学部・大学院科目 Pick Up

数学専攻(博士前期課程・博士後期課程)

代数学専修分野

「代数的整数論特論I・II」では、二次形式の整数解などの問題を代数的または解析的に扱う研究や、代数体の単数の分布を代数的かつ解析的に調べる研究に基づいて、代数的整数論や二次形式の整数論についての講義が行われます。「環論特論I・II」では、代数的不変式論の研究やグラフの隣接行列やラプラス行列のスペクトル等の代数的不変量の研究に基づいて、可換環論や代数的組合せ論の講義が行われます。

幾何学専修分野

幾何学研究の基礎である「多様体の概念」、「多様体上の種々の幾何構造」、「多様体への群作用」などについての理解は、幾何学を学ぶうえで基本となる出発点です。幾何学の基本問題の一つは幾何構造の局所同値性を示すための不変量の研究であり、その典型例が接続の曲率と捻れ率です。幾何学的不変量の研究と同時に局所同値写像を構成する研究も近年重要性が増しており、多くの研究において、「線形ないしは非線形の偏微分方程式系の可積分性」を幾何学的不変量と結びつけることで、よい成果が得られています。さらに、大域的な構造を把握するための多くの概念と計算技術が開発されています。このような現状を踏まえ、必要な基礎知識の習得と基本的研究成果の理解を得るため「微分幾何学特論I、II」、「解析幾何学特論I、II」、「非線形幾何学特論I、II」が開講されています。

関数解析学専修分野

物理学や工学などの自然科学における基本法則は微分方程式の形で表されることが多くあります。微分方程式を解くことが未来を予期し問題を解決することになります。「関数方程式特論I、II」では現代的な微分方程式の研究の道具として、ヒルベルト空間、ソボレフ空間、 自己共役コンパクト作用素のスペクトル分解、非有界自己共役作用素とについて学ぶとともに、微分方程式の基礎理論として、解の存在、解の一意性、初期値とパラメータに関する解の連続性にも触れます。「複素解析学特論I、II」では複素解析の立場からの解析手法を深めます。特に、複素函数論と関数解析の両面に関係する理論を学び、微分方程式論やポテンシャル論への足がかりとします。「現代解析学特論」ではより応用を意識して、ウエーブレット理論が講義されます。

大域解析学専修分野

「大域解析学特論I、II」では、変分法を用いて、曲線の微分幾何学的研究(等周問題、サイクロイド、カテノイド、弾性曲線)、および曲面の微分幾何学的研究(液膜が作る面積最小曲面を求めるプラトー問題、液膜が作る平均曲率一定の曲面、平衡状態におけるリポソーム(人工膜小胞)の形についての自発曲率モデルなど)について講義します。「大域空間解析学特論I、II」では、主に3次元球面内の結び目や絡み目の大域的位相構造について講義を行います。特に、結び目の外部空間の構造を、配色、基本群、表現などの位相不変量を用いて調べるとともに、不変量が持つ位相幾何学的背景(意味)についても考察します。

情報数学専修分野

「確率および量子情報論特論I、II」では、主にゆらぎに伴い持問変動する現象を確率過程、確率場などでとらえ、それらの汎関数や超汎関数の解析の(無限次元確率解析としての)理論・応用研究に基づいて講義が行われます。数理物理学、数理ファイナンス、量子情報解析などへのアプローチ、境界領減上の話題などにも興味があれば触れます。「確率過程特論I、II」では、マルコフ過程の大局的構造を大偏差原理の観点からとらえ、その理論・応用研究lこ基づいて講義が行われます。特に、状態空間に作用している群に関して不変になるマルコフ過程の固定端運動の滞在時間分布の大偏差原理を中心lこ考察します。「数論的確率論特論I、II」では、エルゴード理論、符号力学系の手法による数議の研究、および逆に数論的手法のエルゴード理論、符号力学系への応用研究に基づいて講義が行われます。特に、デイオファンタス近似理論や一様分布論との関係について考察します。「統計数理学特論」では、統計解析に基づいて講義が行われます。特に、現代社会におけるあり余る情報をいかに取捨選択し、科学的に意思決定を下すかに重点をおきます。「計算機数学特論」では、代数体の研究に利用している計算機の活用方法に基づいて、計算機代数の講義が行われます。特に、計算機を用いた数学の研究方法について考察します。「非線形数理特論」では、非線形解析にまつわる理論と、その方法を利用した現象の解析に基づいて講義が行われます。特に、数値計算法による偏微分方程式の解析と、その計算法の特徴を主なテーマとして考察します。さらに、関連科目として、情報理論、数理ファイナンス、オペレーションズ・リサーチなどの専門家による「確率情報論特論」、国内外の教授による集中講義「量子確率論特論」、「無限次元解析特論」 が開講されています。

情報工学専攻

知的制御システム特論

複数の項目についてそれらの重要度を算出しその順に並べ替えるランキング手法について学びます。ランキング手法は検索エンジン、通販サイト、テストの設計などにも利用されますが、この特論ではスポーツの結果から各選手やチームの強さを評価し、未来の試合の結果をどの程度予測できるのかについて学びます。数学的な根拠のある手法をいくつか学んだ後、実際のスポーツ大会(サッカーFIFAワールドカップなど)を予測対象とした予測コンペに参加します。

アルゴリズム特論

コンピュータ上でデータを処理するための基礎的なアルゴリズムのうち、学部の講義で扱っていない多少高度な内容について講義します。たとえば、確率的な性質を積極的に用いたアルゴリズムを扱います。確率を用いたアルゴリズムは、必ず停止することが保証されなかったり、結果の正しさが厳密には保証できない可能性があります。しかし、平均的な意味で有限時間で停止したり、実際には非常に高い確率で正誤判定が可能であるものが知られており、暗号理論などに応用されています。この他にも、複数のプロセッサを同時に利用する並列アルゴリズムなどについても説明します。

