2026.08.18

国際協力研修(カンボジア):2日目!

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カンボジア研修2日目

2026.08.18
 カンボジア研修2日目は、国際協力機構(JICA)カンボジア事務所、独立記念塔、セントラルマーケット、国連開発計画(UNDP)カンボジア事務所を訪問しました。国際協力の現場を知るとともに、カンボジアの歴史や文化、現在の社会が抱える課題についても理解を深めました。

国際協力機構(JICA)カンボジア事務所

M. T. さん(3年生)
 日本の政府開発援助(ODA)を通じて、開発途上国への国際協力を行っているJICA。JICAのカンボジア事務所を訪問し、次長の矢向禎人さんにお話を聞きました。矢向さんは、数字を用いてカンボジアの概況をわかりやすく説明してくださった後、JICAのカンボジア事業や、なぜ国際協力が必要なのかについて、ご自身のお考えをお話しくださいました。
 1960年代以降、カンボジアでは、ベトナム戦争の影響を受け、内戦や虐殺がありました。そこから60年以上が経った今もなお、地雷が数多く残っており、踏み入れられない土地も東京の面積ほどあると聞いて衝撃を受けました。私は、このカンボジア研修に参加する前に『地雷を踏んだらサヨウナラ』という映画を見ていました。そこでは、地雷によって亡くなる人の描写なども含まれており、このような出来事が、実際にこの地で、数えきれないほど起こっていることを考えると、とても恐ろしいし、悲しい気持ちになりました。映画の舞台となった土地を実際に訪れることができた嬉しさを感じる一方で、ここで実際に起きてきた出来事に向き合う覚悟を持って、しっかり学ばなければならないと感じました。
 特に印象に残ったのは、国際協力の「やりがい」と「難しさ」についてのお話でした。矢向さんは、現場でさまざまな人々と関わりながら、実際に制度を変えたり、新しい仕組みを作ったりできることにやりがいを感じると話してくださいました。そして、自分たちが関わった制度が実際に機能し、その後も続いていることを見ると、とても嬉しく感じるそうです。一方で、近年は日本の経済力や置かれている状況が厳しくなり、日本国内にも災害などで大変な状況にある方がいる中で、どこまで海外のことに資金と時間をかけるべきなのか、国際協力の意義や役割は何なのかを考えることが増えていると伺いました。立場によってさまざまな意見があるからこそ、自分が何をよりどころにするか悩むこともあるそうです。そのお話の中で特に心に残ったのが、「世界は相互依存によって成り立っている」という考え方です。一つの国の政治や文化、経済の変化が、他の国にも影響を与える現在の世界では、それぞれの国がよりよくなっていくために、互いに支え合い、高め合っていく必要があります。
 私自身、日本も物価の上昇などによって決して余裕のある状況ではないと感じます。しかし、だからといって海外への援助をやめ、自国だけを優先することが、本当に日本にとってよいことなのだろうかと考えました。困ったときに互いに支え合うことが国際協力であり、その積み重ねは、将来きっと日本にも返ってくるのではないかと思います。
 実際にJICAの方にお会いしてお話を聞いたことで、国際協力は決められた方法をただ実行するのではなく、現場で起こる新たな問題に向き合い、悩みながら、その時々に合った方法を考えていく仕事なのだと感じました。今回の研修を通して、国際協力について、これまでとは違う視点から考えるようになりました。ネットで調べても出てこない、現地の生の声を聞くことができて、とても良い経験になりました。

