研究成果

平成31年度成果

放射光を用いた単層カーボンナノチューブ(SWCNT)生成の触媒反応機構の解明

あいちシンクロトロン光センター(瀬戸市)

SWCNT生成過程のその場XAFS測定法の開発

  • その場X線吸収微細構造(XAFS)測定によるカーボンナノチューブの生成メカニズムの解明を行った
  • エレクトロニクス応用可能なカーボンナノチューブ作製技術のための生成メカニズムの理解を目指した
  • 昨年度から装置改良を進め,測定の高速化を進めた

1スペクトル 10 分 → 1分以内

細径の単層カーボンナノチューブ(SWCNT)の高密度成長

Ir(イリジウム)触媒から成長した細径SWCNTのSEM像とTEM像

  • 直径1 nm以下のカーボンナノチューブが高密度配列
  • エレクトロニクス材料や水中の不純物除去用濾過膜への応用

Jpn. J. Appl. Phys.に掲載

カーボンナノチューブ内空間を利用した低次元材料の作製

カーボンナノチューブ内に成長したテルルナノワイヤーと遷移金属カルコゲナイドナノワイヤーの横断面TEM像(左)と縦断面TEM像(右)(左の束:空のナノチューブ断面,右の束:ナノワイヤー内包断面)

ナノチューブ内ナノワイヤ―の高分解能TEM像

  • 新規物性発現を目指した一次元金属ナノワイヤーの創生
  • カーボンナノチューブのエネルギーギャップ変調

希少金属利用削減を目指したナトリウムイオン電池電極材料開発

リチウム(地殻内存在量 20 ppm)

活物質(イオン放出・貯蔵材料)
酸化物ナノチューブ構造体を用いるときの利点

  • 層状構造を有するため層間へのイオン挿入が可能
  • ナノチューブ化によるイオン挿入・脱離特性の向上
  • 正極材料 : 酸化鉄,酸化バナジウム など
    酸化還元電位:高い
  • 負極材料 : 酸化チタン など
    酸化還元電位:低い

リチウムイオン電池の構造

酸化鉄ナノチューブのTEM像

Na含有酸化バナジウムのTEM像
ナノチューブナノロッドのTEM像

Na含有酸化チタンナノチューブのTEM像

  • 酸化物ナノチューブの合成とNaのドーピングに成功
  • 導電助剤としての可能性
    (二次電池電極へのカーボンナノチューブ添加,活物質への電子移動パスを確保)

固体高分子形燃料電池(PEFC)

  • 水素と酸素の化学反応からエネルギーを取り出す
    反応を促進する電極触媒が性能の鍵
  • カソード電極触媒大量に使用されている

燃料電池の構造

カソード電極触媒

  • カソード電極では、白金系(PtCo/C)触媒が主流
  • 将来的に脱白金化を目指す

地殻中の元素の相対的な存在量

  • コストが安く,比表面積の大きな酸化チタンナノシート・ナノワイヤーの電極触媒への応用の検討
  • ドーピングによる触媒活性向上とそのメカニズムの解明

Gordon B. et. al., USGS, Relative abundance of elements in the Earth's upper crust., http://pubs.usgs.gov/fs/2002/fs087-02/ (2003)

Nbドープ酸化チタンナノワイヤーの合成

Nbをドープした酸化チタンナノワイヤーの合成に成功した

酸化物ナノシートをモデル材料とした反応解析

AFM像

結晶構造

XAFS解析

酸素還元活性

結合間距離

  • 結晶構造の歪みが触媒活性に影響を与えることを見出した