人工知能特論

現在、様々な分野で人工知能の技術が活用されています。本講義では、人工知能の適用の際に考えておくべき事項や、実際の適用例について、実際にプログラムを動作させながら学習します。

ネットワーク特論

モバイルデバイス、ネットワークシステム、クラウド、IoTなどのユビキタス/パーベイシブコンピューティングシステムやスマートシティ/スマートモビリティなどに関する研究事例を調査し、プレゼンテーションおよびディスカッションを通じて最新のネットワーク技術を学びます。さらにパーベイシブシステム開発を実践することにより、コンピュータネットワークに関する知識や見識を深めます。

電気電子工学専攻

電気エネルギー工学特論I・II

現代社会を支える電気エネルギーについて学ぶ。電気エネルギーは日常生活や産業のさまざまな分野で使われており、現代の社会生活に不可欠なものとなっている。一方、環境問題への意識の高まりから、再生可能エネルギー電源の導入規模が拡大しており、電気エネルギーを発生させる形態が従来と比べて多様化している。電気エネルギー工学特論Iでは、電気エネルギーの発生形態について学ぶ。電気エネルギー工学特論IIでは、従来からの電力系統と再生可能エネルギーが主体となる電力系統について、電気エネルギーを供給する形態について学ぶ。

エネルギー変換工学特論I・II

21世紀に人類が直面している諸問題は保全、成長、安定供給というお互いに相容れない問題を内包している。これらの問題はお互いに複雑に絡み合っており、容易に解決方法が見つかるものではない。本講義ではこの問題の本質について講義する。前期は現在から21世紀中頃までのエネルギー・資源・環境問題について展望する。後期は、対策、新技術について考える。

制御システム工学特論I・II

制御システムの代表例として、自動運転システム、ロボットシステムのソフトウェア構成について学ぶ。
制御システムは基本的に認知・判断・制御という3ブロックから構成される。本講義では、まず各ブロックで現在実用化されている技術を紹介する。現在の技術の紹介後、研究段階ではあるが国際会議等で注目されていて、将来的に使用される可能性がある技術について議論を行う。

視覚制御工学特論I・II

以前はあらかじめ人間が設定した環境下で対象を制御する機会が多かったが、最近ではロボットのように制御対象自らが移動し、制御対象の周囲の環境が時々刻々と変化する場合が増えてきている。そのような場合、人間に危害を加えたり、物を壊したりしないように、制御対象自らが自分の周囲を認識する必要がある。また、自動車にはカメラが標準で装備されるようになり、それを用いて自動的にブレーキをかけるシステムも搭載され初めている。今後は、車の自動運転制御システムの開発が進み、視覚による道路や環境の認識・制御の技術が益々重要となると考えられる。そこで、本講義では視覚により周囲の対象を認識する方法を学ぶ。

電気電子材料工学特論I・II

環境負荷を抑制しつつ、エネルギーの発生、輸送、貯蔵、変換を高信頼度かつ高効率に行うためには、どのような材料が必要であるか、また新しく開発された材料を上手く利用できないか。これらのことを追求する学問がエネルギー環境材料工学である。本特論では、その基礎となる学問分野、特に学部課程では触れられなかった分野についてについて学び、概要を理解する。

薄膜工学特論I・II

大規模集積回路の進展は著しく、これを支える薄膜化技術は次々に革新がはかられ、多様化している。対象とする材料は、半導体、絶縁物、金属、有機材料と多岐にわたり、利用するエネルギーは、熱、ラジカル、イオン、光(赤外線、紫外線、X線、放射光)と、あらゆる可能性が検討されている。薄膜工学特論Iでは、集積回路プロセス技術を中心に、代表的な薄膜化技術について解説する。薄膜工学特論IIでは、まず薄膜材料の微細加工技術について解説する。続いて、プラズマを用いた薄膜形成・微細加工(プラズマプロセシング)における、プラズマの診断について解説する。最後に、機能性薄膜開発の最新動向を紹介する。

ビーム応用工学特論I・II

ナノテクノロジーの発展にビーム応用分析装置(電子顕微鏡等)のはたしてきた役割はきわめて大きい。この授業では、電子源や電子レンズなどの電子光学部品の知識を理解すると共に、電子線応用分析装置との関連などについて体系的に学ぶ。

光波電子工学特論I・II

光技術は高速大容量通信分野では必須のアイテムであり、情報化時代の基盤技術の一つである。これら光技術は光計測にも応用され、先端的な医療計測装置をはじめ多くの用途に応用されている。本特論ではこれら先端技術を理解するための光デバイスの原理や応用について講義する。

情報通信工学特論I・II

携帯電話の普及により、「いつでも、どこでも、誰とでも」話ができるようになったが、この携帯電話に代表される無線通信技術を究める学問が通信工学である。情報通信工学特論Iでは、無線伝送を中心に、通信工学の応用技術について学ぶ。

材料機能工学専攻

カーボン材料特論 I・II

カーボン材料は、今から30万年以上も前の消し炭に始まり、現在でも航空機やスポーツ用具など身近な構造物の代表的な材料として利用されています。このように人類の歴史とともに歩んできたカーボン材料の新しい仲間として、20世紀末にフラーレンとカーボンナノチューブが発見され、ナノテクノロジーを切り開く夢の新素材としてカーボンが改めて脚光を浴びています。本特論では、現代の先端技術を支えているカーボンの基礎から新素材として注目されているカーボンナノチューブの製法や応用までについて学びます。

