新緑鮮やかに輝く季節、名城大学女子駅伝部は新たなチームでそれぞれが目標に向かって走り始めている。
4月24日~26日に神奈川・レモンガススタジアム平塚で開催された日本学生個人選手権では、3000m障害で3年生の近藤希美選手が優勝(9分59秒67=学生歴代12位)したのをはじめ多くのメンバーが躍動。この春入学した新入生も、同大会や5月7日〜9日の東海インカレ(愛知・パロマ瑞穂スタジアム)に出場し、早くも存在感を発揮している。
なかでも、日本学生個人選手権1日目に同競技場で併催された日本インカレ10000mで、ルーキーの木村真桜選手が32分31秒56の好タイムで2位(日本選手トップ)となり、大きなインパクトを与えた。
チームの指揮を執る米田勝朗監督は、今年の新入生について「長い距離を走れる選手からスピード型の選手まで、それぞれ持ち味を持ったメンバーが入ってきました。みんなすごく素直な子たちです」とうれしそうに話し、チームに良いムードが広がっているようだ。
この春加わった新戦力。その顔ぶれを紹介しよう。
■大谷 芽以(おおたに めい/法学部/静岡・浜松市立高校卒)
中学3年時の全中で1500m3位の大谷選手。高校時代にも3年時に国民スポーツ大会3000mで7位に入賞するなど全国大会での実績は豊富だ。駅伝でも全国高校駅伝に3年連続で出場し、昨年は1区で20位だった。
陸上を始めたのは中学1年時で、当時はバレーボールに取り組むかたわらで陸上の活動に参加していた。中学2年になる頃には本格的に陸上へ転向。「陸上を始めて駅伝に興味を持った当初から、テレビで名城大学が常に先頭を走っている姿を見ていました」と当時を振り返る。「自分も大学生になったらこのチームに入って優勝したいと思い、入学を決めました」と笑顔で話す。
大学初の公式戦となった日本学生個人選手権では1500mで決勝に進出し、4分27秒49で10位。「自分は4月などにはあまり記録が出ない方。それにしては去年のシーズンベストと同じぐらいで走れたので、結構順調です」とまずまずの結果だったそうだ。「インカレで入賞したり、駅伝ではメンバーに入って区間賞を取ったりしたいです」と闘志を燃やしている。
岡本 彩希(おかもと さき/法学部/福岡・九州国際大学付属高校卒)
岡本選手は高校1年時にインターハイ800mで準決勝進出、2年時には1500mでインターハイに出場と、比較的短い距離に取り組んできた。今後もまずは1500mを中心に競技力を磨いていくそうで、日本学生個人選手権では1500mで決勝に進み、12位(4分28秒77)という成績で大学での競技生活をスタートさせている。
駅伝では高校在学中に全国高校駅伝への出場権を得ることはできなかったこともあり、「大学では、駅伝の全国の舞台を走りたい」と考えて名城大学の門を叩いた。
「同級生は実績のある選手ばっかりで、私自身、不安もあるのですが、その中でも結果を残せるように、まずは自分のペースでしっかりやれるところからやりたいです」と、大学での成長を誓っている。
■木下 歩穂(きのした あゆほ/人間学部/大阪薫英女学院高校卒)
中学から陸上に取り組んできた木下選手。出身高校は昨年の全国高校駅伝準優勝の強豪だが、それだけに駅伝メンバー入りも高い壁で、自身の出走は叶わなかった。
大学入学に際し、「もしかするとまた駅伝メンバーに選ばれずに終わる、という可能性もあるとは考えましたが、それでも一度挑戦してみたい」と意気込んで憧れの名城大学へ進学することを決めたそうだ。
個人の種目でもこれまで全国大会出場の経験はなく、大学入学後の東海インカレが自身にとって大きな舞台。その大会では自身初の5000mに挑み、17分06秒37で3位。「楽しく走れました。(他の選手に)ついていくことができ、自信というか、希望が見えました」と手応えを感じ、10000mへの挑戦も見据えている。
名城大学に入学した理由の一つとして、全国からトップクラスの選手が集まる環境を挙げ、「そういう選手と練習できることが強くなる近道」と捉え、前向きにトレーニングに励んでいる。
■木村 真桜(きむら まお/人間学部/茨城キリスト高校卒)
前述の通り、日本インカレの10000mで2位となって話題を呼んだ木村選手。入学前の3月20日に京産大競技会で初めての5000mに出場し、15分46秒58をマークしていた。日本インカレ10000m翌週のゴールデンゲームズinのべおか(5月4日、宮崎・延岡市西階陸上競技場)の5000mで15分44秒21へと自己記録を短縮。大学で絶好のスタートを切っている。
高校時代には全国高校駅伝の出場経験(1区で2年時は16位、3年時は12位)はあるものの、個人でのインターハイ出場の実績はなく、「(地区大会での)ピーキングができず、実力不足だった」と振り返っている。大学での躍進の要因は、長い距離に挑んだことと捉えている。高校では3000mまでの距離の種目が中心だったが、大学では、より長い距離の種目で自身の持ち味が生かせていると感じているそうだ。
ただ、日本インカレでは好成績を残したが「(優勝した)サラ・ワンジルさん(大東文化大学4年)についていき、勝負するのが一つの目標だと思っていましたが、それができなかった。10000mの日本選手権の参加標準記録(32分11秒00)も頭の片隅にあったので、そこにも届かず、悔しさのほうが大きいです」と、決して満足はしていない。