独立記念塔とセントラルマーケット

独立記念塔

セントラルマーケット

食堂にて

カエルと空芯菜の炒めもの

国連開発計画(UNDP)カンボジア事務所

R. N. さん(3年生)
 8月18日の午後は、UNDPカンボジア事務所を訪問しました。カンボジアの伝統的なお菓子をいただきながら、日本人職員である戸田明秀さんから、ご自身のご経歴やカンボジアにおけるUNDPの取り組みについてお話を伺いました。戸田さんは、外務省が派遣するジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)プログラムを通じて、UNDPに勤務されています。
 序盤では、UNDPで働くまでの非常に興味深いバックグラウンドについてお話しいただきました。正直なところ、そのご経歴に最初から圧倒されてしまいました。自分にはまだ到底届かないような国連の世界で、実際に働いている方から直接お話を伺えたこと自体が、とても貴重な経験となりました。これまで国連で働く人を具体的にイメージする機会はほとんどなかったため、目の前でその仕事や経験について語っていただくことで、その世界の大きさを少し知ることができたように感じます。とても尊敬できる方だったため、実際にお話しすることさえ恐れ多いと感じましたが、それほど自分にとって刺激の大きい時間となりました。
 今回のお話でまず印象に残ったのは、「開発はすべての人のために行われる」という考え方です。カンボジアでは街並みやインフラがここ数年で目に見えて発展している一方、その発展による利益を実際に享受できているのは一部の人々に限られているという現状があります。私はカンボジアに来てから、道路や建物、ショッピングモールなどを見て想像以上にカンボジアは発展しているという印象を受けました。しかし、戸田さんの話を聞いて、何を基準に「発展」と呼ぶのかを考え直すようになりました。建物が増えたり経済規模が大きくなったりするだけではなく、その変化が実際に人々の生活を豊かにしているのかを見る必要があるのだと感じました。
 このことは、実際に訪れたカンボジアのイオンモールにもつながっています。日本のイオンモールは、食料品や日用品などを購入する生活の基盤のような存在です。しかし私には、カンボジアのイオンモールは高級デパートのように感じました。利用している人も一部の高所得者や外国人が中心であるように感じ、現地に住む多くのカンボジア人の生活との間に大きなギャップがあるように思えました。UNDPが毎年公表している人間開発指数は、所得だけではなく、健康や教育にも着目して、人間の生活の豊かさを測る指標です。経済が成長していても、その恩恵を受ける人が限られていれば、そこには大きな格差が残ります。国の発展を見る際には経済規模や街の変化だけではなく、そこに暮らす一人ひとりの生活がどのように変化しているかを見る必要があると感じました。
 また、UNDPの役割についても、単に「他国がカンボジアを助ける」というものではないことが印象に残りました。重要なのは、カンボジアが将来的に他国の支援に依存し続けるのではなく、カンボジア政府自身が国民を支えられる仕組みをつくることです。そのためにUNDPが各省庁と協力し、海外などから入ってきた資金をどのように活用するのか、そのノウハウを伝えているという話を聞きました。私はこれまで国際協力というと、「お金や物資を支援すること」をイメージすることが多かったです。しかし、いくら資金が入ってきても、それを適切に使う仕組みや能力がなければ、問題の解決にはつながらず、場合によっては汚職につながってしまいます。この話から、支援する側が何かを与えるだけではなく、支援される側が自分たちの力で社会を動かせるようにすることこそ、持続的な開発には必要なのだと感じました。
 さらに、レジリエンス(resilience)という考え方も印象に残りました。これは災害などの困難にどれだけ耐えられるかというだけではなく、困難な状況の中でも生きる尊厳を保ちながら、その先の繁栄(prosperity)を目指していく力だと学びました。私はこれまでSDGsについて考えるとき、「貧困をなくす」「経済を発展させる」といった結果に目を向けがちでした。しかし、本当に重要なのは、困難な状況にある人々がただ生き延びるだけではなく、尊厳を持って生活し、自分たちの将来を選択できる環境をつくることなのだと感じました。
 そして今回の話の中で、私が一番難しく、同時に興味深いと感じたのが、労働と人権について、カンボジアの現在の政治体制の中で考えなければならないという点です。人権を大切にし、より民主的な政治を実現することが重要であることは理解できます。しかし、カンボジアでは「人権」という言葉自体に敏感な部分があり、労働組合などの活動であっても、課題に直面する可能性があります。私は話を聞く前まで、人権を守るためには、それを主張していけばよいのだと単純に考えていました。しかし実際には、その国の政治体制や社会状況を考えながら、どのように人々の権利を守っていくのかを考えなければなりません。理想を掲げるだけでは解決できない難しさが、国際協力にはあるのだと感じました。
 今回のUNDP訪問を通して、私は「発展しているかどうか」を街の見た目や経済成長だけで判断するのではなく、その発展によって誰の生活がどのように変化したのか、そして人々が尊厳を持って自分たちの未来を選択できるようになっているのかを見ることが重要なのだと学びました。また、国際協力は一方的に助けることではなく、最終的にはその国自身が自分たちの社会を支えられる仕組みをつくることが重要なのだと感じました。