結晶材料特論 I・II

従来、結晶材料としてはバルク材料がほとんどであったが、近年、ナノメートルの大きさを持つ物質の物理化学的な性質が大きく取り上げられ、材料表面の電子状態と絡めて議論することが必要不可欠となっています。このような状況を考え、周期的境界条件がくずれる表面での磁性状態および電子状態と絡めた結晶材料に対する新たな考え方を紹介します。また、物質を構成する原子の結合は電子雲の重なりあいに由来します。このような電子雲の重なりあいは物質の性質を左右し、金属や絶縁体になったり、かつ、磁性体にもなりえます。その中でも本特論では、物質の磁性に着目し、物質の磁性測定法の一つである電子スピン共鳴を取りあげ、その原理から、測定法の詳細に取り組み、磁気共鳴現象の基礎を理解します。また、実際に電子スピン共鳴の実験を行い、電子スピンと核スピン相互作用の結果生じるスペクトルの超微細構造の解析を行い、理解を深めます。

超伝導材料特論 I・II

銅酸化物高温超伝導体をはじめとする超伝導材料に関して、BCS理論に基づくフォノン機構を学習したうえで、高温で超伝導が発現する機構のとりまとめ、現象論的な観点から超伝導の基本的発現メカニズムを理解します。さらに、高温超伝導材料の合成法・作製方法を習得し、種々の超伝導特性を理解するため、高温超伝導体の結晶構造とホールドーピングの関係、超伝導材料を応用する際に必要な臨界電流特性を取り上げ、量子化磁束ピンニングなど応用に際して検討すべき課題について理解を深めます。

ナノ電子材料特論 I・II

ナノ電子材料には、特に、可干渉性に優れた電子を放出するナノ電子源と呼ばれる材料があります。本特論では、ナノ電子源における表面電子物性と電子放出現象を理解し、その機構解釈を拡張することで、ナノ電子材料における電子輸送の一般論を洞察することを目的とし、電子の運動の量子力学的な把握、電子放出現象、金属と半導体の仕事関数、さらに、最新の真空ナノ電子材料を学びます。

半導体デバイス特論 I・II

本講義では、前半と後半に分け、前半では半導体光物性の基礎理論について講義形式と演習により、また後半ではテキスト「Diode Lasers and Photonic Integrated Circuits」の第二章を輪講形式で進めます。急速に社会に広まりつつある発光ダイオードと半導体レーザの発光機構に関する現象論的解析手法を学び、実験結果との定量的な比較検討が可能なことを認識します。さらに、素子特性に大きな影響を与える材料物性値が、その比較検討から得られ、さらなる素子特性向上に向けた指針に結びつくことを理解します。また、原著英文を通じて英語に対する読解力の向上も目指します。

エレクトロニクスデバイス特論 I・II

本講義では、半導体材料を中心としたエレクトロニクスデバイス用材料に関して概説します。学部時代に学んだ、バンド理論やpn接合、オーミック接触・ショットキー接触等の基本事項を確認後、半導体デバイスの動作原理について概説します。特に、トランジスタ・FETやLED・太陽電池等の発光・受光素子などについて、その動作原理を学びます。また、エレクトロニクスデバイス特論IIを中心に、デバイスシミュレータを用いた演習を実施し、半導体デバイスの動作原理等について理解を進めると同時に、実際の半導体デバイスの設計を行う能力を養います。また、これらの検討結果は、エレクトロニクス材料特別演習・特別実験において活用します。

エレクトロニクス材料特論 I・II

材料機能工学の基本科目である固体物理学に関して、高度な内容を学習します。テキストとして、名著の誉れが高いキッテル著の「固体物理学入門」(Introduction to Solid State Physics)の英語版原書を用います。本講義では、専門知識の習得ばかりでなく、大学院レベルの以下の学習スキル取得を目的とします。(1)原著教科書の読解スキル、(2)高度な専門内容にかかわるディスカッションスキル、(3)課題解決に向けた調査スキル、(4)プレゼンテーションスキルを習得します。

コンポジット材料特論 I・II

コンポジット材料特論では、繊維強化プラスチック(FRP)および繊維強化熱可塑性プラスチック(FRTP)を対象に、その基本物性と設計法についての知識を理解するとともに、設計された機能を発現させるためには成形加工技術との連携が必要であることを体得します。特論Iにおいては、高分子の成形現象を理解するのに必要不可欠な固体高分子の構造や粘弾性の概念について学びます。また、特論IIでは、コンポジット材料の機械的特性、電気的特性、熱的特性、トライボロジー特性などに関する最近の事例研究を通して、研究動向を把握します。

金属材料特論 I・II

現在、ステンレス鋼、コバルト・クロム合金およびチタン合金等の金属系生体材料が数多く研究・開発されています。これら金属系生体材料の使用に対する安全性を考慮した場合、さらなる高力学機能化が重要視されています。特にチタン合金は耐食性および機械的強度に優れることから、今後、生体応用のみならず、次世代の金属材料として有望視されています。本特論では、生体用金属材料および航空宇宙用など次世代の金属材料における研究開発の基礎および応用として、合金設計、加工熱処理および強加工について解説し、金属材料の高機能性付与について学びます。

生体材料特論 I・II

ステンレス鋼などの金属材料や、プラスチック、セラミックスなど、既にさまざまな材料が臨床医学に応用され、生体機能を補助または代替する材料として生体内に移植されています。しかしながら折損や摩耗、緩みなど未解決の問題も多く、さらに優れた生体材料が待望されています。生体材料の基礎として生体組織の構造や機能、材料の生体親和性、および生体材料による治療を必要とする代表的疾患と、生体材料を使用した治療法について解説し、さらに表面処理や複合化による材料開発、機能を向上させる技術について学びます。

