2022/1/13

Vol.6 富士山女子駅伝で5連覇 5年連続〝2冠〟の偉業

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2022全日本大学女子選抜駅伝(富士山女子駅伝)が12月30日に開催され、名城大学女子駅伝部は5年連続5回目の優勝を目指して臨んだ。10月に実施された全日本大学女子駅伝で6連覇を果たし、今年度も駅伝2冠を狙う。今大会に勝てば、5年連続での2大駅伝制覇となる。チームの指揮を執る米田勝朗監督は前日の会見で「目標は当然、優勝。力をしっかり出し切って、最高の走りをしてほしい」と、期待とともに自信をにじませた。コースは前回までと同様、静岡県富士宮市の富士山本宮浅間大社前をスタート、同富士市の富士総合運動公園陸上競技場をフィニッシュ地点とする富士山麓コースの7区43.4km。全日本大学選抜チーム、静岡県学生選抜チームを含む24チームが参加した。午前10時のスタート時の気温は9度。穏やかなコンディションの下、選手たちがスタートした。

柳樂、石松、米澤の1年生トリオが早くも独走体制築く

名城大学は1区から3区までルーキーが並ぶオーダー。4.1kmの1区にはU20世界選手権1500m日本代表の柳樂あずみ選手が任された。今回出場したメンバー7人の中でただ1人、全日本大学女子駅伝を走っていない選手だが、チーム随一のスピードランナーで実力は十分。最初の1kmが3分22秒とややスローペースでの幕開けとなったが、中盤で飛び出た柳樂選手が2位に9秒差をつけてトップで中継所へ。12分46秒の区間賞で名城大での全国駅伝デビューを飾った。「トラックで磨いたスピードを生かして、最後に他の選手を振り切れました。区間賞が獲得できてうれしいです」と自身の成績を喜んだ。

前半の重要区間、2区(6.8km)は石松愛朱加選手が務めた。この区間では日本体育大学のエース・山﨑りさ選手(2年)が後方から追い上げ、一時3秒ほどの差にまで迫られたが、4.5km付近でスピードを切り替え、もう一度突き放す力走。一旦縮まった差を逆に広げ、中継所では2位日本体育大学に10秒差をつけてトップでタスキをつないだ。「6.8kmという長い距離が前日まですごく不安だったんですが、(柳樂)あずみがトップで来てくれて(気持ち的にも)すごく背中を押されました。(日体大・山﨑に)後ろに追いつかれてきたときも『絶対上り(坂)で離してやる』という気持ちで、次の走者に1秒でも前で渡せるように走れたと思います」と石松選手。この区間では北川星瑠選手(大阪芸術大3年)、村松灯選手(立命館大2年)が順位を大幅に押し上げ、それぞれ区間1、2位。石松選手はこれに続く21分19秒の区間3位だった。

3.3kmの3区を担ったのは米澤奈々香選手。高校時代から世代のトップで活躍し、全日本大学女子駅伝でも1区区間賞。2023年2月の世界クロカンU20の日本代表に選出されている力のあるランナーで、距離の長い2区を走る構想が米田監督の頭にあったが、今大会前に右脚の付け根に張りを感じており、大事に至らないよう最短区間のこの区間への起用となった。「大会直前に脚を痛めて、少し不安のスタートとなりましたが、1、2区ですごい勢いでつないでくれたので、その勢いを落とさず絶対に離して先輩につなげようと思いました」という言葉通り、他を寄せ付けない圧巻の走り。従来の区間記録を4秒塗り替える10分03秒の区間新を樹立して、2位との差を43秒に拡大した。

4区増渕も区間賞でリード拡大 5区山本、6区小林の4年生コンビにつなぐ

4区(4.4km)は増渕祐香選手(3年)が任された。堂々と先頭を疾走し、14分09秒で区間賞獲得。4区終了時点で2位の日体大に1分02秒の大量リードを作ったが「自分の役割は、後半区間で楽に走ってもらえるよう差を広げることだと思っていました。自分としてはもう少し差をつけて渡したくて、少し悔しさが残ります」と自身により高いレベルを求めた。「先輩は走りでも、陸上に対する姿勢でも 引っ張ってくれたから、感謝の気持ちをもって、笑顔で渡しました」と熱い想いをタスキに込めて次のランナーへ渡した。

