キーワードから広がる世界は想像以上かも?
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体内で病気を治療する「極小ロボット」は実現可能?
細胞をつかむのも、回転させるのも、ロボットにおまかせを。
対象にしたのは、細胞というマイクロメートルサイズの世界。
科学や医学の進歩によって一つひとつの細胞を操作する研究が増えています。人工授精やクローン技術では細胞の核を移植したり除去したりする必要がありますが、高い精度が求められるため、熟練の作業者が顕微鏡を覗きながら一つずつ手作業で操作することも少なくありません。
しかし、ヒトの細胞の中でもっとも大きな卵子でも大きさは約0.1mm(100㎛)。このサイズの細胞を手作業で操作すると、作業者によって差が生じ、それが研究成果のばらつきにもつながっていました。
研究室では、こうした細胞操作の精度をあげるために、磁気で駆動するマイクロ・ナノロボットを開発しています。5mm×0.2mmという極小ロボットが細胞をつかみ、姿勢制御や組み立てを自在に行う。SF小説に登場するような技術が、現実のものになろうとしています。
体内で病気を治療する。そんなロボットの実現も夢じゃない。
マイクロ・ナノロボットの実用化が期待されるのは、人工受精や再生医療などの医療分野ばかりではありません。
細胞の核を移植する研究は、家畜の改良増殖をめざす畜産分野やクローン動物を使用した製薬分野でも盛んに進められています。一方、マイクロ・ナノ工学は、電子デバイスや機械部品の小型化、高性能化にも貢献しており、技術の進化が加速しています。
研究室の夢は、体内に入るサイズのロボットを開発し、がんや血管系の病気の治療に貢献すること。まさにSF映画のような話ですが、ロボットを小さくしたり、精度を上げる技術を高めることによって、数十年後には可能になるのではないかと考えています。
そのためにも基礎技術を高め応用範囲を広げることが大切です。どの研究も、目的は人の役に立つこと。発想を生かす口ボットをつくるために、システムや制御の勉強にも研究室全体で取り組んでいます。
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- 理工学部
- メカトロニクス工学科
最近マスクをつけている人が多い気がしますが…。
風邪や花粉症、マスクをする理由はそれだけじゃありません。
社会学の立場から人間関係の悩みを解決したい。
現代社会にはコミュニケーションや人間関係が難しいと感じる人が少なくありません。風邪でも花粉症でもないのに、顔を隠すためにマスクをする「だてマスク」の人を見かけるのもそのためではないでしょうか。
「どんなお客様にも笑顔が求められる接客業。でも、今日はそんな気分になれないからマスクを着けよう…」。
接客アルバイトをしていたある学生が、こんな話をしてくれたことがあります。つまり、自尊心を危うくする笑顔という仮面から自分を守るための別の仮面、それが「だてマスク」だというわけです(もちろん、ほかにもさまざまな意味があると思いますが)。それにしても、こんなにもコミュニケーションや人間関係が難しく感じられる社会はなぜできあがったのでしょうか?そして、こうした困難にはどのように対処することができるのでしょうか?こうした点を社会学の立場から考えるのが私の研究です。
世の中の当たり前を疑ってみよう。
買い物のときや飲食店などで、接客が丁寧すぎると感じたことはありませんか?
私は「ここまで丁寧にされるとかえってこちらは居心地が悪い…」と感じることもあります。「できるだけ丁寧にしておけば間違いなかろう!」という、ある種の予防線的な措置だと思いますが、これも人間関係が困難になっていることの現れかもしれません。その一方で、このような過剰な丁寧さが、かえって人間関係を面倒にしているようにも感じます。
社会学は「当たり前を疑う学問」です。世の中の当たり前を疑うことを通して、私たちの社会生活の中で生じているさまざまな問題に対する「意外な答え」を提示できることが、社会学の面白さであり意義だと思います。
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- 人間学部
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もっと省エネな世の中はやってきますか?
カーボンナノチューブが実現するかもしれません!
名城大学で発見された“夢の素材”
パソコンを使っていると本体が熱くなる。その理由を考えたことはありますか?熱を引き起こしている原因は「電気抵抗」。もっとスムーズに導電できる素材を使えば、使用エネルギーはぐんと抑えられます。そこで、現在使われているシリコンなどに替わる素材として期待されているのが「カーボンナノチューブ」なのです。1991年、名城大学の飯島澄男終身教授が他の研究のために作った試料に含まれていた“ファイバー状のカーボン”を発見しました。これまでにないナノメートル単位の細さと引っ張り強度、軽さ、導電性などを備えており、省エネに貢献できる夢の素材として実用化が待たれています。
実用化に向けた課題に挑む。
実は、カーボンナノチューブの実用化には大きな課題が。それは、均一の性質を保ちながら大量生産できる技術が確立されていないのです。原因は、その構造。カーボンナノチューブは炭素原子が六角形に並んだグラファイトシートが円筒形に丸まってできているのですが、その六角形の向きによって導電性の高い金属になったり、半導体になったりと、性質が大きく変わってしまうのです。今後、カーボンナノチューブを安定して作製する技術の確立や作製に適した触媒の開拓が進めば、現在より格段に電気ロスの少ないデバイスや高速稼働するコンピュータの開発につなげることができるでしょう。
研究室では、学生の試みによって初めてカーボンナノチューブの生成過程を捉えるなど新しい成果が日々生まれています。研究成果が蓄積された本学で、未来の素材にいっしょに挑んでみませんか。
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- 理工学部
- 応用化学科
動物の生態を調べると何がわかるの?