応用化学専攻

応用有機化学特論

有機化学とその周辺分野、特に光化学・電気化学・錯体化学との境界領域における最近の研究に基づいて、有機化合物を利用した新機能開発の手法について修得します。具体的には、特異なπ電子系を利用した有機分子の酸化還元挙動、光励起による電子移動の制御、電気化学分析手法を用いた有機化合物の電子状態の詳細解析、金属錯体の配位子の酸化状態変化とそれに伴う金属中心の反応性制御・新規触媒開発への展開などについて取り扱います。

応用生命分子科学特論

生物のエネルギー変換、とりわけ光合成と呼吸の機構について生化学的立場から概観し、生物のエネルギー獲得戦略とその工学的応用について修得します。具体的には、光合成反応中心の分子構造とその機能、キノンプールの分子機能と生化学的エネルギー変換における意義、生体膜を介したプロトンポンプの動作機構、電子伝達タンパク質の構造と機能などについて学び、工学的応用の実例として藻類を用いた物質生産、光合成反応中心タンパク質の分子素子としての応用などについて学びます。

先端超分子化学特論

弱い分子間相互作用を鍵として、有機化学を中心に錯体化学や無機化学、生物科学と関わりながら発展した超分子化学について、主に複雑構造の構築と機能発現という側面から、歴史的な経緯と共にその先端事例を紹介します。具体的には、合成二分子膜、高分子ミセルを用いた人工酵素系、クラウンエーテルの発見と分子認識化学、有限/無限金属錯体,無機超分子、生体内に見られる自己組織化現象、DNAナノ構造、自己集積化単分子膜、トポロジー化学、動的超分子、光機能性・電子機能性超分子などを取り上げます。

ソフトマター特論

いわゆる"柔らかいもの"を対象とするソフトマターは、化学や生物および物理を中心にこれらの学際領域や周辺領域にまたがる広い概念です。本特論では具体的な基礎研究例として、高分子や液晶、コロイド、エマルション、両親媒性化合物、生体分子、ガラスなどを取り上げ、原子・分子レベルからバルクスケールに至るまでの階層的構造と物性の相関を議論します。また、電子材料や食品、化粧品産業などへの応用事例についても言及します。

機能性高分子材料特論

高分子の機能、およびその材料としての特性について学ぶ。合成高分子から天然高分子まで高分子の素材選択による特性の相違とその応用展開の方策について修得します。特に、高分子の自己組織化によって構築された分子集合体を用いた材料や化学反応に伴った動的挙動の発現を取り扱います。一例として、刺激応答材料を挙げ、その動的挙動の発現におけるメカニズムを理解し、インテリジェント高分子材料の設計と創成について根本理解を図ります。

バイオマテリアル特論

タンパク質や酵素、DNAなど高度な自己組織化構造を構築することで生命機能を支える物質群を利用した材料構築に立脚して、生体高分子の機能発現の基礎を学び、それらの材料化における応用展開の方策を修得する。アミノ酸配列の制御による二次構造や三次構造の構築やタンパク質の化学修飾による人工タンパク質設計、DNAの二重らせん構造や塩基対の選択性を利用した分子認識能など、構造と機能の相関性を理解し、材料としての応用について学ぶ。

機能ナノマテリアル特論

ナノカーボン材料や半導体量子井戸・量子ドット材料を中心として、ナノメートルサイズの物質や構造体について、その多彩な物性と応用展開の可能性について概説する。物理化学・量子力学の基本知識を出発点として、量子サイズ効果による物質の電子構造変化とそれに伴う新たな光・電子物性の発現について解説する。また、バリスティック伝導やクーロンブロケイドなどメゾスコピック系や低次元物質特有の量子輸送特性についても紹介する。さらに、ナノマテリアルの作製法と物性評価法についても講述する。

応用物性化学特論

量子化学の原点に立ち返り、電気伝導性や化学反応性に関して電子波動関数の幾何学的結合形態から理解する。このため s, p, d 軌道を水素様原子のシュレディンガー方程式から導出する復習を行い、電子軌道の本質を習得する。その後、電子軌道の位相を考慮した結合形態とブロッホ状態を融合させ、一次元配列した原子鎖に対するバンド形成の概念を、電子の波数を取り入れて教える。次に、次元を拡張し、最終的に3次元固体のバンド形成・バンド分散に関わる本質を修得する。

応用磁気化学特論

固体物性を支配する電子について、その局所構造を探る電子磁気共鳴を取り上げ、磁場中での挙動を詳細に取り扱う。まず、時間に依存する物理量を取り扱うハイゼンベルグの運動方程式から出発し、磁場中での電子スピンの運動が、古典力学におけるトルク方程式に一致することを習得する。その後、トルク方程式に立脚し、電子系に吸収された磁気エネルギーが逸散する緩和過程を定量的に取り扱い、物質の電子物性をミクロな視点で考えられるようにする。また、実際の磁気共鳴データ解析方法についても習得する。

物質機能物理化学特論

物質の機械的性質、熱的性質、電気的性質、磁気的性質、光学的性質といった物性は、大きさや形状、結晶構造、表面構造、電子構造などの諸因子に依存して現れ、それを利用することで様々な機能が実現される。各種機能における典型的な物質について学術論文をもとにケーススタディを行い、物質と物性、さらには機能との間の因果関係や、諸物性間の相互関係を掘り下げることで物質に対する理解を深め、機能性物質の動作原理と設計概念を学ぶ。

環境化学特論

地球規模から身近な地域の環境問題を概説するとともに、環境保全に関する方策に関して化学的な視点から説明する。環境問題は、人間社会における資源の利用に伴う廃棄物(化学物質)が引き起こす問題であり、化学的な理解が重要である。その環境保全、環境浄化のために必要な化学的視点を、学部にて培った有機化学、無機化学、材料化学、分析化学の基礎化学をもとに、総合的な環境化学としての理解を深め、環境問題に対する意識向上を目指す。

