育て達人第003回 岡林 園

タワー棟7階に「英語多読ルーム」オープン   やさしい本からどんどん読みこなしませんか

多読アドバイザー 岡林 園さん(英語非常勤講師)

タワー75の7階に「英語多読ルーム」がオープンしました。そろえられた本は約1万冊(貸し出し準備中の約2000冊も含む)。多読法は、英語に対する苦手意識のある学生らに有効な学習方法として注目されています。4月22日のオープンとともに多読アドバイザーに就任した岡林さんは「読みやすい本からどんどん読みこなすうちに、訳すのではなく、英語で理解できるようになりますよ」と、訪れる学生たちに多読のコツをアドバイスしています。貸し出し時間は午後0時~6時。詳しくは同ルームにお訊ね下さい。

――多読ルーム開設の狙いを教えて下さい。

 読みやすい本からどんどん読むことで英語力をつけてもらいたいためです。1ページ当たり、分からない単語が4つ、5つ程度なら辞書を引かなくても内容の見当がつきます。文法も語彙も難易度をコントロールしてある「グレイデッド・リーダー」など、読み進めるような本をそろえています。

――利用状況を教えて下さい。

 4月は1日40人近くに貸し出しました。貸し出し期間は2週間ですが、あっと言う間に読み終え、翌日には返しに来る学生もいます。反響は予想以上です。男子学生に人気があるのはノンフィクション系。伝記、歴史、科学、それにバスケットボールや野球などのスポーツものなども人気があります。興味ある本なら1日でも読めます。

――それだけ、英語力をつけたいと思っている学生が多いのでしょうか。

 そう期待しています。全学共通英語の履修学生には、多読がカリキュラムの一部になっていることもあるのでしょう。それに、インターネットで情報が世界を飛び交う時代ですから、家にいながらいろんなジャンルの情報が入ってきます。訳してくれる人が現れるのを待っている暇はないというのが現代だと思います。

――英語を多読で学ぶことの必要性を実感したきっかけを教えて下さい。

 夫の海外勤務で、ニューヨークで5年、ベルギーで4年生活しました。それぞれ大学院で学びましたが、次から次に英語の本を読破しなければならず、いちいち日本語に訳さず、英語を英語で理解することの大切さを痛感しました。アメリカでは英語教授法を学びましたが、かつて自分が学生時代に学んだ英語の教科書は、いわば難解な古文。現実の英語力アップにはつながっていないことを痛感しました。帰国後、何校かの私大で、非常勤講師として英語を教えてきましたが、1年で読める英語の教科書の量があまりに少ない現実に直面しました。自分の経験から多読の必要性を感じました。

――本学のFD委員会から発行された教育実践報告集でも、英語多読プログラムについて、岡林さんの実践が報告されています。

 なかなか、1冊の本を読みきることのなかった学生たちにとり、初めて最初から最後まで読みきれた時は感動的なものがあるようです。提出したレポートに「英語の本を読んで初めて泣きました。通学途中の電車の中で、涙が流れて恥ずかしかったです」と感想を書いてくれた女子学生もいました。薬学部と農学部の5クラスで教えていますが、多読に意欲的に取り組んでくれる学生も多く、昨年は1学期に20冊読んだ学生もいました。薬学部で担当したクラスでは、75%の学生から、多読は英語の総合力向上に役立っているという評価を得ました。

――英語の力をつけたいと思っている名城大生にメッセージをお願いします。

 ぜひ、英語の達人を目指してほしい。将来、アカデミックな場で英文を読んだり、論文を発表したりする際にはもちろん、世界を相手としたビジネスに取り組んでも、英語力は必須です。素晴らしい商品でも、いかに日本の製品が優れているか、理論的に説明し、相手を説得できることが必要になります。英語力を身につければ、同時に理論的な話し方を身につけることも可能です。

――多読ルーム開設とともに、「楽読クラブ」も発足しました。

 英語の達人を目指すなら、読むだけでなく、いかに伝えるかの実践も必要。それには話しながら覚えるのが一番です。「楽読クラブ」は、隔週ごとに10人ほどのグループ単位で本を読み、英語で語り合うクラブで、やはり4月からスタートさせました。興味ある方はぜひ多読ルームをのぞいてみて下さい。

【写真】英語多読ルームを訪れた学生にアドバイスする岡林さん

【写真】英語多読ルームを訪れた学生にアドバイスする岡林さん

岡林 園(おかばやし・その)

愛知県豊橋市出身。青山学院大学文学部英米文学科卒。米国のフェアリー・ディケンソン大学教育学部大学院(ニュージャージ州)で英語授業法、ベルギーのル-ヴァン・カトリック大学大学院でヨーロッパ研究の各修士課程修了。 2002年度から名城大学非常勤講師。

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