皆さんは“むらおこし”に対して、どんなイメージを持っているでしょうか。
地方が抱えているさまざまな問題を、地元の人だけで解決するものでしょうか。また、国や行政が行う活動だけで本当に良いのでしょうか。
今回は、今年で4年目となる奈良県主催の「奥大和アカデミー」という講座に参加した、名城大学人間学部3年生の入山舞香さんと三浦月香さんに話を聞き、“むらおこし”とは何かについて考えていきます。
画像:中川靖菜
2人は3年生の6月に奥大和アカデミーに参加しました。
奥大和アカデミーは、奈良県奥大和地域をフィールドに、地域と自分の関わり方を考える約半年間のプログラム。3年前からは名城大学ナゴヤドーム前キャンパス(以下、ドーム前キャンパス)『社会連携ゾーンshake』を会場に開催されています。みんなで楽しく学び合いながら、それぞれの『奥大和関わりプラン』を考えていきます。
その中でインターンシップとして、7月に一度、初めて奈良県の山添村に行き、その後10月にもう一度山添村を訪れました。
地域研究や地域活性化にもともと興味があり、活動をしたいとは思っていたものの、具体的に何をすればよいかわからず、今まで触れることができていなかったので、良いきっかけだと思って講座に参加したそうです。
2人に山添村を訪れてみて気づいたことを聞いてみました。
三浦さん「日本の中にも自分の全然知らないところが多くあって、今回訪れた奈良県も、修学旅行で行ったことがあるだけだったため、実際に足を運んで地域の人と話して改めて知ることがたくさんありました」
入山さん「インターンシップで山添村を訪れるまでは、“むら”は隔離された場所というイメージを持っていたが、実際はとてもあったかくて、アットホームなところ。自然も豊かで、名古屋に住んでいるのとは全く違う環境でした」
画像:名城大学社会連携センター
2人が奥大和アカデミーを通して考えた奥大和関わりプランは、山添村のことをもっと名古屋の人に知ってもらうために、山添村で採れた野菜を名古屋市内で販売し、あわせて山添村のことを紹介するというプランでした。
そこで、ドーム前キャンパスがある名古屋市東区の、陶器屋さんやパン屋さんが開催しているマルシェで、山添村の産直野菜を販売させてもらうことに。
10月27日に、うつわ屋『tunagu』で行われた「うつわでつなぐ、人と時間」のイベントにおいて、10時に販売が始まりましたが、たくさんの地元のお客さんが買いに来られて、昼頃にはほとんどの野菜が売り切れてしまいました。
画像:名城大学社会連携センター
三浦さん「この活動は、山添村の野菜を名古屋で販売して、野菜のおいしさを伝えることがコンセプトで、多くの人に手に取ってもらうために低価格を目指しました」
画像:名城大学社会連携センター
入山さん「イベント自体も初めての経験で、わからないことだらけだったが、一緒にやらせてもらった人やサポートがあって、結果的にはうまくいったと思う。今回イベントを行った東区の人たちにもよろこんでもらえたことから、山添村を知ってもらうための活動だったが、実際には名古屋の人たちにとっても良い活動ができたのではないでしょうか」
画像:名城大学社会連携センター
今回のイベントで、“むらおこし”の一環として、山添村と名古屋をつなぐ活動をした2人。活動を通して感じたことや伝えたいことを教えてもらいました。
三浦さん「“過疎”という言葉は、授業やニュースなどでもよく耳にするし、田舎に若者がいなくなりつつあることは知っていたが、実際に“奥大和アカデミー”を通して、自分の目で地域を見て、自分たちで解決策を考えたり、名古屋の人に知ってもらおうという企画を立てたりできたことが貴重な体験でした」
入山さん「過疎地域に興味のない人もいると思うが、そういう人たちに対して、“むら”は悪いところじゃないということや、こういう活動をしている人がいることを知ってもらいたい。いま過疎化が進むことだけでなく、それによってむらや地域のいいところがなくなってしまうことも問題だと思います。こういう活動をしていることや、いいところがまだいっぱいあるということを発信していきたいです」
いかがでしょうか。
“むらおこし”はその地域の住民のためだけではなく、巡り巡って、遠くで暮らす人たちのためにもなっていることがわかりますね。
また、国や行政だけが担うべきものではなく、話を聞いて地域研究や地域活性化に興味を持ち、何かしたいと考えた筆者のような大学生や、これを読んで“むらおこし”に関心を向けた皆さんにもできることがあるのではないでしょうか。
実際にすぐ行動にうつすことはできなくても、まずは意識を向けてみませんか。
皆さんが今日お店で買った野菜は、どこの野菜ですか。
COPYRIGHT © MEIJO UNIVERSITY, ALL RIGHTS RESERVED.