野生動物が環境汚染を教えてくれます。
北の海で行う海鳥の生態調査。
私の研究テーマは野生動物の生理生態学的研究。主にウミネコやウトウ、オオミズナギドリなどのコロニー(集団営巣地)を形成する海鳥類が専門です。たとえば、北海道の北部にある「天売島」。ここはウトウの世界最大の繁殖地で40万ペアが生息し、無数に空いている巣穴を間近で観察することができます。また、青森県八戸にある「蕉島」には、4万弱のウミネコの巣があります。調査地にもよりますが、行く場所の海鳥は人に慣れているので近距離で調査が可能。ただ、動物相手ですからエサの状況や天候に左右されて思い通りに進まないこともしばしばです。ときには調査している鳥が野猫に殺されたり、食べられてしまうという残念なこともありますね。
水銀による海洋汚染はいまも進んでいる。
原発事故で低濃度の放射線が問題になりましたが、最近では低濃度の水銀汚染による野生動物への影響についても調べています。水銀による汚染は「水俣病」として社会問題となり、日本では対策が取られ解決したと思っている人も多いでしょう。しかし文献を読むと、欧米では水銀を含む化学物質の野生動物への汚染が生物多様性を脅かすとされています。ただちに人間に影響が現れるレベルではないにしても、アジア地域で排出された排ガス中の水銀によって日本沿岸の北太平洋の汚染が進んでいると言われています。実際に海鳥の蓄積量を調べてみると、数値の意外な高さに驚きます。こうして調査をしていますが、実は自分の研究が世の中にどう役立つかにはあまり関心がありません。「知りたいことをただひたすらに追究する研究があってもいい」と思って続けています。
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- 生物環境科学科
プラズマが、再生医療分野に役にたつ?
プラズマ刺激を与えた細胞を再生医療分野で活用する方法の確立をめざしています。
細胞に「プラズマ」で刺激を与えて、生命活動をコントロール!?
注目を集める再生医療。生きた細胞を組み込んだ人工材料や遺伝子操作した細胞を利用することで、損傷した臓器や組織を再生し、失われた人体機能を回復させようという分野です。細胞にさまざまなアプローチで刺激を与え、再生医療に利用する方法が研究されています。そのひとつがプラズマ照射による刺激です。プラズマによってつくりだされる化学反応や熱や光の効果を使い、細胞を操って活性化させたり、死滅させたりするという、細胞の生命活動を制御しようという試みです。しかしプラズマ刺激で変化する細胞のメカニズムには、まだまだ解明できていないことがたくさんあります。
電気電子工学をベースに、さまざまな分野の技術を融合していく。
細胞にプラズマ刺激を与える研究手法。これまでは細胞集団全体にプラズマを照射し、活性化した細胞や死滅した細胞の数を検証するという方法が一般的でした。しかし、よりくわしく検証するためには、刺激を受ける細胞一つひとつの状態を把握する必要があります。
研究室では「マイクロマシン」や「ナノバイオテクノロジー技術」を利用しながら、個々の細胞に直接プラズマ刺激を与える方法を確立。この研究は電気電子工学をベースにしながら、生物学や遺伝子工学などのさまざまな分野の技術を融合していくものです。さまざまな分野と幅広く関わる、とてもやりがいのあるテーマです。
学べる学科
- 理工学部
- 電気電子工学科
アジアの石油王はお菓子屋さん?
石油を売るお菓子メーカー。特別なことではないんです。
これからはコングロマリット(複合企業)が増えてくる。
私の研究フィールドはアジアや新興国を中心とした企業経営ですが、こうした国の企業では財閥化やコングロマリット化が進む傾向にあります。日本のお菓子メーカーでも事業の多角化を図ることはありますが、まったく関係のない石油化学事業をやるとか、タンカーやオートバイをつくろうとすることはありません。しかしアジアや新興国では、お菓子メーカーが石油化学事業を手がけることは普通のこと。ある韓国のお菓子メーカーでは、百貨店事業からホテル事業、さらには石油化学事業、建設事業、保険事業まで、分野を問わずあらゆる事業を展開しています。こうした企業経営にはデメリットもありますが、日本企業も取り入れるべき点や見習うべき点があります。
ビジネス環境が違えば、めざす企業形態も違ってくる。
アジアでコングロマリットが多いのは「市場の成熟度」だと言われています。成熟した先進国市場に比べ、つねに成長を続けている新興国市場では多くのビジネスチャンスが生まれます。普通ならそこでいろいろなベンチャー企業が台頭してくるのですが、現実的には大資本の財閥企業がその多くを吸収してしまい、ベンチャー企業が独自に成長する道を閉ざしてしまうのです。
また、コングロマリット化した企業はモノづくりからどんどん離れ、事業投資会社へと変貌を遂げていくケースも多く見られます。その点、日本の企業はモノづくりに専念して他事業には手を出さないケースが多いのですが、グローバルな時代だからこそ、日本の強みも理解しつつ世界がどのような動きをしているかを注視する姿勢が必要です。
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- 国際経営学科
ワサビ+ノド飴でがんの薬に?
副作用のない抗がん剤の完成をめざしています。
新しい抗がん剤の開発を、農学からアプローチする。
日本人の死因第1位は「がん」です。統計的には2人に1人が生涯のうちにがんにかかると言われています。
がん治療には「抗がん剤」が用いられますが、今の抗がん剤は副作用が激しく、髪の毛が抜けたり、吐き気を催したりする症状が現れることが。「副作用のない抗がん剤はできないか?」ということで始まったのがこの研究です。まず、副作用のないという観点から自然の中に生息し、伝統的に使われている2つの食品に注目しました。それが「ワサビ」と「甘草」です。
ワサビは薬味として使われているものだし、甘草は漢方薬やノド飴の成分として使われています。この2つの成分をブレンドして与えると、がん細胞は殺しても正常細胞は死なないことがわかりました。つまり、副作用がないということです。
脳腫瘍に効く薬の開発につながる研究に特化。
ワサビや甘草に限らず、人は昔から農作物を食用のほか薬にも利用してきました。そうした作物の「どの成分が何に効果があるのか?」を私たちは研究しています。
ワサビと甘草の組み合わせが抗がん効果を発揮するのは「脳腫瘍」といわれるどちらかというとマイナーなジャンルのものですが、それでも年間500〜750人の子どもたちが発症しています。開発にかかる費用や開発後の需要を考えると、どうしても発生頻度が少ない病気の薬剤は後回しにされがちですが、そうしたジャンルに目を向けることこそ大学の研究だと思います。道のりはまだまだ遠く、今はまだ実験室レベルの成功にすぎません。しかし、自然の持つ未開の力を利用した“副作用のない抗がん剤”ができることを夢見ています。
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- 農学部
- 応用生物化学科
エネルギー効率の良いエアコンや冷蔵庫をつくるには?
