2026/11/02

Vol.5 大会新記録で"女王奪還"を果たす!
完ぺきな継走で3年ぶり9度目のV

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10月25日、第44回全日本大学女子駅伝対校選手権大会が宮城県仙台市で開催された。名城大学女子駅伝部は28年連続28回目の出場で、3年ぶり9度目の優勝を目指して今年も出場。

この大会では2005年に初の栄冠に輝き、2017年から2023年まで7年連続優勝(大会最多連勝記録)。だが、前々回大会は4位で連覇が途絶え、前回大会も3位と頂点には手が届かなかった。もう一度駅伝日本一の座を取り戻すべく、この大会に向けて研鑽してきた。コースは昨年までと変わらず、宮城県仙台市の弘進ゴムアスリートパーク(仙台市陸上競技場)をスタート・フィニッシュ地点とする6区間38.0km。
チームの指揮を執る米田勝朗監督は前日の会見で「全区間、ミスのないようしっかりタスキをつなぎたい」と話し、特に前半区間で隙のない継走を狙ったオーダーを提出して頂点を狙う構えを見せた。

大会当日は前日から降り続く雨も弱まり、小雨の降るコンディションでスタート時の気温は19度。12時10分の号砲でオープン参加1チームを含む全27チームが一斉に走り出した。

ルーキーの真柴が好位置で発進

1区(6.6km)を担ったのは真柴愛里選手(1年)。ルーキーながらこの重要区間を任された。最初の1kmは3分12秒で通過。真柴選手は集団の動きに対応できる位置でレースを進め、勝負どころに備えた。
ラスト1kmを過ぎてから帝京科学大学の今西紗世選手(2年)がスパートして先頭に立ち、最初に中継所に到達。真柴選手はそこから12秒差、21分09秒の2位でのタスキ渡しとなった。「流れを作る重要な区間を任せていただいたので、自分が出遅れてしまったらどうしよう、という不安な気持ちはありました」と明かしたが、「先輩や同級生から優しく声をかけられ、自信を持ってスタートラインに立てました」と仲間の励ましに奮い立って力走。
前回女王の城西大学や準優勝の大東文化大学など、今大会でもライバルと目される有力校に先行する好スタートを切って名城大学での駅伝デビューを果たした。

2区近藤が区間新記録の快走で首位奪取

最短4.0kmの2区はスピード自慢の近藤希美選手(3年)が担った。2.5km付近で前を走る帝京科学大学を捉えて先頭に立つと、そのまま差を広げる快走。他の選手を寄せ付けない区間賞の走りで、チームとして3年ぶりのトップ中継となった。
個人記録は12分36秒で、従来の区間記録を2秒更新した。今季3000m障害で学生日本一と躍進した近藤選手。この大会でも成長ぶりを示し、「区間賞、区間記録を目指してはいたのですが、(実現して)驚きの気持ちもあります。後半の選手が楽になれるように、という思いで1秒を削る走りができたと思います」と充実感をみなぎらせた。

最後の仙台、4年生コンビが後方との差を広げ終盤へ

3区(5.8km)は力丸楓選手(4年)が担当。この大会では1年時に出走してチーム優勝の喜びを味わったが、それ以来の出場となった。大学院進学が決まり、今季限りで競技生活は一区切りとするため、より強い気持ちを持って臨んだ。
母校の仙台第一高校のそばを通るコースで沿道の声援を力に変え、先頭を譲らぬ走り。「頼もしい後輩がいい流れで(タスキを)持ってきてくれて、安心して走り出せました。『かえで!』という声が途切れることなく続いていたように感じ、力になりました」と振り返った。18分59秒の区間2位で走り抜き、2位に順位を上げた大東文化大学との差を34秒に広げて首位で中継した。

4区(4.8km)でタスキを引き継ぐのは同じく4年生の村岡美玖選手。米田監督はこの区間への選手配置に最後まで頭を悩ませたが、直近の状態で起用が決定した。
昨年はアンカーを務め、チームとして3位のフィニッシュに悔しがった村岡選手だが、今回は朗らかに先頭を疾走。区間3位(16分02秒)にまとめて首位を守った。「自分がもっとリードを広げてタスキ渡さないといけなかったところで、思い通りに走れなかった悔しさがあります」と振り返ったものの、「いい位置でタスキをもらえて、先頭を走る幸せな走りをさせてもらえた」と仲間への感謝の思いを噛み締めた。
この区間終了時点での2位は帝京科学大学で、42秒差。3位・順天堂大学とは48秒差、4位・大東文化大学には50秒のリードを築いて後半戦を迎えた。

エース区間でルーキーの木村が圧巻の走り

5区(9.2km)には木村真桜選手(1年)が起用された。この区間は各校のエースが集まる最長区間。なかでも大東文化大学のサラ・ワンジル選手(4年)は前回大会まで3年連続の区間賞で、今大会でも有力視されていた。
前日の監督会見では、ワンジル選手が今年もこの区間を走ることから、各校に対し「5区までにどれくらいの貯金が欲しいか」という質問があがったが、米田監督は「区間記録更新などがない限り、今の木村ならワンジルさんと同じくらいで走れると思う。4区終了時点でリードがあれば逃げ切れる」と回答。自信を持って送り出した。

木村選手は追われる展開の中、むしろその差を広げる強心臓ぶりでレースを展開。「監督からは『好きなように走っていい』と言われたので、限界を決めずに今出せる力を出そうと思っていました」と攻めの走りで5kmを15分46秒での通過。

