育て達人第013回 松本 俊太

法学部で学ぶ利点生かそう   人生設計考え果敢な挑戦を

法学部 松本 俊太 准教授

 学生数が8学部では理工学部に次ぐ大所帯の法学部。様々な動機で入学してくる学生たちのコミュニケーション作りを支援する取り組みも活発です。学部教員の中では最年少の松本俊太准教授(31)に、学生に最も近い目線で、未来の「達人」たちへの期待を語ってもらいました。

――松本先生が大学入学の際、どうして法学部を選んだのですか。

 法律を学んでいれば世の中に出てから役に立つだろう、一番つぶしのきく学部だろうと思い込んでいました。しかし、結果的には誤算でした。法律の条文を学ぶことは私には難しすぎ、政治学系の科目や、法制史・法社会学など六法を持ち歩かなくてもいい科目を中心に学ぶことになりました。1、2年のころはあまり授業に出ないで小説を読みふけったり、ぐうたらしたりで、法学部生の模範からはかけはなれていたと思います。

――法律学より政治学に興味を持ったわけですね。

 法学部といえば伝統的に法律学と政治学を中心とした教育体系の大学が多いわけですが、私は18歳で法律を学ぶことで壁にぶちあたったことが、政治学を学ぶ契機になりました。政治学は、社会を題材とする点は法律学と同じですが、頭の使い方が異なっていて、雑多な素養がものをいう点が私には魅力的でした。最終的に留学したアメリカの大学では、学部時代にリベラルアーツ(教養科目)や、他分野の学問をしっかり学んでからロースクールに進むのが一般的です。私の苦い体験からも、大学1~2年のころはじっくりと、土台となる教養や、法律を学ぶにしても、まずは基礎を身につける勉強をすべきだと思います。

――最近の学生も「つぶしがきく」ということで、法学部を選ぶ例が多いのでしょうか。

 具体的な進路を見据えて法学部を選ぶ高校生は年々増えていますが、今でもそういった例はある程度あると思います。法曹を目指す学生もいる一方、多くの学生は4年後には民間企業に就職していきます。1年生の時から各種資格試験の準備に取り組む学生もいます。しかし、大学で法律や政治を学ぶことで、将来、会社という組織を動かしていく上での発想力や思考力が鍛えられます。その点で、法学部は確かにつぶしがきく学部だと思います。

――本学の法学部は入学定員が530人。大所帯だけに、学生同士のコミュニケーションを深めるのも大変ではありませんか。

 経済、経営学部は新入生の交流を深めようとデイハイクなどの行事を実施しています。法学部でも同様なイベントができないか検討中ですが、ご指摘のような大所帯で、なかなか実現できないでいます。そうした事情もあって、まずはゼミを中心とした少人数教育の拡充を検討しています。人を見て法を説くという言葉がありますが、大所帯だからこそ、どんなタイプの学生かを見ながら教育を行ったり、学生同士の交流を深めたりする必要があるわけです。今でも応用実務法学科では、1年生からゼミを開講していて、個人的には、ゼミの効果に大きな手ごたえを感じています。

――1年生のゼミは何人くらいで構成されるのですか。

 私が担当する「基礎演習」では、毎年10~15人程度です。学術的な文章を書くことを目的としていて、4月にテーマを決めてもらい、7月に「3000字レポート」を提出してもらっています。最初、「3000字なんて絶対に無理」と言っていた学生たちですが、テーマの選び方から始め、ゼミで話し合いを深めながら、少しずつレポートを完成させていきます。今年もウイニー、ニート、ナショナリズムなど様々なテーマで、力作が仕上がっています。友達づくりとともに、「やればできる」という達成感も経験したと思います。

――ゼミ同士の交流の機会もありますか。

 6月に、3年生を中心に、25ゼミ、42チーム約300人が参加してソフトバレーボール大会を開きました。今年で3回目です。運営はすべて学生たちに任せていますが、企画力、運営力は見ていて頼もしい限りです。「3年生ならすでに友達も多いのでは」という指摘もあるかもしれませんが、特定の仲間としか交流がない学生も多く、付き合いの輪を広げるいいチャンスになっています。今後は1~2年生の段階で開催できればより盛り上がると思いますし、これが先ほど述べたデイハイクのような企画につながればとも思っています。

――法学部の学生たちにはどんな「達人」になってほしいですか。

 法学部生の進路は多様ですから、どんな「達人」になるかは、一人ひとりが、それぞれの立場で考えることだと思います。将来の人生設計をじっくり考えながら、自ら果敢にチャレンジしてほしいと思います。最近の学生たちをみていると授業にはしっかり出ますし、まじめな学生が目立ちます。けれども、時には自分を信頼し、自分の行動を縛るのではなく、旅行をするとか、ボランティアをするとかというケースがもっとあっていいと思います。卒業生や、名古屋圏の外の人などと、いろんなネットワークを広げることも大切です。

――法学部の38人の教員の中では最年少という目線からの期待もあるのでは。

 3年前に名古屋で生活を始め、手堅い名古屋人気質を感じています。大学はある意味では信用を売るところですから、名城大生の堅実さは地元から評価されやすいプラス面になっていると思います。一方で、これから、既存の枠にとらわれず、我々が想像もつかないことをやってくれるのが、実は法学部の学生たちではないかと期待しています。

【写真】「将来の人生設計をじっくり考えてほしい」と語る松本准教授

【写真】「将来の人生設計をじっくり考えてほしい」と語る松本准教授

松本 俊太(まつもと・しゅんた)

大阪府大東市出身。京都大学法学部卒、同大大学院法学研究科博士後期課程・研究指導認定退学。同大学院在籍中に米国フロリダ州立大学政治学部に留学。同大Ph.D.(政治学博士)。 専門は政治過程論で、特にアメリカ国内政治の実証分析。2005年9月から名城大に。講師・助教を経て08年4月から准教授。31歳。

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