熱流体の仕組みを解析することで、より効率が良く、環境にも優しい冷凍空調機器がつくれるように。
空気を冷やすメカニズムは「打ち水」と同じ。
ものを冷やすには「より低い温度の物体を利用する」「氷などが溶けるときの融解熱を利用する」など、いくつかの方法があります。エアコンや冷蔵庫などの冷凍空調機器に用いられているのが、蒸発現象を利用する方法です。夏場、道や庭にまかれる「打ち水」もこの蒸発現象を利用しています。打ち水は、まかれた水が蒸発する際に空気中の熱を奪い、気温が下がる仕組み。エアコンの場合、室内機と室外機を結ぶ配管の中に冷媒と呼ばれる流体を循環させ、この流体を圧縮や減圧して液体や気体に変化させます。この冷媒が蒸発する際に発生する気化熱を利用して温度調節を行っています。
「熱流体解析」で、冷凍空調機器の配管内の冷媒の挙動を解明する。
「熱流体」は、液体や気体などの流動性があるさまざまな物質がどのように熱を移動させながら動いていくのか、その仕組みを考察していく分野です。冷凍空調機器の配管内を循環している冷媒は、気体や液体に状態を変化させながら熱を移動させていきます。しかし、冷媒の種類による違いや冷媒の動きがどうしてそうなるのかなど、いまだ解明できていないことがたくさんあります。
研究室では「熱流体解析」を使うことで配管内の冷媒の様子を理論的に解明しようとしています。熱流体の知見を深めることで、冷凍空調機器のエネルギー効率の向上や環境負荷の低減をめざしています。
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- 理工学部
- 機械工学科
値引き5%とポイント還元5%はどちらがおトクなの?
消費者は、還元率が5%以下のときはポイントの方がトクだと感じる調査結果が。
ポイントカードの前では、人は合理的な判断力を失っている!?
近年、さまざまなところで導入されているポイント還元。多くの小売業やメーカーがポイントを利用した販促活動を取り入れています。合理的に考えれば、そのお店で商品を買うときにしか使えないポイントよりも、いつでもどこでも、何を買うのにも使える現金で還元される値引きの方が消費者にとってトクであることは明白。しかし研究結果では、5%以下の還元率の場合、消費者は現金よりもポイントで還元される方がトクだと感じるという結果が確認されました。私たちは買い物をするとき、このように経済合理性だけでは理解できない行動をしています。こうした消費者の行動のメカニズムを主に心理的な側面から探っていくのが「消費者行動論」。人間の不思議な心理を知ることができる、とてもおもしろい研究テーマです。
経営活動に必要不可欠な「マーケティング・リサーチ」
現在、たくさんの企業がマーケティング・リサーチ(市場調査)を繰り返し、時代のトレンドや消費者の動向、顧客のニーズを分析しながら経営戦略を立てています。
たとえば小売店の場合、「いつ、どの商品を、どれだけ値引きすれば効果的か?」を考え、値引きキャンペーンなどの施策を立案しています。しかし、古くから行われてきた「値引き」という方法に比べると、ポイント還元の仕組みは近年になって普及してきた比較的新しいもの。
「いつ、どの商品をどれだけポイント還元すれば効果的か?」などについては、まだまだ調査データ不足で解明されていない部分がたくさんあります。ポイント還元における消費者行動を解明することは、企業が効果的なポイント還元を検討する際にも重宝されるはずです。
学べる学科
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- 国際経営学科
適切なコミュニケーションを取るために大切なことって?
「話す」だけがコミュニケーションではありません。「聴く」ことも重要なポイントです。
日本語を話す外国人より、英語を話す日本人のほうがすごい?
日本のコンビニで働く外国人の方をよく見かけるようになりましたが、外国の方が日本で働くということは、言語能力を考えればすごいことです。しかし、それが社会的に高い能力であると取り上げられることはあまりありません。一方で、日本人が英語を少し話せる=すごいという考えは多くの人が持っています。このイメージの違いは、コンビニで働く外国人が「日本語という外国語で仕事をするすごい人」という視点が抜け落ちてしまっているから。これでは日常の中にある“異文化への視点”が狭くなってしまいます。異文化コミュニケーションの場において、このような思い込みは多々あります。こうした思い込みから解放されるためにも、フラットな目線で偏見を持たずに相手の話を「聴く」ということが大切になります。
「相手の話をしっかり聴く」ことが良質なコミュニケーションのコツ。
コミュニケーションは「他者との関係性」の上に成り立っています。自分が話す・伝えるということだけではありません。また、「男性・女性だからこうだ」というように、相手の考え方などを決めつけていると適切なコミュニケーションは成立しません。だからこそ、まずは相手の話をしっかり聴いて、相手を知ることが重要なのです。これは英語でのコミュニケーションでも同様です。流暢に英語を話せることよりも、ちゃんと意味のあるひとことを言えるほうが大切であるということを忘れてはいけません。自分と相手との関係性を客観的に見て「聴く」ような姿勢が大切です。教育活動を通じて、より柔軟なコミュニケーションの捉え方が広まればいいなと思っています。
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未来の電力・エネルギーはどうなっている?
太陽光発電などによる自家発電を主としたシステムが実現しているかも?!
