2022/08/29

時代は後から追いついてくる!?

ジャンルレスな新時代イラストレーター

理工学部 建築学科3年 中川結賀(なかがわゆうか)さん

物心がつく頃には絵を描きはじめ、中学生になってからイラストをSNSで発表するようになりました。コンテストや展示会で受賞経験があり、有名アーティストのミュージックビデオ(MV)用のイラストなども描くように。建築学科の学びとイラストを描くことの共通点や、イラストに込めた想い、さらには将来の活動についても語ってもらいました。

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Qイラストレーターとして活躍されているとお聞きしました。

A

主にアーティストのMV用イラストなどの依頼を受けて描いていますが、最近ではAdoさんのファンアートに応募し、「夜のピエロ360°」のMVとレコード大賞スペシャルメドレーの一部に私が描いた絵を採用していただきました。さらに私の作品紹介動画を、姉がTikTokにアップしてくれ、再生回数が33万回を超えたこともありました。第72回コバルト・イラスト大賞では唯一のアナログ作品で、佳作をいただきました。



採用されたファンアート

Qどういうきっかけで活動を始めましたか?

A

幼少期から描き始めた漫画が原点です。漫画好きの友人と交換ノートを作り架空の物語を考え、それを小説や漫画で表現していました。当時の私にとって、小説や漫画は自分の想像する世界を表現できるものでした。

中学生の時にイラストで構成された物語調のミュージックビデオと出会い、私もやってみたいと思うようになりました。当時のイラスト同好会の友人の勧めもあり、自分の作品をTwitterで発信していましたが、人と比較し落ち込むことも多くありました。そんな中、姉が私の作品を私の知らないところで自身のTikTokにアップしたところ、多くの方に見ていただき評価していただきました。あたたかい感想を沢山いただけたことはとても嬉しかったですし、今ではファンの方もついてくださっていて、絵に対するモチベーションが上がりました。その後、コンテストで賞をもらったこともあり、アーティストの方からご依頼をいただく機会が増え、今はアナログ作品とデジタル作品の両方で制作活動をしています。



TikTok作品

Qイラストはどんな想いを込めて描いていますか?

A

自分の思っていることや伝えたいことを表現するために、モチーフから配色、構図まで意味を考えます。制作期限にもよりますが、コンセプトを決めるまでに1カ月ほど時間をかけることもあります。絵を描くことで、物事の深い部分まで捉えることができるようになったと感じます。

私の作品は、一見すると幸せそうなキャラクターでも、実は社会へのアンチテーゼを表現しているものも多くあります。複雑に折り重なる自分の想いを表現しているのですが、見てくださる人にその想いが伝われば嬉しいと思う一方、作品の解釈は作者が押し付けるものではないため、見てくださる方の経験や価値観で、ご自身と重ね合わせていただけたら嬉しいです。

アナログ作品

Q名城大学を選んだ理由は?

A

もともと数学と物理が得意だったことと、絵を描くことが幼い頃から好きだったので、その両方の知識や能力が発揮できる建築学科を志望しました。大学で理系学部を卒業し、社会に出ると、似た思考を持った方々と働く可能性が高くなります。それが悪いことだとは思いませんが、せっかくなら、より多くの人の様々な価値観や物事の捉え方に触れておいた方が、人生が豊かになると思い、総合大学である名城大学に決めました。理系学部は独立したキャンパスで学ぶ大学が多いと思いますが、名城大学は他の学部生と同じキャンパスで学ぶことができ、その点も魅力に感じました 。もう1点は、「チャレンジ支援プログラム」に参加したいと思ったからです。他学部の人とじっくり1つのことに取り組めるプログラムは、まさに自分が大学生活でチャレンジしたかったことです。

作業机

Qゼミではどのような研究をしているのですか?

A

歴史・意匠系の研究室に所属しています。具体的には日本建築や日本庭園の実測調査を行い、文化財を保存する活動や、空間に人を呼び込むためのパブリックアートの制作などを行っています。図面を書くことと絵を描くことは違う作業ですが、どちらもはじめに行うコンセプト設定が重要だと考えています。人は何を求めていて、目的は何で、そのために何を表現しているのか。また多くの人に愛されている理由を考え、表現に至るまでの道筋を模索する点は、建築も絵も共通していると思います。

授業設計課題

Qチャレンジ支援プログラムを通じて何か得られたことはありましたか?

A

はい。残念ながら2年生のアメリカ研修はコロナの影響で、現地に行くことはできませんでしたが、シリコンバレーの学生たちとオンラインで1週間交流することができました。アメリカでは同じ大学生ですでに起業を考えている学生が多いことを知り、大きな刺激を受けました。視野も広がりましたし、「起業」ということについても意識するようになりました。

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Q今後の目標について教えてください。

A

音楽が好きなので、音楽と小説と絵に関われるエンターテイメントを作ったり、支えたりする仕事に就きたいと思って就職活動を始めていますが、継続して、見た人が感動や共感を覚えるような、心が引き込まれる作品も作っていきたいと考えています。もっと音楽の魅力が伝わるMVを描けるようになりたいので、技術を磨いていきます。

さらに将来的には、表現の素晴らしさを伝え、次世代のクリエイターを育てていきたいとも考えています。

限定的な正解ではなく、見た人が自分と重ねることで共感や気付きが生まれ、影響を及ぼす作品づくりを大切にしていきたいです。そしてそういった、見る人によって多種多様で自由な捉え方をしてもらえる作品づくりを今後も続けていきたいと思っています。

歌ってみた動画の依頼作品

理工学部 建築学科3年 中川結賀(なかがわゆうか)さん

愛知県名古屋市出身。好きなことは音楽鑑賞と創作活動。子供の頃は人形の服や寝具等も手作りしていた。主にイラスト制作で活動しており、アナログからデジタルまで、幅広く作品づくりを手掛けている。最近は、色鉛筆から日本画材まで幅広い画材を使用することや、化学変化による変色により、豊かな質感の色合いを表現したり、角度によって反射し浮き上がって見えるような作品作りに挑戦したりしている。

yuka0126meijo@gmail.com