育て達人第039回 野田 幸裕

臨床薬剤師の達人を育てたい   名大病院に新サテライトセミナー室がオープン

薬学部 野田幸裕 教授(神経精神分子薬理学)

 本学では臨床薬剤師をめざす学生や臨床薬学研究に取り組む大学院生たちの拠点施設として愛知県内4病院にサテライトセミナー室を開設しています。このうち、名古屋市昭和区鶴舞町にある名古屋大学附属病院(名大病院)のサテライトセミナー室は本年6月、新外来棟完成に伴い新棟に移転しました。常駐臨床教員の野田幸裕教授にお話を聞きました。

――薬学部のサテライトセミナー室について教えて下さい。

「コミュニケーション能力に長けた臨床薬剤師を育てたい」と語る野田教授

「コミュニケーション能力に長けた臨床薬剤師を育てたい」と語る野田教授

 本学は医薬連携による臨床薬学の教育、研究を活発化させるため2005年2月に名古屋大学と「教育活動に関する協定」を締結しました。それに伴い同年4月から私は専任教員として名大病院に常駐、翌06年4月には名城大学サテライトセミナー室が旧外来棟4階に開設されました。藤田保健衛生大学医学部に次ぐ2番目のサテライト室で、本学ではこのほかにも安城更生病院、愛知医科大学附属病院にも同様なサテライト室を設置しています。

――名大病院の新サテライトセミナー室はどのように利用されるのですか。

 新外来棟4階に開設されたサテライトセミナー室は約220平方メートルで、旧棟の時の1.5倍に広がりました。現在は4年制カリキュラムでの学部学生の4週間実習、大学院生(薬学研究科臨床薬学専攻病態解析コース)の6か月の臨床研修の教育の場として利用しています。また、当部門(病態解析学Ⅰ)の大学院生12人の居住スペース、セミナー室、教官室としても利用しています。臨床実習・研修生の学生たちはこのサテライトセミナー室を教育・研究の拠点として、外来、入院患者さんたちと向き合い、実習・研修や基礎・臨床研究を通して薬剤師としての臨床能力を向上させ、そのスキルを磨いています。

――薬学部は6年制に移行して4年目ですが、臨床実習は何年生の時に行うのですか。

 これまでは、4年制の学部学生約45人を対象として4年次の5月から7月にかけて実務実習を毎年行っていました。また薬剤師国家試験に合格した大学院生の研修を6か月から2年間行っています。2010年度からは6年制の1期生である5年生が主な対象となります。薬剤師国家試験を受けるのは6年生の時であり、5年次ではまだ薬剤師資格はありませんが、病院実習はこれまでの4週間から11週間と中身の濃い実習になります。また、11週間の実務実習を行うには4年生段階での「薬学共用試験」に合格しなければなりません。

――実習では大学院生も一緒に実習生を指導する方法が行われていると聞きました。

 サテライトセミナー室を拠点として、当部門に所属する12人の臨床薬学専攻修士課程の大学院生が名大病院で学んでいます。医局の医師や薬剤部の先生方と一緒に、臨床経験や外来・病棟研修を行いながら、診療科で様々な病態についての臨床研究を共同で行っています。大学院生たちは習得した知識や技能を生かして、後輩である実習生の指導にあたります。上級生が下級生を教えるこうした方法はエイジ・ミキシング法と呼ばれる教育手法です。院生たちはしっかり理解していないと後輩の指導はできません。実習生たちも、大学院で学べばこういう指導ができるようになるんだという目標にもなると思います。

――名大病院の新外来棟には、やはり薬学部を持つ愛知学院大、金城学院大も学生実習共有スペースを設置するようです。名城大薬学部が誇れる特色を教えて下さい。

 患者さんたちは多かれ少なかれ不安を抱えながら、治療を受けています。特に、がんの告知を受けて、さらに精神的にまいってしまう患者さんは少なくありません。私は学生たちが、患者さんから治療上の不安や困っていることを聞き出すコミュニケーション能力を習得できるよう力を入れています。また、適正な薬物治療を科学的に考え、治療効果や副作用を科学的に評価するように指導しています。コミュニケーション能力に長けた臨床薬剤師を社会に排出していることは誇れる特色だと思います。名城大学と名古屋大学とのように、私大と国立大が協定を結んでいるケースはまれな点であり、薬学部をめざしている高校生の皆さんは、ぜひ注目してほしいと思います。特に、医療現場の病院に教員を常駐配置し、常駐臨床教員の指導の下に、医師・薬剤師・看護師と連携して臨床教育・研究を活発に実践している薬学部は他にないと思います。

――後輩でもある学生たちとご自身の学生時代との違いは感じますか。

 まじめで、よく勉強し、無茶をしない学生が多い反面、関わる世界が私たちの時代に比べて狭いような気がします。私は中学、高校はバスケット部に、大学時代はスキー部に所属していました。運動系サークルをはじめ多くの先輩たちからいろんなことを学びました。学生時代にはできるだけ多くの人と出会い、人間としての幅を広げてほしいと思います。

名大病院内の名城大学サテライトセミナー室に常駐している野田教授と、 病態解析学Ⅰの大学院生たち

名大病院内の名城大学サテライトセミナー室に常駐している野田教授と、 病態解析学Ⅰの大学院生たち

野田 幸裕(のだ・ゆきひろ)

愛知県春日井市出身。名城大学薬学部卒、同大大学院薬学研究科修士課程修了。製薬会社薬理研究部勤務を経て名古屋大学医学部附属病院薬剤部副薬剤部長などを歴任。博士(医学:名古屋大学)。専門は神経精神分子薬理学、精神・疼痛緩和医療学。2005年4月から現職。名古屋大学医学部客員教授。47歳。

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