グリーンケミストリー特論

サステナブルな社会の形成のため、化学物質を製造から廃棄・再利用するサイクルにおいて、化学物質による自然環境への影響が少なく、生物に対してより安全な化学技術に関して、理解を深める。それらの技術として、例えば、安全な化学物質を利用した効率的な合成、触媒反応の利用、生分解性物質の利用、再生利用技術等のグリーンケミストリーに関する技術を各自選択し、自発的に、問題意識および技術内容を深く掘り下げることができるようにする。

機能性エネルギー材料特論

持続可能社会を支えるために高効率でクリーンなエネルギーの創生・貯蔵および省エネルギー技術を生かした各種エネルギーデバイスの開発には機能性材料の開発が不可欠である。燃料電池に代表される化学反応のエネルギーから電気エネルギーへの変換には、それを担う電解質材料の高機能性が重要であることから、エネルギー変換・貯蔵機能発現のメカニズム、それら機能材料となる物質の合成・加工、特性評価の学びから、環境と調和した新物質・新素材の開発と応用、さらなる高性能化に関する理解を深める。

無機材料科学特論

セラミックスをはじめとする無機材料の機能性は多岐にわたり、その機能性や諸物性を利用した応用は、環境・エネルギー分野、生体関連のバイオ分野、さらには電子、光学、情報通信分野にまで広がっている。本特論では工業で利用される無機材料を主に、セラミックスの構造と合成プロセス技術を通して、化学的、電気的、磁気的および機械的に優れた性質を備えた無機化合物の結晶構造とその性質との関連性および諸物性の発現機構を取り扱い、無機結晶材料に関する理解を深める。

導電材料特論

電気伝導性を有する導電材料について、物質の導電機能を主に導電性発現についての基礎的な事柄を習得すると共に、これら材料の微視的な構造や現象と諸物性の発現との関係を明らかにする。具体的には、電子伝導性およびイオン導電性を有する代表的な固体導電材料を取り上げ、それぞれの導電性発現の物理・化学的な基本原理やメカニズムを理解し、それら材料の合成・加工に関するプロセス技術の学びから、高機能性を目指す材料設計への応用までを取り扱う。

低温物性特論

物質を低温にしたときに表れてくる物質特有の性質および低温で起こる様々な現象を物性物理学の基礎から学ぶ。低温世界で起きる現象は量子力学の世界であり、「超伝導」「量子ホール効果」などの興味深い発見が目を引く。特に、超伝導については、物質科学と電気的・磁気的性質および極低温領域における物性の固体電子論、電気伝導性と電子フォノン相互作用などを取り扱い、現象の理解を深めるとともに、種々の化学物質には原子構造に起因する特徴的物性の発現が期待されることから低温物理の世界の広がりについても学ぶ。

固体表面化学特論

固体表面上での分子の吸着現象、電気二重層の形成、触媒反応の進行などについて最表面原子の電子状態や構造の観点から説明する。また、バルク内部の原子が最表面に存在する原子に与える影響や単原子層などの低次元材料における電子状態および物性についても概説する。具体的には、吸着相互作用について説明し、固体-気体界面および固体―液体界面にて生じる吸着現象と表面電位の関係について理解を深める。また、触媒反応と指数面の関係を金属および酸化物上でのアルコールの酸化を例に説明し、表面状態と触媒活性について理解を深める。

生命エネルギーデバイス特論

古くから、酵素を利用した酵素電池などバイオメティックなエネルギーデバイスに対する研究がなされている。そこで本講義では、酵素電池だけでなく、最新の研究例も踏まえたバイオ燃料電池およびバイオ蓄電池に加えて生体適合エネルギーデバイスについても概説する。具体的には、酵素を電荷輸送に用いた酵素電池の仕組みとデバイス内で生じている化学反応について解説する。その後、グルコースやヘモグロビン、血清などを用いたバイオ燃料電池の最新の研究例を紹介・解説する。

機械工学専攻

流体工学特論I(熱・流体専修分野)

流体力学の概念、基礎方程式の系統的展開について講義します。
非圧縮性流体の支配方程式であるナビエ・ストークス方程式の性質について触れ、対流加速度、粘性応力の概念について述べます。
到達目標:流体力学の基礎方程式を導き、応用できる。

材料システム工学特論I(材料・強度専修分野)

本特論は、各種材料の強度特性について種々の観点より検討するための基礎的知識を習得することを目的とします。例えば、材料の機械的性質に及ぼす影響因子、疲労強度特性に及ぼす影響因子などについて最新の破壊事例などをまじえながら講述します。また、破壊力学の基礎について講述します。テキストにより、分担を決めて行います。(担当部分はパワーポイントを用いて発表形式で行います。)
到達目標:材料強度学および破壊力学の基礎概念を把握し、具体的問題に応用できる。

特論(設計・生産専修分野)

各種機械加工の主要な命題である高速・高能率加工に加え、高精度・高精密あるいは超精密加工の観点から、加工精度に極めて大きな影響を及ぼす「機械加工のトライボロジー」について教授します。すなわち機械加工された表面の性状特性の評価方法、2面の乾燥状態下における接触状態について検証します。また各講義段階で、学生自身によるリサーチに基づくディスカッションを適宜行い、理解を深めます。
到達目標:学際領域学問であるトライボロジーにおいて、機械加工された工学表面の評価方法、粗さを持つ2表面の接触状態など、実際の工学表面を工学的に評価・分析する手法を体得する。

特論(運動力学・制御専修分野)

・機械機能工学特論I
平板や梁、殻、膜などを構造要素とする軽構造が大きな変形(静的、動的)や応力(静的、動的)を受けたときの強度や変形、座屈、振動等に関する設計計算の厳密性が益々必要とされており、本特論では、こうした静的、動的変形挙動を理解するのに必要な非線形力学の基本的概念と理論を講じます。
到達目標:非線形力学の重要性を理解するとともに、多くの工学上の問題に適用できるようになる。

