学生ライター

2019/09/30

世界コスプレサミットも学びの場に⁉ 社会学を通して見る「コスプレ」とは

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みなさん、毎年愛知県で開催されている『世界コスプレサミット』を知っていますか。
2003年から始まり、現在では世界中からコスプレを愛する人々やコスプレイヤーさんたちが集まってくるんですよ。
今回は、そんな世界中から愛される“コスプレ”を社会学の視点から見ていきます。

世界コスプレサミットとは?

画像:世界コスプレサミット

世界コスプレサミットは、日本のアニメ・マンガ・ゲームなどのポップカルチャーを愛するコスプレイヤーが集まり、新しい形の国際交流や文化交流を創造するイベントです。

世界的にも大きな注目を集めていて、毎年世界中からコスプレイヤーが愛知県・名古屋市に集まり、交流を深めています。


名城大学人間学部の櫻井龍彦准教授(専門は社会学)は、“フィールドワーク”という授業で、学生とともに、世界コスプレサミットとその関連イベントの現地調査に取り組みながら、現代人にとってのコスプレの意味を探究しています。


コスプレサミットも学びの題材として取り上げられているのです。

社会学から見たコスプレ

  • 画像:世界コスプレサミット

  • 画像:世界コスプレサミット

普段、みなさんは自己や自分とは何かについて考えるとき、自分の心や感情などの内面に根拠があるように考えているのではないでしょうか。

自分の内側に“本当の私”を探し、同じ“私”であり続けたいと思うことが、社会では当たり前だとされます。
しかし、それが全てなのでしょうか。
自分は他者にどう見えるか、また自分を他者にどう見せるかといった外面的なことも、自己のあり方に深く関わっているのではないでしょうか。

コスプレという文化を通しても、そのことを学ぶことができます。
実際、普段はあまり他人とコミュニケーションをとろうとしない人が、コスプレをしているときは、自ら積極的にコミュニケーションをとろうとするという例があります。
この例からも、内面からだけでは自己や自分はとらえられないことがわかりますね。

社会学専門家の考え

画像:櫻井龍彦

櫻井准教授に、コスプレの調査を通して、社会学的視点から見た“自己や自分”に関する考えを伺ってみました。


櫻井准教授「コスプレの楽しさが、普段と違うものになることであるとすると、世界中から集まるコスプレイヤーたちは、“何であり続けたいか”ではなく、“何になり変わりたいか”を意識しているとも考えられます。

普段は忘れがちなことかもしれませんが、“何かであり続けること”だけではなく、“何かになり変わること”も、私たちがいきいきと生きていくためには重要なことなのかもしれません」

いつもは何気なく参加しているイベントやお祭り、意識していない文化も、学びの視点を取り入れると、これまでとは違った姿や面白さに気づけますね。

櫻井 龍彦 人間学部准教授

社会学を専門分野として研究しており、主な業績に、『希望の社会学』(2013年・分担執筆/三和書籍)、『知の社会学の可能性』(2019年・分担執筆/学文社)などがある。

https://kyoinjoho.meijo-u.ac.jp/search/profile/ja.2f32a254163af215.html