2023.10.13

2023年度 柳沢3年ゼミII、サンタフェ大学生と文学交流!(2023 Yanagisawa 3rd year seminar II, Literary exchange with Santa Fe College students!)

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外国語学部

 英語圏の表象文化論(文学、映画などの物語構造とその表象の関係を分析する)を専門とする柳沢ゼミでは、今年度からCLAB(Collaborative Learning Across Borders) を導入し、アメリカのサンタフェ・カレッジ (Santa Fe College) の学生と共同で学習プロジェクトを実施しました。
 プロジェクト名は「2023 Japan-US CLAB on Hemingway Literature」。アメリカのノーベル賞作家アーネスト・ヘミングウェイの短編小説を互いに読み合い、その解釈や意見などを交換、議論するという試みです。

(The Yanagisawa Seminar, which specializes in the study of representational culture in English-speaking countries (analyzing the relationship between narrative structures and their representations in literature, film, etc.), introduced CLAB (Collaborative Learning Across Borders) this year and conducted a learning project with students from Santa Fe College in the United States. The project is called "2023 Japan-US CLAB on Hemingway Literature." The project was an attempt to read short stories by American Nobel Prize-winning author Ernest Hemingway and discuss their interpretations and analysis with each other. )

まずは、動画で自己紹介! (First, self-introduction via video!)

 柳沢ゼミ3年生12人は、まず、A~Dの4グループに分かれ英語での自己紹介動画を作成し、動画交流のオンラインサービス「Flip」にアップしました。
 同じく、交流相手委校、サンタフェ・カレッジのヘミングウェイ研究者レベッカ・ ジョンソン (Rebecca Johnston) 先生の文学の授業の学生たち18名にも自己紹介動画をアップしていただき、自己紹介を交わしました。

(The 12 third-year students of the Yanagisawa Seminar were divided into four groups (A-D) and uploaded their self-introduction videos in English to Flip, an online video exchange service.
 Eighteen students in Hemingway scholar Rebecca Johnston's literature class at Santa Fe College also uploaded their self-introduction videos and introduced themselves to each other.)

共通テキストは「兵士の故郷」(The common text is "The Soldier's Home.")

 短編小説の達人と言われたヘミングウェイの代表作「兵士の故郷」("Soldier's Home" 1923) は、第一次世界大戦から帰還した若きアメリカ人青年が、帰郷するも家族や社会に溶け込めない苦悩を描いています。この作品を共通テキストとして、日米の学生がそれぞれ考察しました。柳沢ゼミでは4グループで「戦争」「社会」「家族」「宗教」のフォーカスを分担し、それぞれプレゼンを動画撮影し、サンタフェの学生たちに視聴してもらいました。

(Hemingway's masterpiece "Soldier's Home" (1923) depicts the anguish of a young American returning home from World War I, but unable to integrate into his family and society. Using this work as a common text, students from Japan and the U.S. each examined it.
 Four groups in the Yanagisawa Seminar shared the focus of "War," "Society," "Family," and "Religion," and each video taped their presentations for viewing by the Santa Fe students.)

20世紀アメリカ社会の娯楽・風俗

キリスト教社会

戦争トラウマ

家族とのディスコミュニケーション

サンタフェ大生の作品解釈を知る! (Learn how Santa Fe Students Interpret the Work!)

 ヘミングウェイの母国アメリカの学生たちたは一体どんな解釈をするのだろうか。そんな好奇心を胸にゼミ生はサンタフェ大生よせた動画を分担し、早い英語を聞き取ろうとひとつひとつ念入りに視聴しました。アメリカ文化で生活する彼らの文学解釈を理解する試みはとても刺激的だったようです。

(How would students in Hemingway's home country interpret his work? With this curiosity in mind, the seminar students were assigned to watch videos sent by students from Santa Fe college, and they carefully listened to each one in order to catch the fast-paced English. It was a very stimulating experience for the students to try to understand the literary interpretations of people who live in American culture.)

サンタフェ大生へフィードバック! (Feedback to Santa Fe Students!)

 ゼミ生たちは、サンタフェ大生の作品解釈動画の一つひとつに、解釈の面白さや、着眼点の斬新さなどについてコメントを送りました。

(The seminar students sent comments to each of the Santa Fe students' video interpretations of the work, commenting on the interest of their interpretations and the novelty of their points of view.)

フェードバック例➀ (Fade back example➀)
Hi! I’m Yuka from Meijo-team D.
Our team focused on his isolation from his parents especially mother’s attitude. You seem like you think her attitude is positive, trying to help him.
But we thought she appeared to be acting to help him, but he saw it as behavior that was concerned about his reputation in the community.
Thank you for sharing your opinion. This difference is very interesting and I enjoyed this project!

