2019/01/25

誰かの幸せのために働きたい!

「象使いの先輩」と呼ばれて

経済学部 経済学科 2年 茂澄 隼さん

入学当初は無気力な学生だった茂澄さん。今では「象使いの先輩」と呼ばれ後輩から慕われています。自分を変えたのは災害ボランティアやカンボジアでのNPO活動でした。仲間に後押しされ、やりたいと思ったことはすべて挑戦する。「象使いになる」ことはそのうちのひとつ。きっかけとなったボランティア活動で、何を考え何を感じたのかを語ってもらいました。

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Q象使いのライセンスを取ろうと思ったきっかけは?

A

大学1年生の3月に、カンボジアのNPOに参加しました。その時に知り合った仲間が刺激的で、みんなやりたいことが明確で、さまざまなことにチャレンジしている人ばかりでした。その中に象使いの資格を持っていた人がいたことから興味が湧き、2年生の8月に2度目のインターンでカンボジアに行った際、タイのチェンマイに寄って資格を取りました。特にこの資格で何かができるというわけでもありませんが、「興味を持ったことは挑戦しよう」というのが、私の大学生活のテーマですので、そのひとつとして取りました。

Q象使いの資格はどのようにして取得できるのですか?

A

宿泊コースと日帰りコースがあるのですが、私は日帰りコースに参加しました。現地の象使いの人と2人1組になって、まずは象の生態から教えてもらいました。1頭ずつ性格が違うので、自分が乗る象のことをよく知らなければなりません。午前中は1時間半その象に乗り、その後は首長族の村に連れて行ってもらい、コミュニケーションをとるという貴重な経験ができました。午後からは象とダーツをして風船を割ったり、絵を描いたり、最後は川で水遊びもしました。驚いたことに、象はとても器用で、絵も信じられないほど上手なのです。こうして一緒に過ごして象と気持ちが通じ合えると象使いの資格をもらえます。ちなみにこの資格はタイの国家資格です。タイでは資格を持っていると象に芸を教えることもできるそうです。

Qそもそも「象使い」の資格を知ることとなった、カンボジアでのNPOに参加したのはなぜ?

A

私は高校野球児で、高校3年間は野球部の寮に入って野球漬けの日々でした。大学進学を決めて入学したまではよかったのですが、野球しか知らなかったので、どう時間を使えばいいのかわからず、出かけるのさえも億劫になっていました。当然友人もできず、悶々とする毎日でした。これではいけないと、1年の夏休みに熊本と福岡の災害ボランティアに参加しました。その時に人のためになる仕事をすることに大きなやりがいを感じ、続いて宮城県の復興支援にも参加。その流れで1年生の春休みにカンボジアにNPO団体のボランティア活動に行くことにしました。

QNPOではどのような活動を経験しましたか?

A

最初に行った時は、カンボジアに小学校を建設することが目的でした。そこでの活動はとても興味深く、2年生の夏に今度はインターンシップとして参加しました。この時のインターンでは「3日間でビジネスを立ち上げる」というのが課題で、私は観光客と現地の人が交流できる仕組みづくりを考えました。言語の壁を超えてつながれるよう、すいか割りや福笑いなど、日本の遊びを一緒に行うイベントを企画しましたが、これはなかなか好評でした。このイベントをきっかけに今でも現地の人たちとは交流が続いています。

Qボランティア活動を通じて変わりましたか?

A

ボランティア活動に参加するまでは、自分が何をやりたいのかまったくイメージできず、大学に行く意味があるのかさえわかりませんでした。しかし、活動に参加したことで仲間ができ、その仲間がみんな活き活きと輝いている人ばかりで、私は大きな刺激を受けました。自分もやりたいことを仕事にして、キラキラ輝く大人になりたい!そう強く思い、とにかく興味のあることをリストアップして、ひとつずつやっていこうと決めたのです。象使いの資格取得もそうですが、仲間からは単独での行動力が弱点と指摘され、スキルを身につけるためにヒッチハイクに2度挑戦しました。1度目は名古屋から浜松まで乗せてもらい、道中学生時代の話を聞かせてもらったり、食事をご馳走になったりして、旅の後には一緒に飲みに行くほど仲良くなれました。2度目の目的地は東京でしたが、いろいろな人に助けてもらいながら、なんとか辿り着くことができました。以前の自分では考えられないことです。やるかやらないか迷ったら、まずはやってみる。そういう考え方に変わったのも、すべてはボランティア活動に参加したからです。ちょっと余談ですが、ヒッチハイクであらためて日本人のやさしさを痛感しました。日本っていい国ですよね。

Qこれからはどんな活動をしていくつもりですか?

A

来年の3月に、再度カンボジアに行く予定にしています。今度は引率者としてスタッフをまとめる立場で参加します。私はカンボジアの人が大好きで、特に子供たちが可愛くて仕方ないのです。小学校建設の時に出会った子供たちと再会することも楽しみのひとつですし、彼らが学べる環境を作ることに全精力を注ぎたいと思っています。

 また、名城大学に学生主体の団体である「学生協力員」というのがあるのですが、そこにも所属しており、新入生にも活動に参加してもらえるよう働きかけていきたいと思っています。一人でも仲間が増えると嬉しいですからね。

Q来年は3年生なので、就職も考えなければなりませんね。

A

はい、2年生まではとにかく何でも経験してみて、一生かけてやりたいことを見つけられたらいいなと思っています。実は、大学受験の際、名城大学で経済学部を選択したのは、将来銀行員か公務員といった安定した仕事に就こうと思ったからなのですが、今ではまったく興味がありません。どちらかというとベンチャー系の企業に興味があります。ただひとつだけ決めていることは、お金に振り回される人生だけは送らないということです。カンボジアに行くと、ボールひとつで子供たちはとっても幸せそうに遊んでいます。生活が苦しいのに、幸せと言って笑顔で過ごしている人たちを見ていると、日本人は何て強欲なのだろうと思ってしまいます。自分にとって本当の幸せとは何か?それは自分の周りの人や、自分と関わった人が、幸せになってくれることだと思いました。そんな誰かの幸せのために働けるような人生を送りたいですね。

Q名城大学の魅力を教えてください。

A

名城大学には、ボランティア協議会や学生協力員といった組織が大学直轄にあり、職員の方との距離が近いことに魅力を感じています。このような団体に所属したことで、職員の方は学生の活動に対して常に親身になって考えてくれることに気づくことができました。相談をすると、やりたいことや、やろうとしていることが叶えられる環境を整えてくれます。先日、大学で私が参加しているNPO法人の説明会を開きたいと相談したところ、サポートはもちろん、活動の後押しもしていただき、とても感謝しています。そんな環境だからというのもあると思いますが、自由に活動している学生が思っていた以上に多くて、実は象使いが私以外にも二人いました(笑)。自分の個性を生かした大学生活が送れる場だと思いますね。

経済学部 経済学科 2年 茂澄 隼さん

災害ボランティアを行う「ボランティア協議会」や、「学生協力員」の一員。現在はいずれもスタッフとして活躍している。大学では東南アジア経済について学んでおり、2度のカンボジアでのNPO活動を通じて本当の自分と向き合い、再訪することも決めている。きょうだいは三つ子の兄(二人)と姉。年も離れていることから両親には可愛がられて育つ。好きなことをやればいいと、自由になんでもやらせてもらえることに感謝している。岐阜県出身。現在はひとり暮らし