後半も疲れをのぞかせず力強く杜の都を駆け抜けた。トップで中継所に現れると最終ランナーの先輩へ「お願いします!」と大きな声をかけてタスキを渡し、名城大学での駅伝デビューで殊勲の区間賞。28分50秒の好記録にも「もっといいタイムを出したかったという思いもあります。自分の底上げをこれからしていきたいです」とまだまだ満足しなかった。

5区を終えた時点で2位の大東文化大学に1分08秒差、3位に順位を上げた城西大学とは1分17秒差をつけた。

アンカーの橋本も攻めの走りで区間賞

最終6区(7.6km)は橋本和叶選手(2年)が担当。「最近は練習も積めて、自分の走りに自信が持てるようになってきた」と話していた通り、最初の1kmを3分09秒と快調なペースで堂々と先頭をひた走った。他大学をまったく寄せ付けず、誰よりも先に競技場へ姿を現すと、チームメイトや応援団、観衆からの大声援を一身に浴びてトラックを一周。そして、指を1本突き立てて栄光のフィニッシュテープを切った。個人記録は24分45秒で、今大会チーム3つ目の区間賞獲得となった。橋本選手は昨年のこの大会で5区を務め、同年の富士山女子駅伝でも7区を走ったが、区間賞はこれが初めて。「初めて獲得することができたので、すごくうれしい。チームの優勝に区間賞というかたちで少し貢献できたかな、と思います」と喜んだ。
総合記録は2時間02分21秒。従来の大会記録2時間03分03秒(2024年、立命館大学)を42秒塗り替え、3年ぶり9回目の優勝に花を添えた。

「思い描いていた通り」(米田監督)、開学100周年に華を添える

アンカーの橋本選手がトップでフィニッシュしてチーム全体が喜びに包まれる中、最初に胴上げされたのはキャプテンの瀬木彩花選手(4年)。これまでひたむきに部を率いてきたが、今大会では自らがランナーとしてこの舞台に立つことは叶わなかった。


それでも今回出走したメンバーはレース後、異口同音に瀬木選手の思いを背負って走ったことを語り、主将の存在が優勝への原動力となった。2区・近藤選手は「走れなかった彩花先輩のことを思い出して、それが粘るエネルギーに変わりました」と自身の走りを回顧し、実際に区間新で首位奪取の快走でチームを勢いづけた。

瀬木選手とともに最上級生としてチームを牽引してきた力丸選手は「苦しくなってから粘る力になったのは彩花の存在。悩む姿も見ていましたが日を経るごとにキャプテンとして頼もしくなり、今日は彩花を胴上げするために最後まで走り切ることができたと思います」と語り、同じく最上級生で、副主将を務める村岡選手も「彩花の分もちゃんと走らないと、という思いを力に走れたと思います」と顧みた。

瀬木選手は「一人ひとりが〝優勝〟という目標をぶらさず、今回の結果に結びつけたことがすごくうれしい。その優勝した(チームの)キャプテンになれて本当に幸せだと思います」と大粒の涙を流して万感の思いに浸った。

米田監督は「思い描いていたプラン通り、全区間走ってくれました」と、選手たちを称えて喜びを分かち合った。1区2位の好発進から2区で先頭を奪取。2区から4区に上級生を据えた先行策は見事にはまり、徐々に差を広げる理想的な展開となった。


最長5区の木村選手は監督の予想をも上回る区間賞獲得の走りで、5区終了時点で2位以下に1分08秒以上の差をつけるセイフティリードを形成。アンカーの橋本選手もダメ押しの区間賞で、ライバル校に影も踏ませぬ盤石リレーの実現となった。2区以降、一度も先頭を譲らない姿は過去の優勝を彷彿とさせ、強さを取り戻した姿を示した。

名城大学にとって、今年は開学100周年の特別な節目。米田監督は「プレッシャーもありましたが、なんとか100周年に華を添えたい」という思いを胸中に隠しつつ指導にあたっていた。事前に選手に明かしていなかったこの願いも、結果としてランナーたちが体現してみせた。期待通り、あるいは期待を上回るパフォーマンスを発揮した今回の継走に指揮官は「勝つ時というのは、こういうものだなと思いました」と感慨にふけった。

現在の最上級生が2年生だった2024年、連覇の途絶える4位の結果は選手たちにとって大きな打撃となった。前回大会では女王の座奪還を目指したが3位と涙をのむ結果に。こうした苦しい時期を経て、生活の基本的なことから見つめ直し、悲願の女王返り咲きを果たした。

歓喜に湧いた勝利の瞬間は、到達点ではあっても終着点ではない。名城大学女子駅伝部の今年の目標は富士山女子駅伝との「2冠」であり、その達成へはまだ道半ばだ。今回出走した選手も優勝会見では「富士山女子駅伝との2冠のために、また頑張りたい」と口をそろえ、年末へ向けた準備が始まっている。

瀬木キャプテンは「今回の駅伝を通して、次の富士山女子駅伝で簡単に勝てるわけではないと思いました。勝つ難しさを知っているチームだからこそ、もう一回気を引き締めてがんばっていきたいと思います」と話して視線を先へ向けた。

富士山女子駅伝は今年も12月30日に開催され、2023年以来の優勝、そして同年以来の駅伝2冠の実現を目指して臨む戦いとなる。次なる頂への新たな一歩がすでに踏み出されている。