PROJECT SUMMARY
どんなプロジェクト?
「たぶんcarきょうせい」は、多文化共生に興味を持つ外国語学部の4人の学生が推進する産学連携のプロジェクト。愛知トヨタで働く日本人社員と外国籍社員が、お互いに良い関係を保ちながら働く環境を築くにはどうすれば良いか。そんな課題を設定し、仮説を立て、実際に企業を訪れて検証を繰り返しながら手探りの活動を続けています。
WHAT WE LEARNED #01
愛知トヨタとタッグを組み、多文化共生の問題に取り組む
「もともと英語や外国の文化に興味があって外国語学部を選びました。講義を受ける中で、日本で生活する外国籍の方と関わりたい、支援をしたいと思うようになりました」と話すのは杉浦さん。同じ思いを持つ近藤さん、松井さん、清水結生さんとともに、自分たちに何ができるのかを模索していました。そんな時、社会連携センターから紹介されたのが愛知トヨタでした。
「愛知トヨタには外国籍社員が多く、日本人社員との共生が課題になっていると聞きました」
また愛知トヨタは問題の解決に学生の新鮮な発想を取り入れたいと思っていたこともあり、杉浦さんたちとタッグを組むという話になりました。多文化共生とクルマを掛け合わせて「たぶんcarきょうせい」というチーム名がすぐに決まりました。
WHAT WE LEARNED #02
問題は、日本語や方言の分かりにくさではなかった
最初に、外国籍社員の実態を知るために愛知トヨタの外国籍社員とそのご家族を対象とする座談会を実施。さまざまな話をお聞きする中でメンバーが注目したのは、名古屋や三河の独特の方言でした。
「外国籍と言っても、日本語の会話レベルはバラバラです。また日本人社員は名古屋弁や三河弁で話すため、日本語が苦手な外国人には正しく意味が伝わらないのではないか。また普通の会話でも、方言だと“きつい”言い方に聞こえるのではないかと考えました」と杉浦さん。
そこで名古屋弁・三河弁で使われる主要な単語をピックアップし、外国籍社員と日本人社員約2000人にアンケートを実施。しかし、その結果はメンバーが立てた仮説とは大きくかけ離れていました。
「日本人・外国籍社員のどちらからも、言葉の問題よりも互いのコミュニケーション不足を指摘する意見が数多く上がっていました」と近藤さんは語ります。

外国籍社員の意見としては、日本に住んでいれば日本語や方言は自然と覚えられますが、それよりも普段の生活の中で自分たちが日本人と交流しようとしても、日本人は心を開いてくれないように見えることを問題視していました。一方、日本人社員の側からは、外国籍社員と話したいとは思っていても、どう話しかければ良いのか、どんな話をすれば良いのかが分からないという意見が目立ちました。お互いにコミュニケーションを取りたいと思っているのに、一歩が踏み出せない。そんな問題が見えてきたのです。
WHAT WE LEARNED #03
本当の問題は、外国籍社員と日本人の心の距離
その状況を改善するためにどうするか。ふたたび外国籍社員の方と会い、さらに詳しい話を伺うことにしました。
話を聞いたのは、ネパールから来日したベテランと新人の2人の社員。そこでもやはり日本人社員とのコミュニケーション不足が問題だということが分かりました。
「特に印象的だったのは、インタビュー中に出てきた『日本人社員との間には心の距離がある』という言葉でした」と松井さん。
外国籍社員は日本に来る前と来た後で日本のことを一生懸命勉強しているのに、日本人社員はネパールのことをほとんど知ろうともしない。そのすれ違いを、彼らは心の距離という言葉で表現していました。異なる文化を持つ人たちが一つの会社で共生するには、そんな心の距離を縮める必要がある。こうして、この心の距離を縮めることが活動の目的になりました。

NEXT STEP
心の距離をもっと縮めていくために

ポスター完成の目標は2025年の3月でしたが、最後まで細かい部分にこだわってコピーやデザインの修正をしたため、目標には間に合いませんでした。しかし愛知トヨタの担当者からは、外国籍の方からの本音を引き出してくれたおかげで、外国籍の方への支援の方向性が見えてきたといううれしいフィードバックをいただくことができました。また愛知トヨタで外国籍社員の日本語弁論大会が開催された際、メンバーもゲストとして招待していただきました。こうして、メンバーと愛知トヨタとの距離も近づきつつあります。
「その後、インタビューに答えてくださったネパールの方と仲良くなり、一緒にネパール料理を食べに行ったりしています」と近藤さんは語ります。
今後は、ポスターと同時に作成したオリジナルマークを活用して、さらに多文化共生を推進するためのグッズ作成やイベントの開催なども計画中。これからも日本人と外国籍社員が共生できる環境づくりの挑戦を続けていきます。