、わざわざコインロッカーに預けることも。家に帰ってきた後は、疲れた体での荷解きもしなければならない。「この流れ、もっとスマートにできないか」と二人は考えます。

宮嶋さん:例えば、旅行のために服を選び、持ち運ぶ手間がなくなったら、喜ぶ人はきっといるはず。私たちの好きなファションと旅行が絡められるので、この案を深めていこうと決めました。

中西さんと宮嶋さんが動き出したのが、2022年の年明けから春にかけてのこと。一方で、中西さんと神谷さんは、チャレンジ支援プログラムを通してつながりました。春休みにプログラムの一環で経験した海外の大学との交流で、二人とも触発されたといいます。

神谷さん:カリフォルニア大学バークレー校とオンラインで交流する機会があり、起業している大学生の話を聞きました。同年代の若者が事業を動かしているエピソードがとても刺激的で。「自分もできるだろうか」という思いもあって、ビジネスとして成立を目指すHOURDISの活動に参加しました。

さらに数名のメンバーが加わり、2022年6月の「Tongaliビジネスプランコンテスト」に向けた準備が進められます。

ビジネスプランを積極的に提案。コンテストで企業とのつながりも得る。

HOURDISが実現したいのは「手ぶら旅行」。旅行に出るとき、家から持っていくのは貴重品など小さなバッグだけでOK。着替えなどの荷物はすべて宿泊先に届いていて、チェックインと同時に受け取れるサービスを構想しました。

コンテストの前に、顧客のニーズをはかるためのアンケートを実施。名古屋市の鶴舞公園や岡崎市の河川敷など、人が集まる場所へ足を運び、一人ひとりの声を集めました。「旅行でキャリーケースを持ち歩くことをどう感じているか」「そもそもどのくらい旅行に出かけるか」「ファションにかけるお金は」など、旅行とファッションに関する質問を織り交ぜて、幅広い世代の意識を調査しました。また決まった質問をするだけでなく、個々のニーズを捉えるヒアリングも大切にしたそうです。約1ヶ月かけて、400名ほどの回答を得ました。

中西:アンケートを分析すると、「キャリーケースを持っていきたくない」という声は多い。自分たちのサービスに一定のニーズはあると自信が持てました。

コンテストでは、アンケート結果も踏まえてプランを発表しました。旅行会社などから出ているデータをみると、市場規模もかなり大きい。そうしたHOURDISの提案に対して、改善や要検討の指摘もありつつ、「描いている将来像が面白い」と認める声も。結果、本戦に参加した13チームの中で「右上がり賞」という賞を獲得しました。その後も、積極的にビジネスプランコンテストに参加。2022年11月には、「アイデアピッチコンテスト」の本戦で、「名古屋市信用保証協会賞」と「テクノフジタ賞」に選ばれます。

宮嶋:コンテストでアイデアを示すだけでなく、出場することでこのプランの実証実験のきっかけを得たいとも考えていました。実証実験に直接つながることはありませんでしたが、いくつもの企業の方に声をかけていただき、つながりができたのはコンテストに出た成果のひとつです。

神谷:コンテストでは、さまざまなご意見をいただきました。自分たちとは異なる視点を取り入れ、事業プランをより充実させられたと思います。

HOURDISのメンバーは、企業への直接的な働きかけにも力をいれ、話を聞いてもらうために訪問もしました。企業との連携まで漕ぎ着けるのは決して簡単ではありません。けれど、動き出さなければきっかけは掴めない。次のステップへ進もうと果敢に行動しました。

衣服のレンタルサービスがスタート。サービスの完成に向けて挑戦は続く。

現在は、サービスを「HOURDIS・CARRY」と名付け、宮嶋さんが個人事業で立ち上げた衣服のレンタルサービスと連携して、事業を営み始めています。できることから実績を積み上げ、独自のアプリケーション開発に必要な資金を確保していく。「手ぶら旅行」を叶えるサービスの完成形を目指して、チャレンジは続いています。

中西さん、宮嶋さん、神谷さんは、それぞれどんな気づきや成長を得たのでしょう。

中西さん:もともとは工業分野の技術者になりたいと理系を選びましたが、こうして活動するうちに新しい事業やプロダクトを考えるのが好きだと気づきました。将来的には、自分の力で社会に貢献し、残っていくサービスや商品をかたちにしたい。チャレンジ支援プログラムの経験を通して、自分が何をしたいかがはっきりしました。

宮嶋さん:この活動で、起業家などバイタリティーあふれる人たちに出会えました。まわりの人を巻き込んで事業を起こし、たくさんの人を幸せにする。そんな仕事がしたいと気持ちが高まっています。自分で活動を起こす楽しさも味わえました。

神谷さん:「何か新しいことに挑戦したい」と、名城大学に入学した頃からの思いを実行できました。この活動を通して、お客様や社会のニーズを大切にしながら、何をすべきか優先順位をつける感覚を磨けたと思います。この経験を社会でも活かしたいです。

今後の活動についても意欲的な3人。HOURDIS・CARRYのサービスが、これからどのように進化していくのか楽しみです。Webサイトも開設されており、衣服のレンタルサービスは実際に利用できます。ご興味ある方はぜひチェックして、これからの活動も応援してください。

【HOURDIS・CARRY(手ぶら旅行サービス https://www.hourdis-carry.com/)】

【Mens Prince(衣服レンタルサービス https://mensprince.official.ec/)】