フェードバック例➁ (Fade back example➁)
Hi. My name is Shinji from Group B. (Fade back example➁)
I really enjoyed your video! You analyzed the Harold’s loss of romanticism because of the war.
And also you noticed about the reason why he said “I don’t love anybody.”
I also considered about it, but you had another suggestion, so it was so interesting.
We did a presentation from perspective of religion, so I considered the reason of his saying from religious perspectives.
Therefore, please watch our presentation videos about perspective of this work through religion from flip and Google Drive URL on flip!

フェードバック例➂(Fade back example➂)
Hi! This is Ako. Thank you for your analysis video. Your analysis which focused on women in the town and Krebs's connection with them is interesting. Especially, one of Krebs's routine that he like watching women is relevant to before and after the war. I agree with it that the war changed the things around him like his personality, routine and situation. I'm glad to exchange our analysis! Thanks.

ゼミ学生の声

・私がビデオエクスチェンジを行った生徒はKrebsのPTSDであること、またその症状について言及していました。私は最初に読んだとき、Krebsの性格が戦争によって曲がってしまったとは思っていましたが、病気や障害までとは思っていませんでした。しかしビデオを見て、彼がPTSDの障害を持っていることに納得することができました。ここからアメリカの精神病や精神障害がよく知られていることが分かります。アメリカは「障害を持つアメリカ人法」という法律があり、精神障害も含まれています。国の法律や文化によって解釈が変わることや、今回のように他国から作品を超えて学ぶこともビデオエクスチェンジの魅力であると思いました。

・今回のこのCLABプロジェクトから、私は多文化的な考え方の重要性を知ることが出来たと感じている。今回のプロジェクトでは、私たち名城大学の柳沢ゼミナール生とSanta Feの学生が、ヘミングウェイ著『兵士の故郷』を読み、それぞれがテーマを決め考察、およびプレゼンの作成と共有を行った。この活動の中で私が多文化的な考え方の重要性を感じたのは、プレゼンや意見の共有を行った際、作品の中の同じセリフについて考察しているにも関わらず、自分の考察内容とサンタフェの学生の考察内容が全く異なっていたからだ。ここに私はこの活動における最大の意義を見出しており、多文化的な考え方の違いの重要性を実感した。加えて、そのSanta Feの学生の考察内容もとても興味深いものであり、自分の考察とはまた違った視点からセリフを考察していたので、柳沢ゼミナールの主研究である創作物の批評・分析の面白さ改めて感じることが出来た。これから本ゼミナールでは課題映画の分析やその他の創作に対する分析、そして最終的には自身で設定した研究対象・研究対象についての卒業論文を制作していくが、今回のCLABプロジェクトから得た学びを活かしてそれぞれの活動に取り組んでいきたい。

・ヘミングウェイのSolider's Homeのプロジェクトを通して、日米間お互いの考察を交換したことで、アメリカに住む学生から見た視点と日本に住む学生から見た視点の物語の捉え方の共通点と相違点を学ぶことができた。主人公は何かしらの病気を抱えているというお互いの考察の要点は合致していても、その病気の病名は異なるというような小さな違いや、戦争というテーマに対して着目する箇所が違うなど、焦点を当てている部分がたくさんあって、日米間の社会的背景や国民性の違いを感じた。また、アメリカの学生の意見を聞いて、自分では思いもつかなかった意見を新たに発見できてとても興味深かった。異なる境遇で生活してきた学生との意見交換は今後滅多にない機会であるため、今回のようなプロジェクトに参加できてとても良かった。

・これまでさまざまな国の学生との文化交流を経験しましたが、アメリカの学生と交流するのは初めての機会でした。英語の文学作品を英語を第一言語とするアメリカ人と共有することには緊張しましたが、初めての経験であったことからタイトなスケジュールや英語の本を読むことに苦手意識を感じている場合ではないと、いっそう気合いをいれて臨みました。今回の活動をとおして、英語文学作品を自らの視点で考察できたことは自分にとって数少ない貴重な経験となりました。次回はぜひ日本の文学作品をテーマに海外の学生と交流したいです。また人称や時代背景、文章で表現するという技術など物語を構成する要素をいくつか見つけることができました。これらをヒントに以降の自分の研究テーマを考え始めたいと思います。

・今回のプロジェクトを通して私は初めてヘミングウェイの作品を味わった。そして初めて文学作品を一つの焦点に絞り、それについて発表するということをした。ヘミングウェイの『兵士の故郷』という作品は1、2回読んだだけですべてが分かるような簡単な内容ではなく、人によって感じ方も変わるような作品であり、自分たちが感じたことを言語化することは非常に難しかったにもかかわらず、それを英語で発表し、サンタフェ大学の学生が見るということで、プレッシャーがあった。サンタフェ大学の学生のビデオも見て、同じテーマでプレゼンしているはずなのに、視点や考え方が全然違うことが非常に興味深かった。今後文学作品を読んでいく際は、一つの視点からではなく様々な視点から作品を読み解いていきたいと思えるプロジェクトであった。

