育て達人第145回 Paul  Wicking

準備段階から外国語学部の設置に尽力 教員仲間にも学生にも「大満足」

外国語学部 国際英語学科 ポール・ウィキン准教授(英語教育学)

2016年4月設置の外国語学部に、準備段階から関わってきたウィキン准教授は、教育内容等の改善を図るFD委員会の委員も任せられています。快活で親しみやすいオーストラリア人の先生に、新設学部滑り出しの手応えなどを日本語で聞き、答えてもらいました。

設置から8カ月たった感想から。

娘さんの写真が書棚に飾られているウィキン准教授の研究室=ナゴヤドーム前キャンパスで

娘さんの写真が書棚に飾られているウィキン准教授の研究室=ナゴヤドーム前キャンパスで

外国語学部がどう発展していくか、ワクワクしながら講義をしています。教員の仲間たちは皆、やさしくて、素晴らしい人たちです。専攻科目の指導に時間と努力をつぎ込んでいます。私にとっても励みになっています。学生もほとんど全員が勉強熱心です。だから教えがいがあります。英語力の現状のレベルとは関係なく、学ぶ態度が良ければ英語は上達します。
ノルウェーの学生が3カ月名古屋に滞在していて、毎週1回、ナゴヤドーム前キャンパスに来ます。日本人にもノルウェー人にも英語は第2言語ですが、ノルウェーの学生はネイティブではないのに英語がうまい。彼らと言葉を交わすことで名城大学の学生の刺激になると思って、日本語指導ボランティアを募集したら、6人の枠に28人も応募してきました。そのやる気に大いに満足しています。

講義で重点を置いていることは何ですか。

実践的な英語スキルです。学生たちは6年間またはそれ以上の期間、英語を勉強してきました。単語や文法の基礎はできています。既に備えた英語力を実際に使えるように、student centered(学生中心)の指導をします。そのためには、自分が興味のあることをしてもらいます。Book reportsという自分で選んで読んだ本の感想を英語で述べ合う講義をしたり、自分が関心をもつテーマを選んで英作文をしたり。この本を読みなさい、このポッドキャストを聞きなさいという指導の仕方はしません。

日本人の英語学習の良いところと悪いところを指摘してください。

良いところは、英単語を熱心に暗記することです。電車の中でも高校生が一生懸命暗記していますね。悪いところは、英語は生きているのに、英文を解剖する傾向があることです。文法どおりか、文章の構造はどうなっているかなどと。解剖したら、死んでしまいます。そうやっていたら、英語はいつになってもよその国の言葉でとどまってしまい、自分のものになりません。完璧主義が日本人の英語の上達を妨げています。私が完璧な日本語を話さなくても、言っていることが分かってもらえるように、She lives in Tokyo をShe live in Tokyo と言っても相手には通じます。正しい英語で表現しようとするあまり、相手の口からなかなか言葉が出てこないと、会話をしていてイライラします。

お薦めの語学アプリなどはありますか。

アプリの利点はいつでもどこでも勉強ができることです。外国語学部の同僚のジェイムス・ロジャース助教が開発した「英語マスター1万」や「間違い易い英語」というアプリがあります。「AnkiMobile Flashcards」というアプリは自分のスマートフォンに入れて活用しています。

外国語学部の受験生に望むことは何ですか。

入試対策としては、英文の多読です。たくさん読めば読むほど力がつきます。大学に入ったら、大志を抱いてほしい。サークル活動やアルバイトもすれば良いのですが、やはり勉強が第一です。私自身、大学時代はどういうことをやりたいか全く分かりませんでしたが、どんな職に就いても成功したい、役に立ちたいという大志は抱いていました。

多文化共生の観点から印象に残る体験や出来事はありますか。

電車に乗っていた時、座席に座って窓の外を眺めている子どもの靴を母親が脱がしていることです。子どもが食べたクラッカーのかけらが床に落ちると母親がハンカチですくい取ったことも印象に残っています。日本人のきれい好き、周りに迷惑をかけないようにする配慮でしょうが、母国のオーストラリアでは見ない光景です。小学5年生の息子も3年生の娘も日本の学校に通わせていますが、児童が学校の掃除をするのも驚きました。オーストラリアでは掃除をする人がいますから。

オーストラリアの魅力を聞かせてください。

山も海もきれいで、大自然がいっぱいです。多文化主義なので、いろいろなエスニック料理が食べられます。アフガニスタン料理やモロッコ料理も。食品添加物を使わないオーガニック料理も盛んです。

FD委員会委員としての抱負は。

学生が成長する要因はいろいろありますが、50%は学生次第、30%は教員次第、残り20%は施設、教材、友人の影響などです。30%を託された教員が力を発揮できるように頑張ります。他大学では外国人教員に責任ある仕事を与えないところが多いのですが、名城大学は違いますね。私もそれに応えたいと思います。

どんな趣味を持っていますか。

ファンタジー系の本や哲学書を読むことです。トレーニングもします。マシンを使うのではなく、腕立て伏せや懸垂、スクワッド、ジャンピングなどです。ハンドボールをやっている息子と一緒に鍛えています。

研究室に飾っているシェークスピアの肖像画の意味は。

シェークスピアの作品は好きです。それを知っている友人がプレゼントしてくれました。高校時代は、劇で演じていました。特に「ハムレット」と「真夏の夜の夢」が好きです。

好きな英語の本の感想を述べる学生と指導するウィキン准教授

好きな英語の本の感想を述べる学生と指導するウィキン准教授

Paul  Wicking(ぽーる・うぃきん)

オーストラリア・ビクトリア州出身。ゴールドコーストにあるボンド大学ではコミュニケーション学や国際政治などを学んだ。2005年、バイブル・カレッジ・ビクトリア大学院修士課程修了(文学修士取得)、2009年、モナシュ大学大学院修士課程修了(応用言語学修士取得)。イギリス・ロンドンで雑誌の記者と編集者を務めた後、2000年、来日。2015年名城大学新学部開設準備室准教授、2016年、外国語学部国際英語学科准教授。指導教科はリーディング、ライティング、ディスカッション。FD委員会委員は2016年4月からで、外国人としては2人目。外国語学部FD委員会では委員長を務める。

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