・生体工学特論I
本特論では、生体すなわち人の運動を機械力学的な手法でモデル化する際の基礎的手法や、そのモデルを介して生体の諸機能を解明する試みおよび生体の機械モデルを構築する基礎について講じます。
到達目標:身体運動を生体工学的に考えるための力学の基礎、さらにバイオメカニクス的研究を遂行する場合の主要な研究法、計測法、シミュレーション方法の基礎を修得する。

・知的制御工学特論I
本特論では、ロボットアーム制御を中心としたロボット制御の基礎理論を学びます。ロボット制御に必要な座標変換、運動学、動力学、各種制御手法などについて学びます。さらに、これらの基礎理論をコンピュータ上でプログラミングすることにより、理解を深めます。
到達目標:ロボット制御理論の基礎について理解し、ロボットのモデル化、制御系の設計、基本的なコンピュータプログラムの作成ができるようになる。

・知的制御工学特論II
本特論では、現在推進されている人工知能をベースにした知的制御を理解することを目的とします。ロボット工学を中心とする制御工学は、既存の制御理論を適用するだけでは設計が困難です。特に実際の環境できびきびと動作するためには、数理的理論のみならず、モノの機構を積極的に活用した性能設計が必要となります。また、知的制御にしばしば適用される制御要素技術に関して理解することを目標とします。
到達目標:知的制御の事例を理解できる。ロボット制御における機構設計の重要性が理解できる。ロボットの動作目標に対する概念設計が理解できる。

交通機械工学専攻

エネルギー科学特論I・II

エネルギー源を仕事に変換する機械としてエンジンがあります。エンジンを自動車等の交通機械に用いた場合、環境に与える影響を少なくする必要があります。陸上交通機械用エンジンの代表の一つであるガソリンエンジンやディーゼルエンジンから排出される汚染物質が原因となって社会問題が生じていると同時に化石燃料の節約は益々要求されています。現状ではエンジンの本質を十分に理解したうえで、避けて通れない排出物質の発生メカニズムを講義します。陸上エンジンの主流は今後もレシプロエンジンであり、エネルギー消費減少の面から種々のエンジンが考案されています。ディーゼルエンジンをはじめハイブリッドなどについての実用性の工学的本質およびエネルギーの有効利用の実際を講義します。

推進工学特論I・II

推進工学特論Iでは、航空宇宙工学において遭遇する流れと化学反応がカップリングした応用例として、推進機関内の流れや飛行物体が大気圏再突入する際の空力加熱などが挙げられます。上記への応用例を念頭に置きながら化学熱力学の基本概念や多成分反応系の気体力学保存方程式の導出を学びます。Maxwell の関係式、アレニウスの反応速度定数。
推進工学IIでは、ターボジェット/ラムジェット/ロケットエンジンの機能や性能および宇宙開発と関連してラバールノズル、多段ロケット、有効排気速度、静止衛星も学びます。

流体システム特論I・II

航空機、自動車、鉄道車両など交通機械分野の開発において、機体(車両)の空力特性の向上や流体騒音の低減など、流体工学の果たす役割は大きいです。これらの課題の解決には、それぞれの流れを十分理解し、流れを制御することが求められます。流体システム特論Iでは、流体運動を理解するために、「流れの運動方程式」や「連続の式」など、流れの支配方程式を導出し、その物理的意味と、実際の流れとの対応関係を学習します。続いて、流体システム特論IIでは、「層流-乱流遷移」と「流れの制御方法」について講義・学習します。

流体科学特論I・II

流体科学特論Iでは、先ず、学部で学習した流体力学で特に重要であった、基礎的な範囲を概観学習します。流体科学特論I・IIを通じて、境界層、伴流の層流-乱流遷移の基礎的部分である粘性流体の流れについて解説します。具体的には、(1)境界層理論の創始と初期の発達、(2)境界層流れの不安定、(3)物体からの剥離流れについて、(4)乱流研究の発達、(5)自由剪断流の層流-乱流遷移、(6)乱流剪断流の構造などについて講義解説します。

構造力学特論I・II

近年、工学や技術の発展により機械構造物の設計条件は、軽量化、高強度化などますます厳しくなっています。衝突時のような場合には、安全性の観点から塑性域での適度な変形によりエネルギーを吸収することも重要です。また、設計上実用的な有限要素法等の理解には、材料力学だけでなく弾性力学の基礎も必要です。構造力学特論Iでは、弾性力学や材料力学、塑性力学等の連続体力学を体系的に学びます。構造力学特論IIでは、衝撃荷重に対する取扱い、エネルギー吸収について学び、機械の状態把握に必要となる、ひずみや荷重の測定原理・方法について学びます。実際の設計・製作につながるよう、材料力学的な観点から、強度や安全性確保の問題について、基本的な考え方を修得します。

軽量構造学特論I・II

軽量構造の典型として、航空機やロケットの構造を挙げることができます。今日では、機能や経済性向上の要求から、機械、建築、土木その他多くの分野における構造物に軽量化の思想が盛り込まれています。軽量構造としては、多種多様のものがありますが、平板やシェルを構成要素として用いているものがほとんどであり、平板やシェルの強度あるいは変形の問題は、軽量構造設計においてきわめて重要です。そこで軽量構造学Iでは、軽量構造設計に関して重要な平板やシェルの基礎理論について講義します。複合材料は、高い比強度と比剛性をもつことから構造物の軽量化などを目的として各種構造物の構造材料として広く利用されるようになりました。このような複合材料構造物の強度ならびに変形を知ることは、複合材料構造の設計にとって欠くべからざるものとなっています。そこで軽量構造学IIでは、最初に異方性弾性論について概説し、さらに異方性弾性論を繊維複合材料に拡張、発展させ、単層板、多層積層板の理論について考えます。また、複合材料の板、シェルについても講義します。

