2年次は、セメスター留学でアメリカ・ケンタッキー州にあるマレー州立大学へ。3年次には、交換留学生として再び同大学で学んだ佐山さん。アメリカの田舎暮らしを楽しみながら、学業に打ち込む日々を過ごしたという留学体験について話を聞きました。
小学3年生から6年生まで、父親の仕事の都合でアメリカ・ミシガン州に住んでいました。言語習得しやすい時期にアメリカにいたおかげで、中学・高校は日本の学校に通いましたが英語は一番の得意科目。とはいえ、英会話はできても学術的な英語は習得できておらず、英語を体系的に学びたいと考え、外国語学部に入りました。
外国語学部にはセメスター留学という制度があり、2年次になると希望者は全員、短期留学することができます。私は小学生の頃に住んでいたアメリカに行きたくて、アメリカの中でも治安のよさそうなマレー州立大学へ留学しました。
セメスター留学では、ESL(English as a Second Language)という英語を第二言語として学ぶプログラムを受けていましたが、交換留学で来ていた日本人留学生と知り合いになり、彼女が学んでいたTESOL(Teaching English to Speakers of Other Languages)というプログラムに興味をもちました。TESOLは、英語を母語としない人向けに英語を教えるための教授法を学ぶプログラムです。自分自身、英語学習者の気持ちがよく分かるし、なにより言語を学ぶ楽しさを実感していたので、その楽しさを人に伝えられることが魅力でした。
セメスター留学から戻り、次は私も交換留学をしてTESOLを学ぼうと決めました。留学先についていろいろ調べましたが、マレーは穏やかで暮らしやすかったこと、日本人が少なくて英語漬けの生活ができそうだったことからマレー州立大学を志望。交換留学枠は1人でしたが、IELTSや面接をパスし、再びマレー州立大学へ行けることになりました。
TESOLは座学と実習があり、座学では英語教育の理論や技術を学びます。実習では授業計画書を作成したり、クラスメイトの前で模擬授業をしたりします。課題が多く、発表の場も多いので、まさに勉強漬けの日々。授業が終わったら図書館に引きこもって自習するのが日課でした。
一番苦労したのは、名城大学のゼミや卒論と留学先の勉強を両立させること。卒論関連の提出期限と留学先の期末が被ったときは本当に大変でした。日本とケンタッキー州は時差が13時間ほどあり、日本の夕方は向こうの朝方。提出期限に間に合わせるために、朝の3時、4時まで粘ることもありました。
正直、ここまで学業に打ち込んだのは人生で初めての経験です。これまでは挫折するのが怖くて、努力を避けてきたところがありました。でも、努力したらした分だけ達成感を味わえることを知りました。努力が報われて高い成績評価を得られたことも、これまでにない成功体験になりました。
留学期間の途中でくじけそうになったこともありました。いつも課題に追われて必死だったので、「疲れたな」、「留学期間の最後までもたないかもしれない」と弱気になってしまったのです。それでも、TESOLを学ぶのは面白かったし、交換留学を実りあるものにしたいという思いが勝って、10ヶ月間やりきることができました。
勉強漬けの毎日ではありましたが、ハロウィンや感謝祭、クリスマス、バレンタイン、イースターなど、季節のイベントをひと通り体験し、アメリカの田舎暮らしを垣間見ることができました。
感謝祭は友人宅にお邪魔して、伝統料理を振る舞ってもらいました。クリスマスは、日本では恋人同士のイベントというイメージがありますが、アメリカでは家族や大切な人とみんなで集まってお祝いする日。海外から来ている留学生が一人で過ごすことにならないようにと、現地の学生が留学生を積極的に誘ってくれます。私も仲良くしていただいた牧師さんの家のホームパーティーに参加し、賑やかなクリスマスを楽しみました。
滞在期間中に大統領選挙があり、その雰囲気を味わうこともできました。キャンパス内ではランチをしながらカジュアルに政治討論したり、デモをしている学生がいたり。まちでは支持政党の旗を掲げている家があり、選挙戦の盛り上がりを感じました。日本では政治に関心を示さない学生は少なくないし、関心があっても政治的思想や意見を表明する人は少ないと思います。若者からお年寄りまで、みんなが自分の意見をもち、政治の話をオープンにしているのを目の当たりにしてカルチャーショックを受けました。
二度の留学を経て、「言語を学ぶ楽しさを多くの人に伝えたい」という目標ができました。2年次のセメスター留学では韓国からの留学生が多くて、日本語を教えて喜んでもらえたり、逆に韓国語を学んで韓国語で話すことで打ち解け合えたりして、言語を媒介して人間関係が広がっていく経験をしました。また、TESOLを知り、3年次での交換留学につながりました。そして交換留学では、学ぶこと、努力することの楽しさを知り、もっと学びたいという気持ちが強くなりました。TESOLを知る前は言語教育にまったく触れてこなかったので、習得にはまだ時間が必要です。卒業後はアメリカに戻って、大学院でTESOLを引き続き学びたいと考えています。
そして、将来的にはアメリカを生活の拠点にしようと決めています。アメリカでは、政治の話に限らず日常のコミュニケーションにおいても、自分の好き嫌いや意見をオープンに話しても許される雰囲気があって、のびのびと暮らせると感じました。アメリカの田舎暮らしが性に合っていたので、次に行くときもきっと田舎を選ぶと思います。老夫婦がゴールデンレトリバーを散歩させている映画のワンシーンのような風景が似合う、アメリカの田舎暮らしを叶えたいです。
留学して1週目にすぐに友人ができました。一緒にキャンパス内にあるスターバックスへ
キャンパスのカフェテリアが停電してしまった日は、外で無料の食事が配られました
私の誕生日が近かったので、友人のご家族が盛大にホームパーティーを開いてくれました
感謝祭では伝統的なターキー料理をご馳走になりました。クランベリーソースやグレービーソースをつけて食べました
仲良くしていただいた牧師さんの家で過ごしたクリスマス。ツリーの周りにプレゼントがいっぱい!
テネシー州まで遊びに行った時の写真。いかにもアメリカンなハンバーガーが美味しかったです
これまで学んできたこととは違う新しい分野の学びに手を伸ばせるのも、留学の強みだと思います。私の場合は、セメスター留学したことでTESOLを知り、交換留学でTESOLを学ぶことができました。やたりたいことが見つかったら、どんなタイミングでも遅くありません。諦めずにチャレンジしてみてください。
プログラム | 交換留学 |
派遣期間 | 2024年8月〜2025年5月 |
研修地 | マレー州立大学(アメリカ・ケンタッキー州マレー) |
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