本格的に陸上に取り組み始めた中学生の頃には、東京五輪男子3000m障害で7位に入賞した三浦龍司選手(当時・順天堂大、現・SUBARU)に憧れるなど、トップ選手への関心も高い木村選手。将来的には世界で戦える選手になりたいと話し、「今の結果だけに縛られないで、先を見て、小さな積み重ねを大事にして頑張っていこうと思っています」と長期的な成長を誓っている。学業の面では、英語の教員免許取得を見据えて日々努力しているそうだ。
■寺田 妃織(てらだ ひおり/法学部/大阪薫英女学院高校卒)
小学生の頃に陸上を始め、高校では兵庫県姫路市から新幹線で大阪の高校まで通学するほど、駅伝への熱意を持っていた寺田選手。だが、高校に入ってから原因不明の腹痛に悩まされ、高1の秋に稀な疾患であることが発覚した。
東京の病院で手術を受けたものの神経痛の症状が続き、何度か入退院を繰り返すという状況となっていた。こういった事情から、高2の6月頃までに選手からマネージャーへ転身。その中でも駅伝への情熱は変わらず、大学でも引き続き駅伝チームのサポートをしたいと考えて名城大学への進学を決めたそうだ。
「日本一を目指すチームで、選手もすごくレベルの高い選手が集まっています。自分もそこで、日本一のマネージャーになれるように頑張りたいと思っています。マネージャーの先輩方からいろいろなことを学び、チームに貢献できたらと思っています」と意気込んだ。
■真柴 愛里(ましば あいり/法学部/長野東高校卒)
真柴選手は全国高校駅伝2連覇の長野東高校出身。2年時、3年時にそれぞれ1区、3区と重要なパートを担って2年連続で区間賞を獲得し、優勝の原動力となった。特に3年時は強力な留学生選手を上回る区間新記録を樹立する大活躍。トラックでは5000mで15分30秒85の自己ベストを持つ。
大学入学後の日本学生個人選手権では5000mで3位(16分15秒67)を占めて他大学の有力選手に食らいつき、翌週のゴールデンゲームズinのべおかで15分52秒68にシーズンベストを短縮した。
日本代表としての競技経験も有しており、昨年のU20東アジア選手権(香港)には細見芽生選手(2年)とともに5000mに出場して銀メダルを獲得。米国で行われた世界クロスカントリー選手権にもU20の部で出場(31位)するなど世代の第一線で活躍してきた。
そんな真柴選手だが、目標は「継続した練習を行って、『安定した選手だな』と思ってもらえるようにしたい」と謙虚に話している。高3時には疲労骨折や肉離れを起こしてインターハイは欠場となったことから、コンディションに対する意識が高まっているようだ。
長野東高校からこれまでも多数の選手が名城大学に入学してきたが、真柴選手は歴代の先輩のなかでとりわけ和田有菜選手(2022年3月卒、現・日本郵政グループ)の学生時代の活躍に感銘を受けていたという。もちろん自身も名城大学のユニフォームで駅伝を走るビジョンを持っており、「どんな役割を与えていただいても、そこの役割をしっかりと全うできるような体作りをしていきたい」と、基礎を固めることを重視している。
新入生6名を迎え、新たなチームとして始動している名城大学女子駅伝部。チームをまとめる主将の瀬木彩花選手(4年)は「1年生はとても元気」と笑顔を見せる。「1年生同士の間でも、『負けないぞ』という気持ちを持ってやっているのが伝わるので、良い影響をもらっています」と、後輩に触発されているそうだ。
米田監督も「5月に入ってちょうど疲れが出てくる頃かと思いますが、1年生にしてはよく頑張っていると思います」と、新たな環境で奮闘する選手たちを見守っている。
新入生たちは、小学校高学年から中学生の頃にランナーとして競技を始め、本学女子駅伝部が全国制覇を重ねる姿を目の当たりにしてきた。「名城大学は歴史ある強豪校で、憧れの大学」といった声も上がっている。全日本大学女子駅伝での7年連続優勝(2017年〜2023年)、そして富士山女子駅伝での6連覇(2018年〜2023年)という偉業を成した姿が、当時中学生だった彼女たちに強い印象を与え、今では新たな部員として迎えることとなった。
今年度、学生駅伝2冠を取り戻すことを目標に掲げるチームにとって、この学年も大きな力になることだろう。
部の活動としては例年同様、8月に夏合宿での走り込み期間を設けて強化していく。それまでに、地元・名古屋市のパロマ瑞穂スタジアムで行われる日本選手権(6月12〜14日)へ出場資格を得られた選手は参加予定だ。また、今年は隔年開催のU20世界選手権(米国・オレゴン)が8月上旬に控えており、「6月22日までの記録」が選手基準の最優先となる日本代表の座に挑む選手もいるだろう。こういったトラックでの動向にも引き続き注目だ。
今年のチームのスローガンは「貫く信念 強い名城 私がつくる」。瀬木主将を中心に、妥協のない取り組みで、走力だけでなく団結力、人間力も向上させられるように取り組んでいる。
今年は名城大学の開学100周年。「この節目の年にしっかり駅伝で勝ち切ることが、チームにとって大きな目標になります」と米田監督はきっぱり話す。新たな時代への希望に満ちたシーズンが動き出した。
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