電力会社の電気供給の仕組みや、未来の電力のあり方をシミュレーション。
発電所の発電機から送電線を通って、最終的にみなさんの住まいまで電気を届けるシステムを「電力システム」と言います。電力システム工学では、低コストと信頼性を両立する電力供給の仕組みや、震災などの災害発生時でも停電しにくいシステムなどを考案し、それらの電力システムについてさまざまなシミュレーションを行っています。
また、2030年〜2050年ごろの未来の電力システムのあり方を考えることも。未来には、それぞれの家が太陽光で発電された電気を蓄電池に貯めて必要な電力をまかなう可能性もあります。このように、未来の電力システムのあり方を想像するのも研究の楽しさです。
高校や大学で勉強する数学が役にたつのも、電気電子工学のおもしろさ。
電気電子工学のおもしろさのひとつとして、高校や大学で勉強する数学の内容がダイレクトに役立つことが挙げられます。たとえば、発電機からどの程度の電力を安定して送電できるか計算するときには、大学1年で学ぶ線形代数や行列を使用します。電気の交流回路は三角関数や複素数を使って計算します。また、研究で用いる高速計算機はパソコンとほとんど同じ仕組みなので、プログラミングに興味のある学生にも多くの学びがあるのではないでしょうか。
研究室では、学生が疑問に思ったことに対して、教えられることはすべて教えるようにしています。そして、その知識をもとに自分で考え、行動することの大切さやおもしろさを知ってほしいと考えています。
学べる学科
- 理工学部
- 電気電子工学科
花の「香り」は、品種改良によって変えられる?
メカニズムが解明できれば、「新たな香り」をもった植物も生み出せるはず。
遺伝子組換えやゲノム編集など、さまざまな新技術で進化する品種改良。
日本各地で人気を博す多様なブランド米。これらはたくさんの農業従事者が「交配による品種改良」を繰り返した成果です。さらに「遺伝子組換え技術」によって生まれた青いバラや、任意の遺伝子情報を改変する「ゲノム編集技術」によって育成された糖度の高いトマトなど、人類は試行錯誤によって新品種を生み出してきました。
しかしそれは味や形、色に関してのこと。香りについてはこれまであまり着目されてきませんでした。その一方で、香りはヒトに対してさまざまな生理作用を与えることがわかっています。アロマオイルなど、暮らしに香りを取り入れるさまざまなアイテムも一般化してきています。私たちは「植物の香り」を改良する方法を研究しています。
まだまだ解明されていない部分が多い「香り」のメカニズム。
たとえば、「香りA」と「香りB」の香料を調合するとまったく違う「香りC」が生まれるなど、香りにはまだまだ解明されていない不思議な謎がたくさんあります。また、植物内のどの物質や遺伝子が香りに関連しているのかも特定されていません。
研究室では、カモミールやラベンダーなどの植物を題材に、遺伝子操作や交配による品種改良などを試しながら糸口を探っています。花びらが大きく、精油の収量増加が期待できるカモミールや年に2回花をつけるラベンダーなど、新しい品種を生み出すことには成功しているものの、香りの解明は難航中。香りがヒトに与える影響や香りの仕組みなどについても調べながら「香りの解明」を続けていきます。
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データ分析と人間の心理、この2つに何の関係があるの?
人の行動を予測するのには、データと心理の両方を分析することが重要です。
ビッグデータを分析すれば、消費者の行動が予測できる?!
「Amazonなどの通販サイトで、どんな人たちがどのように買い物をしているのか?」「スマートフォンのゲームや動画配信サービスをどんな人たちが利用しているのか?」「それらの人々がどれくらいの期間でゲームやサービスをやめてしまうのか?」といったさまざまなデータを統計学やAIを用いて分析。それによって、企業が知りたいと思っていてもなかなか知ることができないで「自社の顧客がどれくらいライバル企業を利用しているか?」や「自社のスマホゲームをすぐにやめてしまうユーザーは誰なのか?」などの情報を発見するための研究をしています。
人間の行動を分析するには「想像力」がとても重要。
インターネット上では、消費者の行動データを元に、その人に最適化された広告が表示されるなど、データから何でも得られるような風潮があります。しかし、データ上は同じ商品を購入している顧客でも、好きで購入しているのか、仕方なく購入しているのかまではわかりません。そのような“データでは見えない消費者の内面的な違い”を統計学によって明らかにすることが、この研究の目的です。データ分析が注目されがちな研究ですが、消費者の日常生活をイメージしたり、なぜその行動をとったのかを考えるなど、人間の心理や考え方を加味して考察するといった人間くさい部分もとても重要なのです。そして、そこにこそ研究のおもしろさがあると感じています。
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- 経営学科
次代のモビリティ産業で、中小企業は活躍できる?
ソフトウェア開発など、これまで以上に中小企業が活躍する社会が期待されています。
ものづくりを支える中小企業は、経済にも多大な影響を与えている。
自動車産業をはじめ、世界に誇れるさまざまなものづくりを続けてきた日本。「ものづくり大国」と言われ、その存在感を世界に示してきました。こうした日本のものづくりを支えているのが、日本企業全体の9割以上を占める中小企業です。たとえば自動車の場合、部品を製造する企業だけでなく、ナビゲーションシステムなどを担当するソフトウェア企業など、さまざまな関連中小企業が完成車メーカーを支える形で自動車生産が成り立っています。日本の産業の全体像や日本経済を考察する際、中小企業は非常に大きな影響力をもっています。そのため、日本の経済状況を分析するには大企業だけでなく中小企業の動向を正しく捉えることが重要です。
中小企業が活躍し、日本の産業を牽引する未来をめざして。
モビリティ産業へと変容を迎えている自動車産業を中小企業の立場から考察する研究を行っています。自動車産業は「100年に一度の大変革期」を迎えていると言われています。電気自動車や自動運転技術の開発が進む今日、トヨタ自動車が未来のモビリティを提案する「モビリティカンパニー」への変革を打ち出したことなどが話題になっています。この変革に対して中小企業がどのように向き合えばいいのか? 私たちの研究の目的は、各企業が情報を適切に収集し、それぞれの立場で適切な戦略を立てられるように知見を示すことです。研究を通じて日本の産業振興に貢献できたらと考えています。
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未来のモバイルデバイスの文字入力とは?
