育て達人第156回 早川 孝則

NIE全国大会で実績 新聞を使った指導プログラムに反響多数

附属高校 早川孝則 教諭(国語科)

附属高校国際クラスの3年生は8月のNIE全国大会名古屋大会で、全国から集まった教員や多数の報道陣を前に公開授業を行いました。NIEとはNewspaper In Education(教育に新聞を)の頭文字。新聞を教材として活用することです。指導したのは、クラス担任の早川孝則教諭。この活動は新聞各紙で大きく取り上げられました。

公開授業の内容から聞かせてください。

色紙に好きな言葉を書いた早川教諭

色紙に好きな言葉を書いた早川教諭

「10年後の君」をテーマに友人をインタビューし、人物紹介記事を書くことで、自分のキャリアプランについて考えを深めるという授業です。学校の図書館に2紙の縮刷版があり、10年前、2007年の新聞を読んで10年間の世の中の変化を知った上で、根拠に基づいて10年後の社会を推測しながらキャリアを描きました。昨年度からロングホームルームで準備してきました。国際クラスは卒論を書くという課題があり、卒論のテーマとも重なり意欲をもって取り組んでくれました。

やり終えた感想は。

これまで新聞を使った授業を行ってきて、ある意味で自己満足で終わっていた面がありましたが、メディアで大きく報道されて、他県の教育関係者からも反響があり、ローカルでやってきたことが市民権を得たという気持ちです。

具体的な反響は。

1年間の指導プログラムを「どこを切り取っても教材として使える」と言ってもらえたり、全国各地の先生から「指導法の電子データがほしい」と要望が届いたり。講師としての依頼もあります。私自身も、真剣にキャリア教育に向き合うきっかけとなり、手応えを感じています。

NIEの教育的効果はどんなところにありますか。

クラスの半数が推薦入試で大学に進みます。面接でも小論文を書くにも、引き出しをどれだけ持っているかは大切なことなので、新聞を読むことで引き出しを増やせると確信しています。国際クラスは英語が好きな生徒が多いのですが、英語はあくまでツールなので、新聞を読みながら、伝えるコンテンツをどんどん増やしてほしいと思います。

生徒はどのような成長を見せましたか。

論理的思考力や批判的思考力のみならず、メディアリテラシーも高まったと思います。ネットの情報を疑うようになりました。また、プレゼンテーションを通して、エディターシップを発揮した効果的な見せ方を意識するようになりました。

教師を志したきっかけは。

父が高校の国語の教員で、影響を受けました。父の教え子が訪ねてきたり、教え子の仲人を務めたりしたのを見て、いいなあと思いました。採用試験では「夢を与える職業は数多くあるが、夢を直接応援できるのは教員しかいない」と志望動機を述べました。

教師としての信条は。

とにかくぶれないことです。筋を通すことを大切にしています。

附属高校は、愛知県内の私立高校で15年連続志願者数ナンバーワンを続けています。受験生向けに一言。

本校は「知・徳・体」の調和した人材の育成を重視していますが、「生きる力」は、知・徳・体の単純な足し算ではなく、掛け算によって築かれると思っています。0があってはいけない。「生きる力」を育て、夢を応援して実現させることにかけてはどこにも負けないナンバーワンの私学にしたいと念願しています。

部活は何を担当していますか。

新任以来、硬式野球部の部長を務めています。着任してからは、これまで夏の大会では3度ベスト8に挑戦しましたが達成できないでいます。監督を支え、今の部員たちとベスト8の壁を破り、悲願の甲子園出場に一歩でも近づきたいと考えています。

趣味などを聞かせてください。

趣味は音楽鑑賞です。レコード収集もしています。自宅にはDJブースを造りました。 好きな言葉は「恕(じょ)」です。孔子の言葉で、「自分がされたくないことは人にしてはいけない」という意味です。

国際クラス3年生の新聞切り抜き学習を指導する早川教諭

国際クラス3年生の新聞切り抜き学習を指導する早川教諭

早川 孝則(はやかわ・たかのり)

愛知県稲沢市出身。2003年、愛知大学文学部日本・中国文学科卒、2004年、愛知大学大学院文学研究科修士課程日本文化専攻を中退し、附属高校教諭に。総合学科、一般進学クラス、特別進学クラス、国際クラスの担任を歴任。国語科主任。

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