・今回のプロジェクトに参加するにあたり、自分たちのプレゼンテーションを準備しているときは同じ文章を読んでも、日米で捉え方に大きな違いが生まれると考えていました。そして実際に双方のプレゼンテーションを比較すると同じように考えている部分もいくつかありましたが、サンタフェの学生はPTSDを軸にしている学生が多いと感じました。これは退役軍人についての問題が日本より公に扱われているのが理由の一つなのではないかと思いました。一方で私たちは家族愛について注目しました。これは日本では虐待など家族内での問題がメディアによって報道されることが多いことが影響していると考えました。普段どのような情報に触れているかが着目点の違いになると感じましたが、自分たちのプレゼンテーションへの返事を見ると共感してくれているコメントが多く、同じ作品を世界中で楽しめることはとても素晴らしいことだなと思いました。

・Santa Fe大学の学生との交流プロジェクトを通して学んだことは大きくわけて2つあります。1つ目は、日本人の私たちとアメリカ人の学生の考え方の違いがそこまで大きくないということです。なぜなら、私たち日本人がアメリカ文学を読んだ時に、クレブスとクレブスの妹との関係に関して、疑問に思い戸惑っていたが、Santa Fe大学の学生もまた同様に、同じ部分で戸惑っていたということが交流を通して感じることが出来たからです。このことから、兄妹という関係に対する価値観や考え方は、日本とアメリカでそんなに違いがないことも学ぶことが出来ました。2つ目は、作品とは関係はないですが、FLiPを利用して動画交換交流をした時に学んだことについてです。それは、アメリカの学生の自由さや個性をすごく感じることができたということです。私たち日本人は、グループになって各分野を分担しながらみんなで集まって1本の動画を撮る、ということが発表の仕方の主流となっていたが、Santa Feの学生は、一人一人が動画を撮って、その動画の撮り方にも自由さや生き生きとした姿勢を感じられました。たとえば、街中を歩きながら動画を撮っている学生や、動画を撮りながら愛犬と触れ合っている生徒もいて、とても自由さを感じました。このことから、日本人とアメリカ人の発表スタイルに違いを学ぶことが出来ました。

・このプロジェクトを通して、同じ作品からでも様々な考え方、捉え方があることを学んだ。私が担当したテーマは宗教であり、サンタフェ大学の生徒で宗教に触れている人は少なかったが、その中でも私たちとは異なる考えがあった。この作品はPTSDが鍵となっており、私たちのグループはそれと切り離して主人公の考え方を考えており、変化についてあまり意識していなかった。捉え方の違いであるとも感じたが、私の観察力の少なさに気付かされた。ほかのテーマや私たちの生活の中にある事例などからも登場人物について考慮することが重要であることを学んだ。

プロジェクトを終えて (Afterword)

 このプロジェクトの発端は、ヘミングウェイの2023年5月にキューバで開催された国際学会でお会いしたサンタフェ・カレッジのレベッカ先生とお話した際、互いの学生たちに同じ文学テクストを読ませ、その解釈や意見を交換しないかと持ち掛けられたことからでした。
 それまで、文学系のゼミナールでCLABのような国際交流は難しいと勝手に思い込んでいましたが、今回の取組によって十分可能だということがわかりました。ゼミナール内で閉じた学習ではなく、国境を越えて開かれた学びを学生たちも提供することができ、ゼミ生たちの反応も上々でした。一方のサンタフェ大生たちもこのプロジェクトを楽しんでいたとレベッカ先生から伺いました。今回の成果を受け、今後も対象テクストを変えながら日米で文学交流をしていくことになりました。(文責:柳沢)

(The idea for this project came about when I spoke with Professor Rebecca of Santa Fe College, whom I met at an international conference in Cuba in May 2023 on Hemingway, and she suggested that we have our students read the same literary texts to each other and exchange interpretations and opinions. Until then, I had assumed that it would be difficult for a literature seminar to conduct an international exchange like CLAB, but this initiative made me realize that it was possible. The students were able to provide an open learning experience that transcended national borders, rather than learning that was confined to the seminar, and the response from the seminar students was very positive. Rebecca told us that the students at Santa Fe college also enjoyed the project, and we will continue to exchange literature between Japan and the U.S. with different target texts in the future. (Text by Yanagisawa)

From right: Rebecca-sensei, her husband, and me (Yanagisawa) in Cuba