ポケットに手を入れたままメール送信!! スマートグラス向けの新文字入力手法を検討中。
急速な進化を続けるモバイルデバイス業界。
さまざまな革新を続けているモバイルデバイス(携帯して持ち歩ける電子機器)業界。スマートフォンやタブレット、スマートウォッチはめずらしいものではなくなり、眼鏡に近い形状のスマートグラスなど、さまざまな新製品が生み出されています。しかし、次々と登場する新しい形のデバイスに対し、その性能を十分に発揮する下地ができているかというと後追いになっているのが現状。たとえば、スマートフォンの登場とともに開発された「フリック入力」は定番の入力手法ですが、スマートウォッチのような小さな画面では使いづらい手法です。
そこで、スマートウォッチに適した新たな入力手法を開発。小さな画面でも、本文を確認しながらスムーズに入力ができるように工夫し、素早い入力ができる文字入力アプリを作成しました。
デバイスが新しくなれば、最適なインターフェイスも変わる。
スマートウォッチに最適な文字入力手法があるように、新しいデバイスには、それぞれに最適な入力手法があるはずです。「スマートグラスに映し出される画面を見ながら、手元を見ずに片手親指だけで文字入力ができる」スマートグラスを対象とした文字入力手法の開発に取り組み始めています。めまぐるしい進化を見せるこの業界。大急ぎでアイディアを形にしていかないと時代遅れになってしまう大変さはあるのですが、自由な発想で新しいものを開発するというおもしろさにあふれています。
スマートグラスを装着した人が、ポケットに手を入れながら簡単にメール送信している様子など、未来の私たちを想像しながら夢のある研究に一緒に取り組みましょう。
学べる学科
- 情報工学部
- 情報工学科※
※2022年4月開設
詳しくはこちら「腸活」することで、うつ病が防げる?
腸内環境を整えることが、ストレスの緩和などにつながるかもしれません。
「腸活」はダイエットや便秘解消に有効なだけではない。
「腸活」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないかと思いますが、これは食生活の改善などによって腸内環境を整え、健康な身体づくりをめざすものです。お腹の調子を整える=身体的な調子をよくするという印象があるかと思いますが、実はそれだけではありません。腸内環境が変わると脳の環境も変わるという相関関係があるのです。「ストレスを感じるとお腹が痛くなる」といったことがあるように、脳が何かしらの司令・刺激を出すことで一方的に腸などの臓器をコントロールしているイメージがあると思います。しかし、腸が病原菌に感染すると脳で不安感が増すなど、腸が脳へ何かしらの働きかけを行っている可能性があると考えられています。腸と脳との相関関係が、近年注目を集めているんです。
食生活の改善がストレスの緩和につながる。
腸内環境は食べるものによって変化するので、食事で腸内環境を整えることで脳にも良い影響を与えることができるのではないかと考えています。現在は「どのような食品および成分を摂取すれば、ストレスが緩和されるようになるのか?」などを研究中。マウスを用いて人間社会のパワハラに近い環境を作り出し、その影響下にあるマウスに与える食事を変えることで、何がストレスの緩和に役立っているかを調査しています。こうした研究を続けることで、ストレスの緩和やうつ病などの精神疾患の予防に作用する栄養機能食品(事業者の責任において、科学的根拠にもとづいた機能性を表示した食品)を開発したいと考えています。食べることで健康になれる社会を築いていきたいですね。
学べる学科
- 農学部
- 応用生物化学科
遺伝子研究で、人は救えるの?
DNA(遺伝子情報)の研究は、新薬の開発にも大きく貢献しています。
遺伝子研究は、神秘に包まれている生命の謎を解き明かす“鍵”。
日本で腎臓病の研究に取り組んでいた私。アメリカで遺伝子研究に3年間従事し、腎臓の奥深くにある細胞から高浸透圧ストレスに応答する遺伝子のクローニング(同じ遺伝子型をもつ生物を作製すること)に挑みました。そして、帰国寸前に成功することができました。帰国後も解明を進めていると、腎臓の奥深くからとったはずの遺伝子と同様の遺伝子をもった細胞が、脳の神経細胞中にもあることを発見。現在はこの遺伝子の生理機能を解明しています。人体には解明できていない謎がまだまだいっぱいです。遺伝子研究は、生命の謎を紐解く“鍵”となるとても奥の深い研究です。
病気の発症メカニズム解明や新薬開発に貢献する遺伝子研究。
私がクローニングに成功した「高浸透圧ストレス応答性遺伝子」は、体内の水分・塩分濃度を調整する役割をもつ腎臓において、細胞が高浸透圧にさらされる環境でも死滅しないように「細胞を守る」機能を有していると考えられます。そして、この遺伝子が神経細胞内にもあるということは「神経細胞内でも、この遺伝子が細胞を守る役割を担っているのでは?」と予想されます。この遺伝子がもつ生理機能をくわしく解明することで、腎臓病だけでなくアルツハイマー病などの神経変性疾患の治療薬開発にも貢献できるのではと考えています。
学べる学科
- 薬学部
- 薬学科
みんなが幸せになれる自動運転都市をつくるには?
一部ではなく、社会全体が幸せになれるような交通計画でまちづくりを考えていくことが大切。
交通計画は「人々が暮らしやすいまちづくり」の重要な要素。
暮らしやすいまちづくりを考える際、都市の交通計画や交通手段の整備は非常に重要なファクターです。研究室では「交通」をテーマに、人と環境にやさしいまちづくりについて検討しています。たとえば、高齢者による自動車のアクセルとブレーキの踏み間違い事故などが話題になっていますが、この背景には「高齢者が自動車を運転せざるを得ない都市設計である」という問題が潜んでいます。もちろん自動車に踏み間違いを防ぐ機能をつけることも大切ですが、コミュニティバスを運行させるなどして、高齢者が自動車に乗らなくても暮らせる都市設計をしていくことが重要です。
自動運転など、新たな交通事情を取り入れた交通都市計画を考える。
都市計画では、時代にあわせた新しいまちづくりを検討していくことも非常に重要。自動運転技術の実現には時間がかかると思いますが、実現できたら都市の交通事情を大きく変えることになるのは想像に難くありません。このとき大切なのは、自動運転技術を搭載した車の利用者だけでなく、都市全体、社会全体が利益を享受できるような仕組みを考えていくこと。
研究室では道路ネットワーク全体で総移動時間が最小になるように自動運転を制御する手法を開発するなど、みんなが幸せになれるような、未来の自動運転都市実現に向けた検討をはじめています。
学べる学科
- 理工学部
- 社会基盤デザイン
工学科
公立の学校や保育園はなぜ必要なの?
