育て達人第017回 村田 泰美

タワー棟10階で「MiLC」が本格始動   達人への道は、恐れずに英語で語ること

人間学部 村田 泰美 准教授(言語学)

 天白キャンパスのタワー棟10階に開設された、英語力アップのための実践道場ともいえる「MiLC(ミルク)」(Meijo Independent Learning Center)がにぎわっています。人間学部が、学生たちの課外英語学習を支援するため、専任の新外国人スタッフを招いて開設したものです。担当の村田泰美准教授にMiLC開設の狙いを語ってもらいました。

――タワー棟10階の英語学習支援スペース「「MiLC」を訪れたら、入り口に「English only」の張り紙がありました。開設の狙いを教えて下さい。

「恐れずに日本人流の英語にチャレンジを」と語る村田准教授

「恐れずに日本人流の英語にチャレンジを」と語る村田准教授

 「MiLC」は「名城大学自立学習センター」の略です。人間学部で、英語力をつけるために本格的に勉強したいという学生たちを応援しようと開設しました。夏休み前の6月にスタートしたのですが、すぐに前期試験になり、夏休みに入ったため、後期からの仕切り直しになりました。学生たちの中には、英語圏の大学に留学して帰ってきても、キャンパスでは英語を使う機会が少ないということで専門学校に通っている学生もいます。意欲ある学生たちに、英語学習のモチベーション高めてもらおうという狙いです。

――英語の力をつけるポイントは何でしょうか。

 ある研究者のデータでは、英語を母語とするアメリカの子どもたちは、6歳で大体読み書きや会話ができるようになりますが、6年間に英語をインプットされる時間は最低1万7520時間で、1日8時間になると言います。これに対して、日本の中学、高校の6年間で英語教育を受ける時間は1920時間。アメリカの子どもたちの9分の1です。日本の大学生の英語力のなさを指摘する際、よく「6年間も英語を勉強してきているのに」と言われますが、これだけの差があるんです。授業だけで英語の実践力をつけるのはとても難しい。だからこそ、生きた英語に接する時間を増やす必要があります。

――新学期から専任スタッフが着任されました。

 スリランカ人の名古屋大学大学院留学生のマンガリさんです。国際開発に関する博士論文を出し終えたということで、週4回、午前11時~午後7時まできていただきます。MiLCには自分で学習できるサイトやソフトを使った英語教材も用意され、TOEIC、TOEFLの問題集もそろっています。英語の力をつけたいという方はどんどん利用してください。ただ、今のところは利用できるのは人間学部の学生に限っています。

――人間学部の入学案内には、「同じ英語を話していても、そこに隠された意味は異なる」という村田先生のメッセージが紹介されています。

 英語を母語とする人は北アメリカ、オセアニア、イギリスなどに3憶5000万人いますが、かつてイギリスの植民地だったインド、香港などのように公用語で英語を使っている国もありますし、英語を使う人たちは今や日本も含め世界中にあふれています。マレーシア、フィリピン、シンガポールなどの人たちは英語によるコミュニケーションが非常にうまいです。文法や発音はあまり意識しないからです。残念ながら日本人はコミュニケーションが苦手です。文法と発音が気になってしょうがないからでしょう。しかし、これから英語を使おうと思ったら、相手は英語のネイティヴではない確率が圧倒的に高いんです。恐れずに、自分の英語に劣等感を持たずに自信を持つべきです。日本人なら日本人の英語でいいんです。「私が英語を話しているのに通じないのはあなたが悪いから」というくらいの心意気が大切です。「同じ英語なのに・・・」という意味はそれぞれの英語に母語の言い回しや話し方が影響するという意味です。日本人英語の特徴を知っておくことは必要だと思います。

――英語を学ぶことに興味を持ったのはいつごろからですか。

 中学生のころからです。高校1年を終え、交換留学生としてオーストラリアで1年学んだのが人生の転機になりました。全然しゃべれなかった英語の力が飛躍的に伸び、オーストラリアなまりの英語になって名古屋に帰ってきました。日本で1万7520時間の英語に触れる環境をつくるには、よほどの意志とお金が必要です。留学することで、英語漬けの環境を作ったほうが手っ取り早いということでしょう。

――英語の達人になるために学生たちにメッセージをお願いします。

 人間学部ではMiLCを盛り込んだ「英語力トップ国際人材育成」のプログラムに本格的に取り組もうとしています。実際の仕事での場面はもちろん、国際舞台で英語を使いこなせる人材を育てたいと思っています。英語好きな学生たちは、英語の達人になりたいと、せっかく入学してきたのですから頑張るべきです。そうした学生たちのやる気をいかに維持させるかが我々の仕事ですが、やはり馬に水を飲ませるには馬が水を飲んでくれないと。

――名城大の教員になって感じることはありますか。

 「自分はこの大学が本当に好きだ」という学生が多く、気持ちが明るくなります。大学もフェアで、学生を大事にしているなという印象を受けます。

――英語以外で趣味はありますか。

 少林寺拳法の初段で、ブラックベルト(黒帯)です。もともと格闘技が好きで、ブルース・リーやジャッキー・チェンに憧れて道場に通い始めました。学生時代はモダンダンスをやっていましたが、4年生の時にチアリーディング部を作りました。

専任スタッフに迎えられたマンガリさんと学生たち(タワー棟10階のMiLCで)

専任スタッフに迎えられたマンガリさんと学生たち(タワー棟10階のMiLCで)

着任したマンガリさんと村田准教授(タワー棟10階のMiLCで)

着任したマンガリさんと村田准教授(タワー棟10階のMiLCで)

村田 泰美(むらた・やすみ)

名古屋市出身。上智大学外国語学部卒。オーストラリア国立大学大学院アジア研究科博士課程修了(Ph.D)。 名古屋商科大勤務を経て、2005年4月から現職。専門は言語学。著書に「科学英語の書き方とプレゼンテーション」(コロナ社、共著)、「ポライトネスと英語教育」(ひつじ書房、共著)などがある。

  • 情報工学部始動
  • 社会連携センターPLAT
  • MS-26 学びのコミュニティ