10.5kmの5区は各チームのエースが集まる最長区間。名城大は今季学生長距離界のトップアスリートに成長した山本有真選手(4年)がこの区間を担当した。米田監督は「後ろを引き連れる展開にしたくないので、山本が走る時点で単独走が理想。最低でも10秒から15秒離してくれていれば」と前日の会見で話していたが、目論見以上の大差でタスキを受けた山本選手はのびのびとハイペースを刻む。34分05秒で走破し、見事区間賞に輝いた。「今年は沿道の応援が本当にすごくて、名城大学への応援が絶えませんでした。7kmから9kmくらいはきついのかな、と思っていたんですが、おかげさまでずっと楽しみながら走ることができました」。富士山女子駅伝では4年連続で区間賞を獲得する大活躍で名城大での駅伝を終えた。

6区(6.0km)は今年度のキャプテン・小林成美選手(4年)が務めた。富士山女子駅伝では1年生の時にこの区間、2、3年時には最終7区を走っていずれも区間賞で名城大の優勝に大いに貢献してきた小林選手。「過去に7区も経験して、どれだけきついかわかっているので、1秒でも早く(タスキを)渡したいと思って走りました」と、最後の駅伝でもチームメイトへの強い想いで区間3位の19分56秒で走り切った。「名城大での最後の走りになるので、もっと上を目指した走りで納得いくようにしたかったのですが、うまくいかず終わりました」。

今大会での自身の走りには満足しなかったが、4年間さまざまな苦難に見舞われながらも奮闘し、最上級生になってからはキャプテンとして常に先頭に立ってきた小林選手。米田監督にも「うちのエースは小林です」と言わしめるチームの大黒柱だった。これまで共に女子駅伝部を牽引してきた山本選手とのタスキ渡しでは、山本選手から「今までありがとう。がんばってね」と言葉を受け、「感動的なことを言われ、これから走るのにうるっときちゃうよと思いましたが、切り替えて走りました」と笑顔で振り返った。

谷本が笑顔でフィニッシュ 後続に3分以上の大差

アンカーの7区は、3km過ぎから厳しい上りが続く8.3kmの最大の難関区間。谷本七星選手(2年)が初めてこの区間に挑んだ。過酷な上りコースの想像以上の厳しさに表情は険しくなったが、力強く前へ前へと足を進める。競技場にどのチームよりも先に姿を現すと、会場全体から大きな拍手で迎えられた。「競技場に入った瞬間、鳥肌が立つぐらい感動して(チームの)みんなの姿が見えた時に今まで出たこともなかったような力が出ました。最後の(トラック)1周は自分の力をしっかり出し切ることができました」。満面の笑みで、右手を広げた『5連覇』のサインを掲げてフィニッシュテープを切った。個人成績は29分38秒で、区間賞も獲得した。

総合タイムは2時間21分56秒で、2位の大阪学大には3分11秒差の大差をつける圧勝だった。2大駅伝では4大会連続で1区から先頭を譲らないレースを展開。2020年の富士山女子駅伝2区でトップを奪って以来、32区間連続で首位をキープしている。今大会でも、1年生ながらプレッシャーのかかる1区を任された柳樂選手がチームを勇気付けるスタートを切り、そのままの勢いで各選手が駆け抜けた。

米田監督は「今回、名城大学のプライドを守ってくれたのは2区の石松」と難局面を乗り切った1年生を高く評した。「プレッシャーをかけることになるかもしれませんが、こういった(連続で首位を走る)記録が続いていることをあえて伝えていました。そういうプレッシャーを感じながら戦わなくてはいけないチームなので、1年生でも自覚を持ってやってもらいたいと思っていました。差を詰められた時にはもしかしたら逆転されて中継所で2番でのタスキ渡しになるかな、と思いましたが、気持ちが最後の切り替えの部分で出てくれたと思います」と、米田監督。「記録はいつかは途切れることになるのかもしれませんが、今回の大会でも先輩たちがつないでくれた伝統を守ってくれた。これはすごいことだと思います。みんな強い。強いということはこれまでしっかりやるべきことをやってきたということです」と、力を尽くした選手たちに賛辞を送った。

