カンボジア研修3日目
2026.08.19
カンボジア研修3日目は、子どもの保護活動に取り組むカンボジア発の国際NGO「Friends International」、メコン川の対岸にある村、日本人が設立したフリースクール「愛センター」を訪問しました。カンボジアの社会が抱える課題を、子どもたちの置かれている状況を通して考える機会となりました。
Friends International
R. N. さん(3年生)
カンボジア発の国際NGO「Friends International」の訪問を通じ、子どもの保護(child protection)の支援現場から、貧困問題への本質的なアプローチについて深く学ぶことができました。
特に印象的だったのは、支援の前提となる「信頼関係」の重要性です。内戦や政治的混乱の歴史から公的機関への不信感が根強い現地では、一方的な支援策の提示だけでは、十分な支援にはつながりません。毎日の挨拶や丁寧なカウンセリングを通じ、子どもや家庭が置かれている真のニーズを把握することこそが支援の出発点となります。また、物乞いに渡した乳幼児用の粉ミルクが換金されてしまう現実が示す通り、子ども単体ではなく「家族全体」を包括的に支える視点も不可欠であるという点を学びました。
さらに、旅行者という立場から貧困層を助ける方法についても大きな気づきがありました。「ChildSafe」運動が示すように、路上での物乞いへの金銭給付は、物乞いを固定化させ、子どもの自立を阻害します。研修中に「カンボジア人は外国人を自分たちより『偉い存在』と見ていることがある」という話を聞きましたが、支援者と被支援者の間には無意識の力関係が生じやすいと感じました。安易な善意に基づく観光客の行動は、相手を「弱者」として固定化し、かえって自立を妨げるリスクがあることを学びました。
求められるのは一時的な施しではなく、支援団体に連絡をすることや、職業訓練などを通じた自立に向けた生活基盤の確立であると学びました。「自分の国でやらないことを途上国でしていないか」という問いかけとともに、支援の本質を深く考えさせられました。
Lok Lak(カンボジア風ステーキ)
Friends International が経営するレストラン。同団体が支援した子どもたちも、スタッフとして働いています。
愛センター
Y. M. さん(4年生)
日本人が設立したフリースクールの愛センターには、経済的に余裕がなく塾に通うことが難しい子どもたちが、日本語や英語を勉強している。現在、愛センターの先生は、愛センターで学んできた大学生や高校生が担っている。私たちは日本語を勉強している中学生に向けて「日本とわたしたちの街、なごや」というタイトルで、日本や名古屋について知ってもらうためのクイズ形式のプレゼンテーションを行った。プレゼンテーションの後は、グループに分かれて、テーマを決めて子どもたちと自由に話し合った。
年齢の離れた子どもたちを対象にプレゼンテーションをするのは初めてだったため、大学生に向けて発表する場合とは異なる難しさがあると感じた。特に、今回参加した子どもたちの年齢にはばらつきがあった。そのため、どの程度の漢字や言葉を使えば全員に伝わるのかを判断することに難しさを感じた。単純に「簡単な言葉を使えばよい」というわけではなく、「やさしい日本語」を用いて、分かりやすく伝える工夫をすることが重要だと考えた。
また、実際に子どもたちと交流してみると、想像していた以上に日本の文化が知られていることにも気づいた。例えば、納豆、寿司、ラーメンなどを知っている子どももおり、日本に対する興味や知識があることが分かった。一方で、事前にインターネットで得た情報をもとに、日本で人気の屋台の食べ物に関するクイズを作成したところ、実際には子どもたちが知らない食べ物もあり、クイズがうまく成立しない場面もあった。このことから、「カンボジアでは日本文化が知られている」という情報だけでは、目の前にいる子どもたちが実際にどこまで知っているのかまでは分からないということを実感した。
今回特に難しいと感じたのは、自分は知っているけれど、相手はどこまで知っているのか分からないという状況で、相手の知識量を推測しながら話すことである。日本では当たり前だと思っていることでも、相手にとっては初めて聞く情報かもしれない。そのため、一方的にこれくらいは知っているだろうと決めつけるのではなく、相手の反応を見ながら説明の詳しさを調整する必要があると感じた。
さらに、子どもたちの注意を引き続けるためには、大学生を対象とした発表以上に、声の大きさや抑揚、クイズなどの参加型の工夫が重要だと実感した。参加型の授業にすることで、子どもたちは受動的に知識を得るだけではなく、自分で問いを立てたり、考えたりするきっかけを作ることができると考えた。
一方で、実際の授業では私語をしている子どもたちを注意したり、全体の動きをまとめたりすることを愛センターの先生方が行っていた。自分自身は年齢の離れた人に何かを教えることが初めてだったため、まずはプレゼンテーションを楽しんでもらうことで精一杯だった。しかし、今回の経験から、限られた時間の中で、子ども一人ひとりの理解度や反応を見ながら、全体の動きをまとめて授業を進めることは非常に難しいと感じた。
今回の経験を通して、プレゼンテーションでは「何を伝えるか」だけではなく、「誰に伝えるのか」「相手はどこまで知っているのか」を考えて内容や言葉を選ぶことが重要だと学んだ。今後は、事前に得た情報だけを鵜呑みにするのではなく、相手の反応を観察しながら、その場で伝え方を柔軟に変えられるようになりたい。
グループワークでは、将来の夢とその理由について話し合った。グループの4人はそれぞれ異なる意見を持っており、「お金持ちになりたい」「弁護士または通訳者になりたい」「カンボジアのプロボクサーになりたい」「まだ決まっていない」という回答があった。「お金持ちになりたい」と答えた生徒に、将来お金持ちになって何をしたいのか聞いたところ、少し考えた後、「家を買いたい」と答えた。私自身も幼い頃に「とりあえずお金持ちになりたい」と考えていた時期があったため、懐かしさを感じた。
「弁護士または通訳者になりたい」と答えた生徒は、「人を助けたいから」と理由を話してくれた。また、日本語を活かした仕事にも興味を持っているようで、日本語を学ぶことが将来の仕事につながっていることが印象に残った。
「カンボジアのプロボクサーになりたい」と答えた生徒は、カンボジアのボクサーは政府からの十分な支援を受けることが難しく、強くてもなかなか注目されにくいという現状を教えてくれた。日本に住んでいるからこそ知っているカンボジアとの違いがあることも興味深かった。
また、将来の夢がまだ決まっていない生徒との会話では、「日本はとてもきれいだが、カンボジアは汚いと思うか」と質問された。この質問にはとても悩んだ。実際に衛生環境には改善の余地があると感じる一方、カンボジアはここ数年で大きく発展しており、今後さらに変化していく可能性もあると考えた。この質問をきっかけに、私たちが日本で当たり前だと思っている衛生的な環境も、行政や法律、そこで暮らす人々の行動などによってつくられているものだと考えるようになった。また、インターネットの普及によって、カンボジアの人々が他国の生活環境を知る機会が増え、それがより良い環境を求める気持ちや社会の発展にもつながっているのではないかと感じた。
今回のグループワークを通して、同じ中学生でも将来の夢や考え方がそれぞれ異なることを知ることができた。また、普段は意識していなかった自分の生活環境について考えるきっかけにもなった。カンボジアの人々の期待を裏切らないためにも、これからは日本で生活する中でも、今まで以上に公共の場所をきれいに使うことを意識したい。
メコン川の対岸の村
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