育て達人第142回 亀井 浩行

チーム医療を通じて臨床薬剤師を養成 先導役を務める

薬学部薬学科 亀井浩行教授(神経精神薬理学、臨床薬学)

本学薬学部は薬剤師国家試験合格率で4年連続私立大学トップ5に入っています。併せて、薬学部は臨床薬剤師の養成に努めています。その先導役を果たしている亀井教授に、薬剤師の将来像を聞きました。

臨床薬学教育について聞かせてください。

八事キャンパス新1号館の研究室で語る亀井浩行教授

八事キャンパス新1号館の研究室で語る亀井浩行教授

本学では、薬学部教員が医療現場での臨床指導者(プリセプター)として活動する教育システムの構築を目指しています。2006年度入学生から薬学部教育が6年制になりました。これを受け、2010年度、教育における実務実習体制の充実と施設の確保、臨床実習・研究指導体制の整備・構築を目指し、近隣の藤田保健衛生大学や名古屋大学、愛知医科大学、安城更生病院に「名城大学サテライト・セミナー室」を設置し、連携による教育・研究活動を実践しています。

どのようなプログラムですか。

5年次に5カ月間(薬局・病院)の実務実習をします。引き続き6年次にかけて8カ月間の特別臨床研修に入ります。終わるのは6年次の7月末です。私は藤田保健衛生大学病院精神科での研修を担当し、学生とともに医師と協働して患者さんに対応しています。特に精神科領域で問題となっている多剤大量療法の是正や服薬アドヒアランス(患者さん自身が受け身にならず積極的に治療に参加すること)の維持・向上のための取り組みを日々行っています。また、精神疾患の患者さんの社会復帰の障害となるスティグマ(偏見・差別)の問題にも取り組んでいます。

導入したきっかけは。

2005年に特色GP(特色ある大学教育支援プログラム)の海外臨床薬学教育視察事業の一環で、本学と学術協定を結んでいるアメリカ・アラバマ州バーミンガムにあるサンフォード大学で計3カ月間研修を受け、アメリカでは定着しているプリセプターの役割を知りました。学生を臨床現場に順応させる、学生の現場研修を促す、学生の行動を評価する、建設的なフィードバックを学生に提供する。そんな役割があります

狙いは何ですか。

医師、医学生、看護師等の他職種とともにさまざまな症例を学ぶことです。医師の処方意図を学んだり、患者さんの問題点を抽出し服薬指導をしたり。医学部や看護学部が実践しているように、医療の現場で臨床薬剤師を育成します。各医療施設の特別臨床研修の学生が自身の経験した症例を報告し、これをテレビ会議で双方向に視聴できる教室が八事キャンパス新1号館7階(ライフサイエンスホール)にあります。下級生はキャンパスに居ながら、臨床現場の環境や症例に触れる大変貴重な機会が得られるのです。

薬剤師の将来像をどのように描いていますか。

学生の時から医師などの他の医療専門職とともに医療チームで患者さんに対応できる対等の意識を植え付けておくことが重要です。6年制教育になって高度な専門性が育まれますが、同時にチーム医療の中でその専門性を十分発揮できる能力が強く求められています。このため、名古屋大学や藤田保健衛生大学との多職種連携教育(IPE)を推進しています。特に、藤田保健衛生大学とのIPEでは、本年度から本学の薬学生が藤田保健衛生大学の医学生、看護学生、リハビリテーション学科生等との混成チーム(5~6人で1チーム)をつくり、チーム基盤型学習(TBL)という授業形態で、本年度のテーマである「南海トラフ地震発生に備えて、私たちが地域の一員として何ができるか?」の課題に挑みました。

「在宅」もキーワードですね。

今後、日本で最も重要となる在宅医療において、薬学生が藤田保健衛生大学との混成チームで、実際に在宅患者を訪問し、そのケアプランを立案する取り組みも始めました。これらは、互いに他職種の専門性を理解し、その連携を生かし、患者のケアを考え、実践することを目的とし、チーム医療の中で薬剤師に期待される高度な問題解決能力とコミュニケーション能力を育む上で、最も重要な実践的教育と考えています。医療コミュニケーション能力を培うに際し、本学では特にSP(模擬患者)を活用する実践的な教育を低学年から多く取り入れていることも特徴的であると言えます。高齢化が進む中で、今、薬剤師として患者さんの家を訪問し、枕元で他職種と協働し、薬学的管理を行うことが求められており、薬剤師の真の存在意義が問われています。

薬剤師国家試験の最近の成績をどう見ますか。

名城大学の特色は、新卒者全員が国家試験を受け、ほとんどが合格することです。2012年度は199人の受験者全員が合格しました。合格率100%ですから、もちろん全国トップ。以後、私立大学では4年連続トップ5を続けています。模擬試験や講義を重ね、成績の振るわない学生には聞き取りを繰り返し、意欲を高めます。卒業して即戦力で活躍できる薬剤師を養成することを目指していますから、国家試験は取れて当たり前です

名城大学の研究実績をどう評価しますか。

学部が6年制になって、大学院は博士課程の4年制になりました。私の研究室では社会人大学院生が2人(1人は学位取得済み)いて、学生も他の院生も良い刺激になりました。学生はもっと大学院に進んで、研究活動を活性化してほしいと思います。

指導方針や趣味は。

指導方針は「失敗を恐れず前向きに」です。趣味は年2~3回のへたなゴルフです。田舎に帰れば川釣りも楽しみます。

病院薬学研究室で学生と話す亀井教授(左端)

病院薬学研究室で学生と話す亀井教授(左端)

亀井 浩行(かめい・ひろゆき)

和歌山県出身。1984年、名城大学薬学部卒、1986年、名城大学大学院薬学研究科修士課程修了。1997年、博士(薬学)取得。名古屋大学医学部附属病院・薬剤部文部科学技官(臨床治験管理センター併任)、金沢大学薬学部医療薬学講座病院薬学研究室助教授を経て、2004年、名城大学薬学部病院薬学研究室准教授、2011年、同研究室教授。薬学部国際交流委員長、就職委員長、倫理審査委員長、SP委員長を務める。日本薬理学会学術評議員、日本神経精神薬理学会学術評議員、アジア臨床薬学会理事など。

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