社会全体のメリットを考えて、公共サービスが整備されています。
国や地方自治体などが提供する「公共サービス」が必要な理由は?
公立学校による義務教育には「経済状況にかかわらず、すべての人が教育を受けることができる」という実際に教育を受ける人にとってのメリットだけでなく、「だれもが一定の教育を受けた社会にすることで、さまざまな取り引きがスムーズに進む」など社会全体にもメリットがあります。
世の中の経済活動には、義務教育のように市場を介さずに当事者以外にも影響を及ぼすモノやサービスがあります。このような場合、市場の自由な取引にまかせると、その供給量は社会的に最適とされる供給量を下回る可能性があります。そのため、国や地方自治体がそれらのモノやサービスを供給したり、補助金を出したりしているのです。
少子高齢化対策について「公共経済学」の観点から分析。
日本では「少子高齢化」が社会の大きな課題となっています。少子高齢化は、社会保障制度や日本の労働力人口の減少など社会全体に関わる問題です。たとえば「保育サービスを充実させる」ことで少子化対策につながるのであれば、それは子どものいる家庭だけでなく、社会全体にメリットのある事業であると考えることができます。
「公共経済学」は、国や地方自治体などの公共部門が行う経済活動を経済学の側面から分析する学問。私は公共経済学の観点から少子化対策について研究しています。少子化対策の効果や影響が明らかにできれば、政策の検討にも役立つはずです。
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- 経済学科
アフリカ諸国の国境に直線が多いのはどうして?
国境など必要なかったアフリカ大陸に、ヨーロッパの列強諸国が人工的に線を引いたから。
他国が引いた国境の中で独立を果たしたアフリカ諸国。
そもそもアフリカには「国境」という概念がありませんでした。王国は数多く存在しましたが、王が統治するのは民族であり土地ではなかったため、国境は必要なかったのです。しかし19世紀の終わりごろ、フランスをはじめとするヨーロッパ列強が乗り込み、民族の文化や歴史を顧みることなく大陸を分割して植民地としました。分割の境界線が、独立したアフリカの国々の国境になりました。アフリカ諸国の国境に直線が多いのはこのためです。
自分たちが引いたのではない国境は、同じ民族を違う国の国民にしています。民族紛争のような現在の問題の原因のひとつがここにあります。
大国“日本”の一員として何をすべきか、今こそ考えたい。
「アフリカ」といえば、ゾウやキリンが群れる野性の王国をイメージする人もいるでしょう。しかし、現在のアフリカは、携帯電話に不可欠なレアメタルをはじめとする豊富な天然資源で世界の経済・産業を支えています。アフリカの都市部では、建ち並ぶ高層ビルの間をスマホ片手の人々が行き来しています。その一方で、レアメタル採掘場では児童労働が今も続いています。
日本で暮らす私たちは、こうした現状をほとんど知りません。日本は国際社会に大きな影響力を持つ大国です。自分の視点で世界を見わたし、大国の一員として世界にどんな貢献ができるのかを考えることが、グローバル化が進む今こそ大切です。
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まちの大きさは、どうやって決めたらいいの?
運営がなりたつ「大きさ」と、自治ができる「小ささ」のバランスを考えて、市町村の最小サイズが決まります。
「地方分権」により、地域ごとに「自分たちでものごとを決められるまち」を。
「地方分権」という考え方が注目されています。地方分権とは、国がもっている決定権や予算を地方に移し、住民に身近な行政サービスを地域ごとに決められるようにしていくこと。地方分権によって、国が一元的に定めた政策ではなく、それぞれの自治体が地域にあわせて対応できるようになります。また、当事者の意見が反映されやすくなり、「自分たちで決めた!」という納得感のある政策ができるようになることが期待されています。これからの地方自治には、「自分たちのことは自分たちで決める」という姿勢がこれまで以上に重要になってきます。
「地方分権」を突き詰めると、まちは小さければ小さいほどいい?
地方分権の考え方を突き詰めていくと、当事者の意見をより反映しやすくするためには、国から県や市、町へとどんどんと分権し、より小さな単位ごとに地方自治を行っていくほうがいいのではないかとも思えます。その一方で、日本ではこれまで幾度となく市町村合併が行われ、小さなまちが統合されてきています。これは、少子高齢化や過疎化などで自治体としての運営が立ち行かなくなるまちが出てくるため。自治体として運営できる「大きさ」と、住民の意見が反映できる「小ささ」のバランスを見極めながら、適切なサイズの市町村を定めていく必要があるのです。
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3Dプリンターで家を建てる時代がやってくる?
建設用3Dプリンターに利用できる、セメント系材料を開発。
世界中の建設業界で進む、建設用3Dプリンターの開発。
「建設用の3Dプリンターを開発し、橋や住宅を造る!」という新しい取り組みが進められており、すでに実用化の事例が報告されるまでになってきています。実用化の事例はまだまだ限定的ですが、今後この技術が確立されれば、これまで大勢の人手が必要だった建設現場の作業が自動化され、建設業界に大変革をもたらす可能性も。少子高齢化や肉体労働の大変さなどを理由に従事者が減少し、人出不足が深刻な問題となっている日本の建設業界でも、人的コストの大幅削減が見込めるこの技術に注目が集まっています。
「チキソトロピー性」が高い、新しい材料の開発をめざす。
3Dプリンターは、ノズルから吐出した材料を層状に積み上げることで立体物を形作っていきます。そのため、3Dプリンターに用いられる材料には、押し出すまでは柔らかさを保ちながらも吐出後は形状を維持する「チキソトロピー性」と呼ばれる性質が求められます。加えて、建築物に必要な強度と耐久性を持っていることも重要です。しかしながら、建設現場で一般的に利用されているモルタルやコンクリートはその要件を十分に満たしているとはいえません。
研究室ではセメント系材料の構造や性質などをさまざまな観点から分析しながら、建設用3Dプリンター用材料としても最適な新しいセメント系材料の開発をめざしています。
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自動運転技術により、ドライバーは居眠りし放題になる?
