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成果報告

事業概要

本事業では、ノーベル物理学賞受賞者の赤﨑勇終身教授の研究グループを中心に、青色LEDを起点とした近未来を創造する新規光デバイスを創製し、次のノーベル賞受賞に繋がる崇高な研究課題や新しいアプリケーション研究領域を全学体制で開拓する。これらの成果をホームページ、シンポジウム、模擬実験、学生公募による斬新なプログラム等で広報し、現状、東海地方に留まっている「研究の名城」というブランドを全国に展開する。

事業目的

本事業では、新領域・新機能デバイスを創生するための国際的に拓かれた研究拠点を形成する。さらに戦略的なブランディングによって、意欲を持った質の高い入学希望者を獲得し、世界レベルの「名城大学の光デバイス研究」に触れることや企業との共同研究に参画することによって質の高い人材を育成する。そして、その学生が社会で活躍し「名城大学を卒業した学生は質が高い」という評価を得、さらに質の高い学生が入学するという“正のスパイラル”を実現し、それにより「名城大学の研究ブランド価値」を高めていくということが目的である。

事業成果

平成28年度事業成果

研究面においては、研究成果の社会実装に向け、研究者、企業研究者、学生による質の高い共同研究のトライアングルを構成する等、研究体制の整備を進めた。具体的な研究成果としては、世界最高出力を誇る3mWの青紫色窒化半導体面発光レーザーの実現、GaN系電子線励起レーザーの実現等が挙げられる。ブランディング面においては、ホームページの開設、ショールームの整備、小・中・高校での模擬実験、新聞への掲載等、積極的な広報活動を行った。また、公開シンポジウム「世界を変え続けるLED」では、2014年度ノーベル物理学賞を受賞された赤﨑勇特別栄誉教授、天野浩特別栄誉教授も登壇され、盛況に開催された。これらを踏まえ、当該年度の補助金使用状況は、研究費(液体窒素・サファイア基盤等の消耗品等)に16,500千円、広報費(ホームページ開設費・シンポジウム開催経費等)に2,830千円の計 19,330千円となった。

平成29年度事業成果

新たな結晶成長装置を導入したことに加え、PDの雇用等により、光半導体デバイス研究を大きく加速することができた。紫色面発光レーザーで世界最高出力(4.2mW)の更新や世界初のMOVPE法による深紫外トンネル接合LEDの実現等、数々の「世界最高・初」を達成することができた。また、この研究に携わる学生らが応用物理学会で優秀論文賞を受賞する等、質の高い学生の育成にも寄与している。この研究事業には、青色LEDから派生する「アプリケーション研究」も進められ、他学部(農学部、経営学部)からの教員、学生らの参画により、学内外で様々な活動が展開されている。ブランディング面では、これらの研究成果を公開シンポジウム「世界を変えるナノ材料・光デバイス」にて報告し、ホームページでも諸々の進捗状況、成果等を公開している。平成29年度の活動を踏まえ、高校生を中心とする調査に基づく「関心を持った大学2018」では、本学が2年連続中部圏第1位となり、東海圏の枠を越え、北信越地域等でも存在感を示せている。これらを踏まえ、当該年度の補助金使用状況は、研究費(窒化ガリウム系有機金属気相成長装置、PD給与、国際会議参加等)に156,265千円、広報費(ホームページ英語版対応・ショールームモニュメント作成等)に3,431千円の計 159,697千円となった。

平成30年度事業成果

前年度に導入した結晶成長装置の活用や学生・教員・企業による「三位一体」の研究遂行の結果、引き続き、数多くの「世界最高・世界最小」の研究成果を挙げることができた。その中でも高効率青色レーザー実現のための新しい基盤技術のひとつである「低抵抗トンネル接合」に関しては、平成30年5月に文部科学省主催のシンポジウムにおいて、竹内哲也光デバイス研究センター長が天野浩教授(名古屋大学大学院)らとともに成果発表、記者発表を行っている。数多くの研究実績は国内外の様々な学会等における招待講演(17件)、口頭発表(40件)等による成果報告の他、特許申請は10件に上る等、研究の加速度が明白である。さらにベルリン工科大学(ドイツ)へこの研究に携わっている大学院生を派遣することにより、国際化および学生の育成にも寄与している。ブランディング面では、公開シンポジウム「世界を変える新材料」開催の他、学内における認知度を高めるためのPRブースの設置や近隣自治体における市民連携講座、東海地区電気教育研究会での高校教員対象講義にも積極的に参画した。また、経営学部ゼミ生が主体となる「アプリケーション研究」では、中日ドラゴンズからの協力を得て、広く市民に「青色LED」を認知してもらう取り組みを展開した。これらを踏まえ、当該年度の補助金使用状況は、研究費(GaN基盤他、PD給与、国際会議参加等)に35,707千円、広報費(PRブース設置、掲載料他)に2,960千円の計 38,667千円となった。

