PROJECT SUMMARY
どんなプロジェクト?
「やまぞえAction Lab」は、「Enjoy Learningプロジェクト」の支援を受け立ち上がった団体です。山添村に実際に足を運び、地域の課題や魅力に直接触れることで「地域のリアル」を体感する。そして現地での出会いやフィールドワークを通して課題を自分ごととして捉え、地域との対話を重ねながら自ら何ができるかを模索しています。
「きっかけは、2年前に名城大学の社会連携センター主催の『ヤマラボ』に参加したことでした。奈良県にある山添村に学生が訪れ、自分たちにできる課題解決を考えるというプロジェクトでした」と代表の篠田さん。
名城大学と山添村のつながりは、2020年2月頃から始まっていました。奈良県からの呼びかけで、社会連携センター主導のもと、様々な取り組みが実施されましたが、補助金などの事情により、2024年で一区切りを迎えることになります。
「せっかくの関係性資源や自然が活用しきれていないのはもったいない」。篠田さんは長期的に村と関わり続けられる学生主体の活動にしたいと「やまぞえAction Lab」を設立しました。サークルとして正式に活動するため、2025年5月に説明会を開催してメンバーを募集。最終的に16人が集まりました。
WHAT WE LEARNED #02
村のために自分たちができる事を模索
「知人から山村で『カフェづくり』をすると聞いて興味を持ちました。
カフェを通して、村の人とコミュニケーションを取りながら課題解決したい」と山田さん。
起業部「MEIJO STARTUP CLUB」で篠田さんとつながっていた大嶽さんは「地域おこしに特別な興味があったわけではありませんが、篠田さんのビジョンに惹かれて活動に参加しました。自分を変えたいと思い、新しいことに挑戦してみたいと考えました」と振り返ります。
初めての合宿で山添村を訪れたのは8月でした。まず情報を集める目的で「孫カフェ」を開催。学生が“孫”になり、高齢者と交流しながら困りごとを聞く取り組みです。大きなことはできないけれど村のために何ができるか、合宿中にメンバーたちと何度も話し合いを重ねたそう。合宿中に出会った村の祭りも転機となりました。手伝いをする中で、「山添村をもっと知ってもらうこと」「多くの人に来てほしいという地元の人の願いを叶えること」が、自分たちのできることではないかと気づいたのです。
活動の方向性が定まり、「山添村の魅力を伝える」という具体的な取り組みがスタートしました。舞台は11月の大学祭。山添村の魅力を“視覚”と“味覚”の両面から発信するため、展示ブースと飲食ブースを企画・運営しました。
展示ブースでは、山添村を感じてもらう没入型の空間を演出。部屋の中を村の名産であるお茶の香りで満たし、テントや照明で雰囲気を整えながら、山添村の美しい風景を映した映像を2台の大型ディスプレイに投影しました。さらに、大学の機器を活用して制作したオリジナルキーホルダーや、村の名所を絵柄に用いたおみくじなども配布し、様々な面から村の魅力を伝えました。
一方、飲食ブースでは、山添村の特産であるイノシシ肉を使用したジビエ焼きそばを販売。珍しさも相まって多くの来場者の関心を集めました。また、活動の持続性も見据え、売り上げを今後の活動資金に充てることも目的としていました。「お店には長い行列ができ、『おいしかった!』という声が広がっていくのが本当にうれしかったです」と大嶽さん。
篠田さんも、「学祭で販売したジビエ焼きそばをきっかけに、山添村の名前を覚えてくれる学生が増えました。その後、学内でオリジナルキーホルダーを身につけている姿を見かけることもあり、山添村に興味を持つ人が少しずつ広がっていると感じています」と手応えを語りました。
WHAT WE LEARNED #03
継続の難しさ、それでも残したかった学びの場
過去の山添村での取り組みからも学んだと篠田さんは振り返ります。「2年生の時、ビニールハウスをベースとしたコミュニティスペースを作りました。2週間に1度、時には毎週山添村に通いましたが、手応えが得られませんでした。"作る"だけで終わってしまっていた。現場で"モノ"を生かす活動ができる人が必要なのです。とはいえ学生が常駐するわけにもいきません。それならイベントを継続的に行っていこうと話し合いました。しかし現実的な制約として、交通費や宿泊代も大きな負担です。継続していく難しさを実感しました」。
メンバーの負担を考えると、名古屋でできることと現地でできることをはっきりと分けて、双方で認知度を高めていく。「継続」を軸足に、お互いが無理なく関係を続けていこうと今後の方針が決まりました。
篠田さんが継続にこだわる理由は二つあります。一つは自分がこれまで築き上げてきたものを中途半端に終わらせたくないという思いと、もう一つはみんなが学べる場、挑戦できる場を残したいという思いです。地域と関わりながら自分を成長させられる場は、なかなかないからです。
大学祭で展示ブースを担当した高さんは、活動を通じて、メンバーに情報を伝える難しさを痛感。「そもそも積極的に自分から動くタイプではないので、誰かに指示を出すことは苦手でした。しかし活動を行う上では情報共有しなければならず、"伝える力"の大切さを学びました」。一方、「誰かに頼ることが苦手でしたが、実際に仕事をお願いすると、みんなが積極的に参加してくれとても嬉しかった」と大嶽さん。山田さんは「一人でできないことでもみんなとならできる」という達成感を味わったと語ります。
リーダーとして団体運営に苦心した篠田さんは「学生のうちにやりたいことがあって参加しているメンバーばかりなので、全員が同じ方向を向くということがとても難しい。そこでメンバーを4チームに分け、週に1回『ゼミ』と名付けたミーティングを開催。グループに分けることで個々に責任感が生まれ、各自の要望も連絡事項も効率的に伝わるようになりました。0からの組織づくりを経験できました」。
NEXT STEP
ノウハウを次の世代、次の地域へ
「今後継続していく上で重要なのは、場所ではなく活動の本質です。自分たちの経験を共有することで、別の地域でも同様の取り組みが生まれる可能性があります。それこそが真の意味での継続です」と篠田さん。実際12月に開催された社会連携フォーラムでも「私の村でもどうだろうか」という声をかけてもらったと言います。
「個人的にもこういう活動が増えていくことで、日本各地の"山村"が残ってほしいのです。山村が大好きなので」と語った篠田さんに、大嶽さんが続きます。
「いろいろな地域との横の継続だけでなく、縦の繋がりも大切です。一つの村と長く付き合っていくことで、最終的にはその地域だけで活動できる仕組みを作ることが理想だと思います」。
来年度、篠田さんは代表を後輩に引き継ぐ予定です。「誰もがチャレンジできて、成長もできるし、地域にもメリットがある。全てがプラスになる活動だと思います」。試行錯誤、紆余曲折を経て駆け抜けたメンバーたち。本当の意味で成果と手応えが得られるであろう来年度に向けて、すでに活動は始まっています。