マンマシンシステム学特論I・II

自動車・航空機・鉄道車両などの交通機械は、人間が操作して初めて走行したり、飛行したりすることができます。たとえ自動運転であっても、運転が正常に行われているか、人間が監視しなければ安全な運用ができません。つまり、交通機械は常に人間からの操作指令を受け、人間との間で情報を授受しています。このような系では、人間と交通機械との間の相互作用(Intereaction)、すなわち一方の情報や指令が他方の行動や作動に影響することも問題になります。このような系をマンマシンシステムと呼びます。本講義では、マンマシンシステムの基礎について解説し、交通機械特有の問題について考察します。

知的制御特論I・II

本講義では機械装置においてトルクや力の伝達の挙動の基礎となり、かつ応用範囲の広い2マスモデルを事例に、その共振や反共振特性などについて時間応答、周波数応答を説明した後、機械系の摩擦やガタ、サーボアンプの電流リミット、モータのトルク飽和、コントローラ出力電圧の飽和などの非線形特性や、デジタルコントローラのむだ時間特性や量子化誤差を追加し、その制御系設計手順をPI制御時のリセットワインドアップ対策も含め説明します。さらにPID制御とI-PD制御の比較、2自由度制御、デジタルフィルタについても述べます。

材料科学特論I・II

自動車や航空機などの乗り物の制御には、様々なエレクトロニクス技術が用いられ、その発展は目覚ましいものがある。そのエレクトロニクス技術を支えるためには、電子デバイスの高機能化が重要であり、そのキーマテリアル一つがエレクトロセラミックスである。電子デバイスの高機能化には、エレクトロセラミックスのナノレベルでの物性制御とその発現メカニズムの解明が求められ、結晶構造が重要な役割を果たしている。そこで材料科学特論Iでは、結晶構造を中心に原子レベルでの解析原理や手法などについて講義し、材料科学特論IIでは電気的機能と密接に関係する電子状態について講義する。

適応構造システム学特論I・II

近年の交通機械の発展において、地球環境問題への対策として構造の軽量化はますます重要になっています。それに加え、構造自体が自身の故障を検知したり、形を変えて状況に対処したりするなど、何らかの機能を有する構造への要求も高まっています。そのような背景の中で、航空機や宇宙機の構造において、外的環境や状況の変化に構造システムが特性を変化させることにより柔軟に適応する、適応構造システムが提唱され、様々な実用化がなされています。適応構造システム学特論Iでは、適応構造システムの概念と定義から始まり、その静力学・動力学的特性、構造解析手法、実験手法などの基礎を理解します。次に適応構造システム学特論IIでは、構造システムの有する様々な適応性の具体的な例を通し、可変性を付加する目的に応じたシステムの設計手法やこれまで提案されてきた適応構造システムの課題についてより深く議論します。さらに、最新の研究事例に関する文献の輪読、討論を行い、適応構造システムの発展生について、基礎を踏まえた自由な発想により創造的に考えていきます。

メカトロニクス工学専攻

システムデバイス学専修分野

メカトロニクス技術において不可欠である計測、通信、情報処理、電気エネルギー供給など様々な電気電子デバイスの基礎及びそれらの計測・制御システムへの応用を学びます。

センシングデバイス学専修分野

メカトロニクスシステムは、「認知、判断、行動」を行う高度な機械、電気、情報システムの実現を目指しています。 「認知」を担うセンシングシステムは、人間の5感を人工的に実現する技術で有り、センサの原理、構造からその応用であるセンシングシステムについて学びます。

機能システム構築学専修分野

メカトロニクスシステムは、要素技術と言うよりも、多数の技術を駆使する機能システムの代表です。機能システムの制御を実現するための基礎となる制御理論を学ぶだけでなく、コンピュータによるシステム解析・設計の知識を理解すると共に、制御システム関連について、体系的に学びます。

マルチスケールメカトロニクス専修分野

メカトロニクス技術において、インテリジェントなシステムの制御、ナノスケールからマクロスケールまでの幅広い スケールのメカトロニクス機器の設計、加工、システムアーキテクチャの構築方法について学びます。

社会基盤デザイン工学専攻

構造解析学特論I

構造物の安全性の検討のため構造力学が発展し、これに基づく構造解析法が電子計算機の発展とともに確立されている。本講では構造解析における線形弾性理論、変分法および有限要素法の基本的な知識について講義します。そして、構造物の解析手法についても紹介し、簡単な構造物の解析ができることを目標とします。

構造設計学特論I

構造物の設計と維持管理に関する基本問題について講義する。高性能材料や新素材の開発動向、鋼および合成構造における設計・施工上の新技術を国内外の実施例に基づき紹介します。そして、工事中の事故および地震被害による損傷事例を提示し、橋梁の耐久性、補修・補強法および橋梁点検システムなどについて学びます。

水文学特論I

近年、流域が都市化し開発が進む中で、水害の防御と水資源の確保を図りつつ、自然の生態系や水辺環境を保全・再生していく方策を立てることが急務となっています。本講では、流域における河川や地下水の循環過程と物質移動の物理的機構について、水文学の最新の知見を講述するとともに、高度な解析技術とその応用手法について解説します。講義では、水循環系を構成する素過程の評価、流域における雨水流出解析、河道における洪水追跡法等について学びます。

