育て達人第074回 藤田 衆

少子化サバイバルの本格的な試練はこれから   モチベーション高いスポーツ系学生

入学センター長 法学部 藤田 衆 教授(フランス文学)

 推薦入試が始まり今年も入試シーズンを迎えました。大学にとっては緊張と試練の季節です。少子化の荒波の中、志願者数の増減は受験生たちの期待に応えられる大学として生き残っていけるかどうかのバロメーターでもあるからです。入学センター長で、名城大学での教員生活が30年になる法学部の藤田衆教授にお話を聞きました。

――入学センター長2年目の感想をお聞かせ下さい。

「授業が苦行であってはならない」と語る藤田教授

「授業が苦行であってはならない」と語る藤田教授

 学生募集を中心とする入学センターの実務に関しては優秀な職員の皆さんが頑張って下さっていますので、私が特別に指図するようなことはありません。前センター長の時代に受験回数を増やすなどの努力をされ、18歳人口の減少に伴う志願者数の減少はV字的に回復しました。おかげでここ数年、東海地区では最多の志願者が安定して集まっています。今後6、7年は18歳人口に大きな変動はありませんが、その後は減少期を迎えます。その時期に安定した志願者を確保する対策は今のうちに考えておかなければなりません。受験回数を増やしてももはや大きな効果は望めませんし、入試でのミスは絶対に許されません。

――受験生にとって魅力ある大学とならなければなりませんね。

 そうです。大学サバイバルの時代と言われながら、実際には一部の大学が募集を停止しただけです。大学の数は減らずに受験生数が減っていくわけですからきわめて緊張した時代になります。名城大学は地元を中心に漠然とした知名度はありますが、これからはより強く受験生を引き付ける知名度が求められます。特徴ある新学部も必要でしょうし、有力企業への就職実績を増やすなど、受験生により魅力ある大学になっていかなければいけません。名城大学の将来をかけた全学的な課題です。

――法学部では女子駅伝部の学生も多いですね。

 スポーツをやっている学生たちはいずれも高いモチベーションで日々練習に励んでいます。応援しているうち逆に元気をもらうこともあります。女子駅伝部の学生たちには語学(フランス語)や外国文学を教えていますが、授業でも頑張っています。仙台での「杜の都駅伝」は残念ながら今年も3位でしたが、3位をずっと続けること自体、大変なことです。やった分だけ成果が出る世界とは言え、ライバルもさらに頑張っているわけですから。優勝経験もあり、期待へのプレッシャーの中で、つらい3位だったと思います。北海道での合宿にも応援に出かけるなど練習はずっと見守っていますが、あれだけ練習しても出場できるのは6人だけ。幾多のドラマの中で選ばれた6人が必死で走る姿には感動します。

――秋からは柔道部の部長にも就任されました。

 法学部には警察官志望の柔道部員も多く、同じ学部の関嚴教授(体育)が監督をしていることもあり、私もずっと応援してきました。日本武道館での試合がある時はほとんど出かけています。今年後期から部長としてお手伝いすることになりました。10月末に兵庫県尼崎市で開かれた全日本学生柔道体重別団体優勝大会(男子)では、前回優勝し、今年も決勝に進んだ東海大学に敗れ惜しくもベスト16でしたが大健闘でした。

――フランス文学に関心を持ったのはいつごろですか。

 高校時代です。子供のころから、家にはたくさん本があり、早くから本を読む習慣はついていたと思います。高校時代によく読んでいたのがロシア文学ですが、ロシア文学にはフランス文化に対するあこがれがあふれています。読んでいるうちに自分もフランス文学にあこがれるようになりました。

――法学部ホームページの教員紹介欄で、「授業は勉強することでエンターテイメントにもなりえる」と学生たちにメッセージを送っています。

 私は学生時代、試験前には社会科学でも自然科学でも関係ある本はどんどん読みました。面白いから読んでいたのだと思います。面白くないと思って勉強をするのはつまらないし、それでも単位は取らなければとなるともはや苦行と同じです。外国文学の魅力を楽しんでもらおうと工夫しながら講義をしていますが、事前に百科事典やインターネットで調べるなど予習することで楽しい時間になると思います。授業が苦行であってはなりません。

――名城大学での30年を振り返っての感想をお願いします。

 30年前の法学部は、女子学生はクラスに1人か2人がいるかいないかでした。今ほど華やかさはありませんでしたが、学生たちのモチベーションは昔の方が全般に高かったと思います。当時の大学進学率は今ほど高くはなく、しかも大学で学ぶということは経済的にも家族に負担をかけるわけで、学生たちには「その分頑張らなければ」という責任感みたいなものもあったのだと思います。時代的にはずっと恵まれているわけですが、きっかけがないとなかなか友達もつくれない学生も目立ちます。自分の運命は自分で切り開いていくんだという気概を持って、頑張ってほしいと思います。

藤田 衆(ふじた・しゅう)

横浜市出身。東京大学文学部卒、同大大学院人文科学研究科仏文修士課程修了。1981年に名城大学法学部講師に就任し、助教授を経て教授。2009年4月から入学センター長。19世紀フランスの作家ジェラール・ド・ネルヴァルを研究しており、著書(翻訳)にネルヴァルの戯曲作品「ハールレムの版画師」などがある。56歳。

  • 情報工学部始動
  • 社会連携センターPLAT
  • MS-26 学びのコミュニティ