「完全自動運転」の実現までは、しっかり安全を確認する必要があります。
めざましい進化を遂げている自動運転。しかし、完全自動化はまだまだ。
めざましい進化を遂げている自動運転技術。自動運転にはレベル1〜5までの段階が設定されていますが、現在はレベル3(特殊条件下における自動運転)の実用化段階まで到達し、運転支援技術として大きな成果をあげています。さらに今後は、5Gの普及によって交通を取り巻く情報をリアルタイムに把握できるようにすることで、自動運転技術のさらなる進歩が期待されています。しかし、人による監視が完全に不要となるレベル5(完全自動運転)への道のりはまだ長く、相当な時間がかかると予想されています。自動運転の実用化と並行して、ドライバーの安全操作の支援技術にも進歩が求められています。
磁気刺激で居眠りしにくい運転環境を作り出す、新しい居眠り防止システムを開発。
ドライバーの安全操作支援として開発が進められている技術のひとつが「居眠り防止システム」です。ドライバーの状態をセンサーが感知し、警告音やシートベルトの振動で注意を促すシステムなどが実用化されているのですが、この方法には持続力がなく、眠くなっている人を強制的に起こしてしまうことで、その後さらに深い眠りに陥ってしまうという問題点も。
研究室では、ドライバーに微弱な磁気刺激を与えることで体内でのATP(アデノシン三リン酸)の生成を促進させ、居眠りしにくい状況を作り出す方法を開発しました。「ATPが枯渇化して疲労がたまると睡眠をとろうとする」という人体のメカニズムを応用したシステムで、実用化に向けての検証を重ねているところです。
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※2022年4月開設
詳しくはこちら数学を使えば、株取引で儲けられる?
株取引にはリスクがつきものですが、数学によって、より合理的な判断ができるはず。
株などのオプション取引において、実用的な価格算出ができる数理モデルを探る。
金融界では、株取引などで「オプション取引」というものが行われています。オプションとは、一定期間後の株をあらかじめ定めた価格で買うことができる権利。このオプション取引の価格について、これまで世界中の数多くの金融経済学者が価格算出のための理論式を導き出し、発表してきました。しかし、これらはあくまで理論式にすぎず、実際の取引価格とは乖離しているため実用的とはいえません。そこで、より現実に近い価格算出ができる実用的な価格算出モデルを導き出そうとしています。もちろんこれができたからといって「株取引で絶対損をしない!」という話ではありませんが、「必要以上に無駄なリスクをとらなくてもいいようになる」などの合理的な判断ができるようになるはずです。
数学によって抽象的に扱うことで、幅広い分野で役に立つ可能性が。
あるとき、たまたま最近の人工知能に関する論文を眺めていると、研究で扱っていた式とそっくりな偏微分方程式が出てきて驚いたことがありました。これは、取り組んでいる研究が人工知能の分野にも役立つ可能性があるということ。また、この業界では有名な話なのですが、製鉄の現場で用いられていた「熱伝導方程式」が金融リスクを測定する「ブラックショールズ方程式」に似ていることにヒントを得て、日本の製鉄メーカーが金融業界に進出して成功を収めたという事例があります。
数学という形で抽象的に扱うことによって、当初の目的とはまったく違う分野にも応用できる可能性があります。これは、数学ならではの魅力かもしれません。
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漢方薬ってホントに効くの?
科学的な解析で、その有効性が認められています。
西洋医薬品にはない独自の効果。
「漢方」が日本の伝統医学であることをご存じですか? 遠い昔、中国の伝統医学が日本に伝わり「漢方医学」として独自に発展を遂げました。そこで使われるのが漢方薬で、いくつもの生薬を配合した煎じ薬です。
現在では、臨床医の9割以上が漢方薬を処方した経験をもつと言われています。実際に厚生労働省が承認している漢方処方は294処方。さまざまな臨床現場で使われています。たとえば「大建中湯」という漢方薬は古くからお腹の動きが悪い時に処方されてきました。ところが最近では、消化器外科における術後の消化管癒着の防止や消化管機能を早く取り戻す目的で使われるようになり、その作用はアメリカでも注目されるほどに。
漢方薬は西洋医薬品のように一つの化合物ではなく、混合物のまま使われる医薬品。医薬品としては洗練されていないとも言える漢方薬が、西洋医学で治せない症状や疾患に効くなんて不思議ですよね。
「なぜ効くのか」を問い続けて。
漢方薬の何が、どのように作用して効果を示すのか。その秘密を解き明かすのが私の研究テーマです。そのためには、実験を重ねて基礎データを集める地道な作業が必要です。副作用などのリスクも追究し、現代医学で漢方薬が正しく使われることに貢献したいと思っています。その過程で、伝統的な用法とは異なる作用や、治療薬・予防薬のない疾患に効く処方を見出すことも。
漢方薬研究は、私たちの恩師の時代が草創期で、私たち第2、第3世代がその後を追っています。まだまだ残っているたくさんの謎の解明は、皆さんの肩にもかかっています。
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レーザーって、何の役にたつの?
インターネット通信からCDなどの記録技術や微細加工まで、多様な分野で活用されています。
人類が作り出した「レーザー」は、私たちの生活を豊かにする魔法の光。
レーザーポインタやエンターテインメントで使われているレーザーは人類が作り出した人工の光であり、私たちの生活を支えています。たとえば、インターネットで用いられる光通信では、光ファイバー内にレーザーを通すことで大量の情報を送っています。また、CDやDVD、BD(ブルーレイディスク)などの光記録では記録面に並ぶ小さな凸部にレーザーを当て、その反射光によって高密度な情報を読み取っています。さらに、病院ではレーザーメス、自動車の製造ラインではレーザー溶接など、レーザーはさまざまなところで活躍しています。
レーザー技術の進化により、さまざまな分野での技術革新をめざす。
光記録システムにおいて、私たちはCDからDVD、そしてBDへと技術を進化させ、記録容量を増やしてきました。DVDが読み取りに利用しているのは赤色の波長のレーザー。そして、赤よりも波長が短い青色の半導体レーザーが開発されたことにより、より細かくデータを読み取ることが可能なBDが誕生しました。レーザー技術が進化すれば、今後この技術を活用できる分野はますます増えていくと期待されます。
研究室では「より高出力な半導体レーザーを開発するには?」などレーザー技術の進化を通して次世代の技術革新をめざしています。
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- 材料機能工学科
日本の働く環境は大変ってほんとうなの?