令和元年事業成果

ここまでの研究活動を引き継ぎ、数多くの成果や実績を残すことができた。その中でも医療用用途や産業用途応用に向けて、さらなる特性向上を目指す上で、世界初UV-B(298nm)レーザーの実現に関しては、岩谷素顕准教授らによる記者会見が行われ、6つの新聞社にて記事として報道された。新規光デバイスの実現が、その高い社会的価値をメディアに取り上げられることで名城大学のブランド構築につながるという流れを達成することができたといえる。この他にも、世界最高感度を有する可視光センサーや世界最高出力の導電性反射鏡を有する面発光レーザーの実現も達成し、これらの成果は招待講演18件、学会発表64件、特許申請7件等、数多くの対外発表実績を残している。ブランディング活動として、小・中・高校生向け以外にも軽金属学会や日本医用歯科機器学会という他分野での講演も行うことで、今後の企業との共同研究成果による社会実装化を踏まえての社会的知名度の向上に繋げたい。さらに名城大学では、大学の有する研究シーズを広く学外へ発信することを目的に「名城大学テクノフェア2019」を開催(令和元年8月27日)し、800人が来場している。この他、全国の理系希望の高校生向けに当該事業に関するDMを発送し、さらなる認知度を高める活動も行った。また国際的な活動としては、ベルリン工科大学(ドイツ)において、ドイツ、ポーランド、日本の研究者によるAlGaN研究に関する国際ワークショップを主催した。これらを踏まえ、当該年度の補助金使用状況は、研究費(液体窒素、水素他、PD給与、国際学会参加等)に35,820千円、広報費(DM制作・発送他)に2,773千円の計 38,604千円となった。

今後の事業成果の活用・展開

本事業は令和2年度末までを文部科学省からの補助事業とされていたが、平成30年度の政策の見直しにより、令和元年度末を以って補助事業は終了となった。これを踏まえ、補助事業終了後の本事業の継続について大学内で検討を進めた結果、申請時予算を縮小して、当初計画の最終年度である令和2年度の事業を継続することとした。これにより、当初の事業計画をこれまでの成果や実績等も含めて見直しを行い、修正した令和2年度の方針、目標、計画等に基づき、事業を遂行していく。最終年度であることから、本事業の集大成として、さらに注力する項目として、国際共同研究の促進による国際的知名度の向上を図る。具体的には、国際連携拠点としての役割を発展させ、2件以上の国際共同研究を推進したい。次いで企業との共同研究成果による社会実装化を進め、社会的知名度の向上を図る。具体的には4社以上の民間企業との共同研究を推進したい。また、継続的な研究・ブランディング活動の道筋として、特にウイルス等の殺菌を含めた「安心・安全な社会実現」を可能にする新規光デバイスの実現とそれによるブランディング活動の連携を図りたい。ここまでの4年間に引き続いて企業との共同研究を継続し、複数の世界初・世界最高性能を実現し、その成果を数多くの機会において、対外的な発表実績を積み重ねていく。加えて、広く一般向けに対しては、令和元年度の公開シンポジウムは新型コロナウイルス感染症拡大により、中止となってしまったが、その収束状況を見極め、開催することで本事業の成果報告を行いたい。さらに小・中・高校生に興味を持ってもらえるような取り組みを継続し、若い世代に向けた積極的なアピールもメディア報道等も通じて展開したい。そして、5年間取り組んできた成果を基に、名城大学の卒業生が社会で活躍することで「優れた人材を輩出する名城大学」というブランドイメージ構築も含め、最終的な目的である「研究の名城」「世界の名城」のブランド確立を達成したい。