チームを牽引した4年生 4年間〝無敗〟を守る

今年度も最上級生が重要な役割を果たし、女王の座を譲らなかった名城大学。小林選手、山本選手は2大駅伝すべてに出場し、全大会で勝利を収めて卒業することになる。また、直近3年間は2大駅伝出走が叶わなかったものの、小林選手・山本選手とともに4年間競技に励んできた荒井優奈選手も「私たち4年生が感じた責任があったように、後輩もその責任はどんどん大きくなってくるのかもしれせんが、がんばってほしいです」と後輩たちにエールを送る。4年間主務を務め上げた市川千聖さんも、選手とともにチームを作り上げてきた重要な存在。この奇特な主務には記念のタスキがチームからプレゼントされた。

来年度最上級生となる増渕選手は、「先輩がいなくなることで寂しいという気持ちはあるのですが、それより今は、自分も今までの先輩たちみたいにしっかり走りで引っ張っていきたいって気持ちが強いです。これから始まる新チームで、自分が満足いく結果で終えられるようにまたがんばっていきたいと思います」と、すでに気持ちを新たに前を見据えている。小林主将は「このチームを一緒に作ってくれてありがとうという気持ちです。後輩たちの支えに感謝の気持ちでいっぱいです」と、下級生へ感謝しきりだった。

富士山女子駅伝は今大会が第10回の節目。5年連続での優勝は、第1回から5回大会までを制した立命館大に並ぶ史上最多タイだ。全日本大学女子駅伝ではすでに今年度、史上初の6連覇を達成しており、来年度は6年連続での2冠を目指すシーズンへ入っていく。今後の駅伝での勝利は常に「史上初」の冠言葉で形容されることとなるだろう。未だ誰も踏み入れたことのない偉業へ向かって伝統をつないでいく。

2022全日本大学女子選抜駅伝 総合成績(8位まで入賞)

順位 大学名 記録
優勝 名城大学 2時間21分56秒
2位 大阪学院大学 2時間25分07秒
3位 日本体育大学 2時間25分21秒
4位 全日本大学選抜 2時間25分39秒
5位 立命館大学 2時間26分28秒
6位 大東文化大学 2時間27分40秒
7位 城西大学 2時間27分47秒
8位 関西大学 2時間27分50秒

名城大学の成績

区間(距離)選手名通算順位 記録区間順位 記録
1区(4.1m) 柳樂 あずみ 1位 12分46秒 1位 12分46秒
2区(6.8km) 石松 愛朱加 1位 34分05秒 3位 21分19秒
3区(3.3km) 米澤 奈々香 1位 44分08秒 1位 10分03秒 区間新記録
4区(4.4km) 増渕 祐香 1位 58分17秒 1位 14分09秒
5区(10.5km) 山本 有真 1位 1時間32分22秒 1位 34分05秒
6区(6.0km) 小林 成美 1位 1時間52分18秒 3位 19分56秒
7区(8.3km) 谷本 七星 1位 2時間21分56秒 1位 29分38秒