さまざまな課題はありますが、
解決に向けた取り組みが進められています。
時代の流れとともに労働環境も変化。
この20年で日本の労働環境は大きく変化しています。賃金水準は抑制され、派遣・契約社員などの不安定な雇用形態が増加し、長時間労働は是正されずにいます。また、近年では少子高齢化の影響もあり、労働力不足も深刻になりつつあります。このようなさまざまな問題について、労働者の働き方の現状や企業の経営状況、政府の政策など、あらゆる角度から問題を見ていくことで、何が問題の原因となっているかを明確にし、それらの解決策を探っていきます。また、労働環境の現状を正確に把握するための方法についても研究しています。
待機児童問題を解決するには、保育士の労働環境改善が必要。
2017年に愛知県内の保育所で働く保育士らを対象に大規模な労働実態調査を行いました。
調査の結果、毎月平均約14時間も残業手当が支払われていないという経済的損失を被っていることが判明。さらに、8割近い人が自宅に仕事を持ち帰っているなど、保育士の厳しい労働環境が明らかになりました。また、適正に残業手当が支払われている人や、休みや休憩がしっかりとれている人は、そうでない人と比べて1割ほど就業継続意欲が高まることもわかりました。これらの結果を受けて、ある自治体では残業代をちゃんと支払うようにするなど、労働環境の改善に向けた取り組みがはじまりました。今回のケースのように、今後もよりよい働き方や暮らしを実現するためのきっかけとなるような研究に取り組んでいきたいと思っています。
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- 経済学部
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より速く、より安全な高速鉄道を開発するには?
「流体力学」や「空気力学」による分析を使って、課題を検討していくことが重要です。
鉄道をさらに高速化するためには、課題がいっぱい。
1964年、世界初の高速鉄道といわれる「東海道新幹線」が開業しました。現在では、日本はもちろん世界中で高速鉄道が運行し、交通機関として重要な役割を担っています。列車の最高速度は300km/h以上になっており、さらなる高速化に向けて技術開発が日々続けられています。高速化が進むたびに話題となるのが走行時の振動や騒音問題。そして「強風時に転倒しないか?」や「地震などが発生した際の緊急停止ブレーキをどうするか?」など安全面での課題です。鉄道を高速化するには、車両自体を高速に走行させることだけでなく、付随するさまざまな課題をクリアしていかなければいけないのです。
さまざまな条件下での「空気の流れ」を考察。
鉄道には、細長い車体であることやトンネル内の走行など、飛行機や自動車などの他の交通手段とは違った特徴があります。
研究室では、このような特徴にも着目しながら高速鉄道のためのさまざまな課題を実験や数値シミュレーションによる手法を用いて研究しています。ここで必要になってくるのが「流体力学」や「空気力学」。たとえば「トンネルに突入した際、気流の流れはどうなっているか?」や「竜巻の中に走行中の鉄道車両がつっこんだ場合、どのような力がかかるのか?」など、さまざまな条件下で空気の流れがどうなっているのかを考察していきます。
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同性間結婚(同性婚)が、法的に認められている国は?
オランダやカナダをはじめ、世界では同性婚を法的に認める国が増えつつあります。
「同性婚」が法的に認められる国が増加中。
「LGBT」や「セクシュアル・マイノリティ」などの言葉が、世間に認知されつつあります。世界には同性愛者などが一定数おり、「人の性のあり方は個々で異なり、多様であること」が知られるようになってきました。そして、このような性的少数者を受け入れる社会が求められるようになってきています。世界を見回すと、同性婚や同性カップルに結婚に準じた権利を保障する国が増えています。日本は国レベルでは同性婚を認めていませんが、たとえば東京都渋谷区の「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」のように、条例等で同性パートナーシップ制度を創設する地方自治体も増えつつあります。
他国の憲法を紐解くことで、新たな視点が見えてくる。
世界的にも早い段階で同性婚が合法化されたカナダに着目し、カナダの性的指向と平等権の取り組みについて研究しています。かつてイギリス領だったカナダの憲法制定権が正式に移管されたのは1982年のこと。カナダの人権規定はこのとき定められており、1946年に公布された日本国憲法と比べても、とても新しいことがわかります。さらに、カナダでは1971年より多文化主義政策がとられていたため、「1982年憲法法」には多文化主義に関する条項が含まれていました。同じ同性婚を扱うにも、歴史的背景や憲法によって国ごとに大きな違いがあります。このような違いをさまざまな角度から分析していくことで、新たな視点が浮かびあがってくるのです。
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微生物で、水をキレイにするってどういうこと?
下水処理場などでは、微生物に「水中の汚れを食べさせる」ことで、水をキレイにしています。
私たちの暮らしのさまざまなところで活用されている微生物。
発酵食品の製造や醸造など、私たちは古くから生活の知恵としてさまざまな微生物を利用してきました。そして現在、科学技術の発展と共に微生物の持つさまざまな能力が明らかになるにつれ、微生物はより幅広い産業分野で活用されています。
そのひとつが下水処理。下水処理場に集まってきた生活排水はまず、沈殿などによって大きな汚れを分離させた後、「活性汚泥」と呼ばれるたくさんの微生物を含んだ泥を混ぜることで微生物に汚れを食べさせ、分解する処理が行われています。
より高精度で効率の良い「水処理技術」の開発をめざす。
現在、下水処理場などで一般的に使われている活性汚泥内の微生物は、アレルギー成分やウイルスなどまでは分解できないという問題点があります。
研究室では「白色腐朽菌を利用することでよりキレイな水にできないか?」など微生物の仕組みを分析することで、より高精度な水処理技術の開発をめざしています。また、下水処理場の汚泥は脱水した後に「バイオマス燃料」として再利用されているのですが、この脱水過程においても「微生物内の水分を脱水する方法を検討することで、より効率よく燃料化できないか?」などの研究を行っています。
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- 理工学部
- 環境創造工学科