育て達人第044回 グレゴリー・ マイネハン

英語ができれば鬼に金棒!   留学体験での武者修行を支援します

大学教育開発センター グレゴリー・マイネハン 准教授(英語教育)

 「英語を専門に学んでいるわけではない学生が、学んだ専門分野のほかに英語力をつけたら“鬼に金棒”ですよ」と言い切るのは大学教育開発センターのグレゴリー・マイネハン准教授。では、どうしたら“金棒”を手に入れることができるのでしょう。「一人で外国に出かけることが一番」というのがグレゴリー准教授の持論。「DOOR TO DOOR」という留学対策用のテキストを作成、学生たちを特訓中です。

――出身はオーストラリアのどんな街ですか。

「英語が話せれば鬼に金棒です」と語るグレゴリー・マイネハン准教授

「英語が話せれば鬼に金棒です」と語るグレゴリー・マイネハン准教授

 オーストラリアの東海岸にあるクイーンズランド州のタウンズビルという港湾都市です。父親は外国航路の貨物船乗組員(エンジニア)で、2、3か月間の乗船勤務を終えては2か月ほど家に滞在するという生活でした。日本にも四日市港など何度も訪れており、お土産のロッテグリーンガム、世界初だというUCC缶コーヒーなどは少年時代の記憶に残っています。タウンズビルは州都ブリスベンから1300キロも離れていて、大きな船は入港できず、父親は長い航海を終えても、我が家に戻るにはさらに長旅が必要でした。このため10歳のとき、私と2歳年上の兄の進学のこともあり、ブリスベンに引っ越しました。

――日本で生活するようになったいきさつを教えて下さい。

 ブリスベンのクイーンズランド大学で心理学を学んだ後、1990年に日本の文部省のALT(外国語指導助手)募集で初来日しました。ALT制度が始まったばかりで、京都府福知山市の中学校で2年、中学生たちに英語を教えました。教えているうちに自分も日本語を勉強したくなり、京都の日本語学校に通いました。食べる、食べたい、食べさせられた、食べなさい、食べろ。日本語は本当に難しいと思いました。2年間のALTの仕事が終わってから京都や大阪で英会話教室の講師をしながら日本語の勉強を続けました。大阪では4畳半の風呂なしアパートで、銭湯通いも体験しました。95年に帰国しましたが、帰国後の日本では阪神淡路大地震、地下鉄サリン事件が発生、無事に帰れてよかったと安堵したのを覚えています。帰国後、大学院で応用言語学を学び、1997年に中京大学大大学院の国費留学生として再来日し、英語教育について99年まで研究しました。他大学での非常勤講師もしながら名城大学に英語の教員として就職できたのは2005年からです。

――名城大学で英語を教えてきての感想を教えて下さい。

 名城大学には英語学科があるわけではありませんし、もともと英語に興味のある学生だけを集めているわけではありません。ただ、語学系の学部で英語力を身につけたとしても同時通訳の仕事に就いたり、英語力だけを仕事として生き残るのは大変なことです。しかし、名城大学で学ぶ学生たちのように、経済、法律、理工などそれぞれの学部で学んだ知識に加えて英語も話せるというのは、専門知識プラスで英語力を身につけるということなのです。つまり、日本のことわざでいうなら「鬼に金棒」なのです。

――「鬼に金棒」となる英語力をつけるためにはどうしたらいいでしょうか。

 例えば、車が好きな男子学生なら、車についての日本語で書かれた本や雑誌を読むと思います。同じことを英語の本で読むことになっても、興味あるテーマなら違和感なくどんどん読み進むと思います。モチベーションが大事なのです。私が最初に日本に来た当時に比べたら世の中は大きく変わりました。インターネットを開けばすばらしい英語教材をいくらでも手に入れることができます。英語力を高める世界はどんどん広がっています。

――英語力アップのために、どんな授業をしていますか。

 英語力をつけるにはやはり、英語で話す国に行き、体験するのが一番です。団体ツアーで旗の後をついていくのではなく、自分の力で行動することが大事です。昨年から、担当している「教養演習」の授業用に「DOOR TO DOOR」というテキストを作り使っています。海外に一人で行ってみたい学生、短期留学したい学生たちが、出発前に準備すべき英語力、現地での会話であせらなくてすむための英語力を準備してもらうのが狙いのテキストです。「Before you go」というページでは、自分のこと、家族の紹介、経済学部ならどんなことを学んでいるか、そういうことも英語で伝える訓練をします。名古屋の歴史や観光、日本の伝統行事、盛んなスポーツも英語で紹介できたら会話はどんどん広がるはずです。名城大学には意欲あふれる学生がたくさんいます。海外での短期留学をめざして、毎月2、3万円ずつ1年間貯金すれば、経済的にもそれほど心配はいりません。ぜひ、挑戦してほしいと思います。

グレゴリー・ マイネハン(ぐれごりー・まいねはん)

オーストラリア出身。クイーンズランド大学卒。日本でのALT(外国語指導助手)体験後にボンド大学大学院を修了(応用言語学)。6年間の非常勤講師時代を経て2005年4月から名城大学の英語専任教員となり2009年4月から現職。奥さんは岐阜県中津川市出身。子供は1男(4歳)1女(1歳)。40歳。

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