部員メッセージ

名前 コメント
主将 小林 成美
(外国語学部 国際英語学科)
主将として至らない点が多くありましたが、後輩の皆さんの多くのサポートのおかげで、このチームを作ることができたと思います。一人一人が強く本当に尊敬しています。そして、個性が光る理想のチームでした。ありがとうございました。
副主将 山本 有真
(人間学部 人間学科)
この1年間みんなのおかげでとっても楽しかった!明るくて可愛くて頼もしい後輩達が大好きで感謝してます!ありがとう。
4年生 荒井 優奈
(法学部 法学科)
私たち四年生についてきてくれてありがとう。いい後輩たちに恵まれて学生生活最後の陸上競技をできたことを幸せに思います。仲間と笑顔を大切にしてこれからも頑張ってください。
市川 千聖
(法学部 法学科)
4年間素晴らしい経験をさせてくれてありがとう!!皆のマネージャーが出来て本当に幸せでした。駅伝部の周りには、協力してくれる人が沢山います。これから壁にぶつかっても、色んな人に頼りながら、4年間やり切って欲しいです!これからもずっと応援してます。
3年生 増渕 祐香
(法学部 法学科)
この1年間チームを引っ張って下さってありがとうございました。3年間一緒に走れて幸せでした!4年生は、走りでもチームを引っ張って下さったり、一人一人のことを気遣って下さったり、尊敬する所が沢山あります。そんな先輩方のようになれるように、これからも頑張っていきます!卒業しても、私たちのこと忘れないでください!!大好きです!!!
野呂 くれあ
(法学部 法学科)
本当に楽しく笑顔が1番溢れる年でした!ありがとうございました!いつも自信溢れる憧れの4年生、私達もそうなれるよう頑張ります!
黒川 光
(法学部 法学科)
走り、サポート、普段の生活。どんな時も先輩方は、一人一人がとても大きな存在でした。先輩方と同じチームで幸せでした。今後はそれぞれの道に進みますが、名城大学での経験に胸を張って頑張ってください。3年間ありがとうございました!大好きな先輩方を、これからもずっと応援しています!
2年生 五味 叶花
(人間学部 人間学科)
4年間お疲れ様でした。そして、この1年間チームを引っ張ってくださりありがとうございました。明るくて、可愛くて、かっこよくて憧れの存在です!そんな先輩方と練習、生活でき嬉しく思います。卒業後も頑張ってください!
谷本 七星
(人間学部 人間学科)
先輩方と一緒に過ごしてきたのは2年間ですが、とても濃い時間でした。色んなことを学ばせていただき、助けていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。皆さんのことが大好きです!素敵な門出になりますように。
戸村 文音
(法学部 法学科)
今までありがとうございました!先輩方と一緒に過ごした思い出は宝物です!先輩方の力強い走りはすごくカッコよくて憧れです。本当にお疲れ様でした!
畑本 夏萌
(法学部 法学科)
4年生の先輩方と2年間一緒に走ることができて幸せでした。走りでも常に引っ張ってくださり、生活面でもみんなのことを気にかけて声をかけてくださる姿を見て、私もこんな先輩になりたいと思いました。本当にありがとうございました!大好きです!
前川 凪波
(外国語学部 国際英語学科)
成美先輩、有真先輩、優奈先輩、千聖先輩、2年間本当にお世話になりました。先輩方が繋いできた連覇という偉業を私たちもつなげるように頑張ります。先輩方のさらなるご活躍をお祈りしています。
1年生 石松 愛朱加
(人間学部 人間学科)
毎日、4年生の皆さんが練習中もチームを明るく引っ張ってくださる背中をみながら、きつい練習も乗り切れました。ありがとうございました!大好きです!!
上野 寧々
(人間学部 人間学科)
4年生の皆さん!いつも優しく、どんな時も笑顔で明るくチームを引っ張って下さりありがとうございました。一緒に走ったり、お喋りしたり、憧れの先輩方と共に生活した日々はとても幸せで私の一生の宝物です。これからも大好きな先輩方を目標に頑張ります。今までありがとうございました!4年間お疲れ様でした!
大河原 萌花
(法学部 法学科)
大学4年間の陸上生活お疲れ様でした。4年生と過ごせた時間は1年間と短い時間でしたが、この1年間を振り返れば、たくさんの思い出と学ぶことが多くありました。常に周りを気にかけていて、頼れる先輩でほんとに大好きです!!ありがとうございました!
柳樂 あずみ
(人間学部 人間学科)
1年間本当にありがとうございました!先輩方のもとで競技でき嬉しかったです!これからのご活躍も楽しみにしています。
原田 紗希
(法学部 法学科)
4年生の先輩方と過ごした1年間はとてもあっという間でしたが、色々なことを学ぶことができました。そして、先輩方の強さを改めて感じました。先輩方が作り上げてくださったものをこれからも引き継いでいけるように頑張ります。本当にありがとうございました。
明貝 菜乃羽
(法学部 法学科)
4年生の皆さん!1年間一緒に過ごすことができ、本当に幸せでした!ありがとうございます。4年生から学んだことを忘れずにこれからも日々頑張ります!本当にありがとうございました。卒業後の活躍も期待しています!
米澤 奈々香
(人間学部 人間学科)
大学4年間、お疲れ様でした。先輩方と過ごした日々は大切な宝物です。そして先輩方は、私にとって憧れであり、目標とする存在です。今まで本当にありがとうございました!