土砂水理学特論I

流水に土砂を含む流れは流水と固体粒子が相互に影響し合う複雑な流れ構造になるとともに、河床に堆積している土砂の移動による境界条件の変化を伴う現象です。このため流水だけの現象に比べると非常に複雑なものとなっています。本講では、基本的な支配方程式の意味を学ぶもので、粒子の沈降、ポテンシャル流、層流と乱流、境界層理論、開水路乱流、非定常開水路流れ、流砂解析、河床変動解析等の基礎に関して学びます。

地盤解析学特論I

自然の中で形成された地盤材料は、他の人工建設材料と比べて複雑な力学挙動を呈することが特徴です。そのため、種々の力学現象を説明するために、地盤力学はさまざまな数学的手法を用いて構築されてきています。本講では、学部で履修した地盤力学をさらに深く理解するために、数学的な解説に重点をおいた講義とその演習を行います。

交通システム工学特論I

交通の主体である人や物、自動車や鉄道といった交通手段、道路や鉄道といった交通基盤のそれぞれが調和し、効果的に機能した交通システムの構築には、それぞれを融合した一つのシステムとして捉え、計画・分析していく必要があります。本講では、人間の意志に基づく交通行動を交通手段や交通基盤と関連付けながら定量的・確率的に捉え、複合システムからなる交通システムを計画するために必要となる数理最適化手法やネットワーク分析手法といった基礎的分析手法について論じます。また、最新の交通システムの分析手法についても考究します。

都市システム工学特論I

都市は、人々が豊かな生活を享受できるように、制度や社会基盤を整え、長い年月をかけて形作られるものです。都市で行われる諸活動はミクロ経済学などの経済理論によって抽象化することによって、そのメカニズムが明確になり、制度設計の見通しも容易になります。本講義では、人々の生活を支える公共サービス、住宅、都市交通等の仕組みについて、都市経済学の観点から理解を深めることを目的とします。

建設材料力学特論I

材料の挙動は力の釣り合い式のみで決定されません。変形の連続性を考慮したり、力と変形を関連付けるための構成則を与える必要があります。さらに場合によっては、構造挙動の安定性が問題となります。本講では、まず、変形の適合条件や力の釣り合い条件について解説します。さらに、力の釣り合いをエネルギー原理の見地から解説します。最終的に、構造物の変形問題理論的な理解を目標とします。

建築学専攻

建築技術史特論

前近代の建築生産技術の解明は、今日の建築生産を検討するうえでも欠くことのできないものであるが、前近代の建築生産を支えた技術の内容は意外に多様であるとともに不明な点も多いです。本講義は、まず日本建築の仕組みを理解し、前近代の建築技術の中心を占める、例えば木割法に代表される「設計技術」について考察を進めます。現在までに解明された成果とともに、研究史を点検して従来の視点の誤りを自覚し、どう捉え考えるべきかを考察します。

コンクリート工学特論

コンクリートが他の建築材料と最も異なる点は、適切な施工があって初めてその要求性能を確保できる点です。換言すれば、安易な施工がひび割れなどの不具合を簡単に引き起こしてしまう材料といえます。本講義では、コンクリートの材料特質とそれを踏まえたコンクリート工事の要点を実践的に学んでいただきます。具体的には、コンクリートへの要求事項を把握し、その実現手段(構成材料、調合、製造、施工・品質管理)について考えます。また、最新技術やトピックスなどについても折りに触れて紹介します。なお、この授業は、大学院レベルに必要な問題解決能力を身に付けてもらうことも一つの目的としています。

建築計画特論

建築計画にかかわる各種主体(産業等)の業務内容や役割、他主体との連携の状況を通して、建築の実務の実態や産業としての広がりを学びます。題材としては分譲マンションを中心に取り上げますが、適宜他の建築種別についても言及します。各回は、産業の概況・特性、具体的プロジェクト等を通しての業務内容、および前回講義した産業についての受講生による具体的企業に関する調査報告の3部構成を基本とし、受講生の積極的参加による的確な理解を促します。

建築スペースデザイン特論

建築が、人間の身体や活動とどのような関係を持っているのか、さまざまな社会的仕組みとどのようにかかわっているのかなどについて理解し、さまざまな事例を通して、自らが設計者として生活環境を構築してゆくうえで必要とされる能力や態度を培うことを目的としています。
建築の設計にかかわる、最近の動向(ストック再生、少子高齢化に対応した建築など)について分析・解説し、現代社会が求める建築・環境に応えるべく実務上の対応方法について議論します。

建築構造工学特論

建築構造物の設計法は、過去幾度かの地震災害を教訓として変遷を重ね、現在では建物ごとに目標性能を指定しその性能を保証する性能規定型設計法が世界の趨勢となってきています。本講義では、地震災害と建築構造設計の変遷を踏まえ、現行の設計法の基本的枠組である許容応力度設計法と保有耐力設計法について体系的に講じます。さらに性能規定型設計法についても、その概要を述べます。

建築構造解析特論

構造設計においては各種の構造解析から得られる情報がベースとなります。特に、限界耐力計算や耐震性能評価・診断などにおいては、弾塑性解析の結果が基本情報となります。このように、構造設計の高度化が進むにつれて、非線形解析や時刻歴の地震応答解析が行われる機会が増加してきています。
本講義では、それらの解析における基本事項を学び、実務設計への応用力を養うことを目的とします。

建築環境計画特論

本特論では建築室内外に生じる光、音、熱、空気などの物理現象を理解し、それら環境要素の相互関係および人間に及ばす生理的、心理的な影響について学びます。また、事例研究を通して実際の建築設計にかかわる環境要素の予測評価方法を習得します。
建築内外の快適性は、光、音、熱、空気などの環境要素によって決定づけられるが、それらのうち実際の建築室内設計にかかわる光環境の予測および評価方法を学ぶとともに、大規模建築物建設に伴う地域周辺への光環境の影響評価について事例などを踏まえ解説します。

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