育て達人第154回 原田 知佳

心理学の扉を開く 実験・調査で人の気持ちのこんなことが分かる

人間学部人間学科 原田知佳 助教(社会心理学・発達心理学)

7月のオープンキャンパスの模擬授業で、心理学を学ぶ楽しさを、明るくはつらつと語っていました。日米比較の研究を挙げながら、顔文字であっても、日本人は目から表情を読むが、アメリカ人は口から表情を判断するといった具合に、心理学のさわりを高校生にとっつきやすく紹介していました。楽しそうな胸の内を尋ねました。

模擬授業では、血液型性格診断の当否を扱ったところが高校生にも面白かったのでは。

好きな言葉を色紙に書いた原田助教

好きな言葉を色紙に書いた原田助教

模擬授業もそうですが、通常の授業でも、楽しく授業を展開できるよう心掛けています。心理学の研究は、自分が信じていた当たり前の現象が覆されるような知見も多く、それを受講者に体験してもらうことで、見えない心の働きを実感してもらうことが多いのですが、受講者が予想以上の反応を示してくれると、教えている私まで楽しくなります。

心理学を専攻するきっかけは何かありますか。

高校2年の冬に、父を亡くしたことがきっかけです。受験期真っただなかで埼玉県から愛知県へ引っ越し、身内から女性でも1人で食べていけるよう専門職に就きなさいとさんざん言われて、最初は保健室の先生になろうと考えて愛知教育大学に進学しました。
その後、大学の講義で受けた心理学の授業が非常に興味深かったこと、また祖父が大学教授でこの職を身近に感じていたこともあって、研究者になることに魅力を感じ、名古屋大学大学院への進学につながりました。院進学当初は、研究者としてやっていけるのか不安に思う時期もありましたが、研究者に向いていなければ、免許がある養護教諭として働いていこうと思い、研究にまい進できたかと思います。研究を進める中で、学会や財団から発表賞や論文賞を頂けたことも自信につながりました。父が亡くなっていなければ、関東圏の大学に進んでOLをしていたのかなと…。

心理学の魅力を語ってください。

心理学の魅力は“こころ”という目に見えない働きを明らかにできるという点です。人の心という見えないものを相手にする学問だからこそ、実験や調査などで意外な事実が明らかになることも多くあります。例えば、手に持っている飲み物が温かいか冷たいかによって、目の前にいる他者が温かい人に見えたり、冷たい人に見えたりと、印象評定が異なることが明らかにされています。頭の中で温度の温冷と人物評定の温冷というものがリンクしているがゆえに起こる現象です。
他にも、無人のコーヒー代金回収箱に人の目の写真を貼るときと、花の写真を貼るときとでは、前者の方が代金の回収率が上がるといった結果も報告されています。私たち人間は他者の目に敏感なので、たとえ目の写真であっても、そうした刺激がルールからの逸脱を抑止するように働く可能性があるのです。数年前から、目の写真を用いて防犯効果を狙うポスターもよく見かけるようになりました。このように、心理学の知見は日常生活に生かせたり、社会に還元できたりするので、そうした点も魅力の一つだと思います。

自身の研究を語ってください。

最近は、社会性と集団のパフォーマンスについて研究しています。私が実施した研究では、メンバー同士が初対面である場合、自己主張や自己抑制、他者の感情理解といった社会性が高いグループは、集団パフォーマンスが優れているという結果が得られています。現在は、メンバー同士がお互いに知人である場合にも同じ結果が再現されるのか、また、社会性が低いグループが集団パフォーマンスを上げるためには、どういった環境要因が有効なのか等について検討を行っているところです。日常生活の中で3~6人程度の小集団で活動を行う機会は多いかと思います。現在は大学生を対象に実験をしていますが、いずれは、小中高でのグループ活動や、企業や組織などのチームを対象に調査・実験ができればと考えています。

教育や研究をするためのナゴヤドーム前キャンパスの環境はいかがですか。

天白キャンパスにはなかった心理学実験室や面接室が新たにできました。録音録画のための機器やワンウエーミラーなどの設備も整っており、本格的な実験ができます。教員1人につき研究室とは別にゼミ室が一つあるというのも特徴的で、3、4年生はゼミ室で自学自習をしたり、議論をしたり、交友を深めたりと、積極的に活用しています。目の前にあるイオンも、キャンパスの一部だと言う人もいるほど行き来が便利ですので、学生たちにとっては非常に恵まれた環境ではないかと思います。

そんなキャンパスにある人間学部の利点は。

心理系、社会・教育系、国際・コミュニケーション系と3領域で専門教育分野を構成しているため、他大学の心理学部心理学科では学べない「心理学+α」が学べることです。一つの事象に対して複数の学問の立場から考察ができるため、ものごとを複眼的に捉える力を養えるのではないかと思います。心理学も社会学も教育学も国際コミュニケーションも学びたい!と意欲旺盛な高校生の皆さんにはぜひ受験をしてほしい。

そんなキャンパスにある人間学部の利点は。

心理系、社会・教育系、国際・コミュニケーション系と3領域で専門教育分野を構成しているため、他大学の心理学部心理学科では学べない「心理学+α」が学べることです。一つの事象に対して複数の学問の立場から考察ができるため、ものごとを複眼的に捉える力を養えるのではないかと思います。心理学も社会学も教育学も国際コミュニケーションも学びたい!と意欲旺盛な高校生の皆さんにはぜひ受験をしてほしい。

教育で心がけていることは。

学生には、学ぶことの楽しさをぜひ知ってほしいと思っています。大学では、新しいことを知る、自分の興味あることを突き詰めていける面白さがあります。そのことが学生に伝わるように心がけています。

好きな言葉は。

為せば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり。
Where there is a will, there is a way. If you put your mind to it, you can accomplish anything.

趣味は。

おいしいご飯を食べながら、おいしいお酒を飲むこと。それと、バドミントンです。子育てと仕事でてんてこ舞いの毎日ですが、時間を見つけては、ゼミ生や演習授業の学生たちと一緒に体育館で身体を動かすようにしています。今期のゼミ生は、積極的に指導教員の健康管理に付き合ってくれるので、うれしい限りです。

ゼミ室で4年生と歓談する原田助教

ゼミ室で4年生と歓談する原田助教

原田 知佳(はらだ・ちか)

津市出身。2005年、愛知教育大学教育学部卒。2010年、名古屋大学大学院教育発達科学研究科心理発達科学専攻修了。2010年、博士(心理学)。名古屋大学博士研究員を経て2012年から現職。日本心理学会、社会心理学会、パーソナリティ心理学会などに所属。共著に「体験で学ぶ社会心理学」、論文に「他者の信頼性判断に及ぼす孤独の影響」「日・韓・中・米における社会的自己制御と逸脱行為との関係」ほか。

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