育て達人第184回 佐川 雄二

新学部開設準備の司令塔 情報工学のプロ育成を進める

副学長・理工学部情報工学科  佐川 雄二教授(自然言語処理)

本学は2022年度に「情報工学部」を開設する準備を進めています。その司令塔になっているのが副学長の佐川雄二教授です。理工学部情報科学科開設の2000年度以来、2004年度の情報工学科開設を経て20年余。本学のIT技術者養成の中軸を担ってきた佐川教授に新学部の構想を語ってもらいました。

新設を目指す情報工学部の研究と教育にはどんな特色がありますか。

オンラインで卒業研究指導をする佐川教授

オンラインで卒業研究指導をする佐川教授

情報工学のプロとしてさまざまな分野の人々とチームを組んで課題解決にあたる人材をつくることです。今の情報工学科も、自動車産業などものづくりが盛んなこの地区にあって、ハードウエアの専門家と協力し、ものと連動して動くシステム作りができるよう、他の大学に比べてハードウエアに関する授業を多めに開いています。

学生はどんな就職をしていますか。

この地区特有のものづくり産業のIT部門に多くが進んでいます。IT人材のニーズも高く、就職は好調です。

起業を目指す学生もいるとか。

東海地方の未来の起業家を育成する「Tongaliプロジェクト」に参加している学生もいます。積極的にやってほしいと思います。ただ、みんなが起業に向いているわけではないので、数値目標にはしたくありません。

ご自身の研究について語ってください。

自然言語処理を研究しています。Siriを想像してください。言語をコンピューターに理解させ、感情を判定する。言葉の情報を有効活用すると言ったらいいでしょうか。

研究者人生で転機はありましたか。

二つあります。一つは名古屋大学工学部の学生時代。電子工学科に入ったのですが、卒業研究の時、杉江昇教授に出会い自然言語処理という分野を知りました、まさに転機でした。それまでは哲学書をよく読む学生で、工学関係の勉強には熱心ではありませんでした。杉江先生に出会わなかったら、全然違った人生を歩んでいたと思います。

もう一つは、会社を辞めて大学院博士後期課程に入ったことです。博士前期(修士)課程を出て日立製作所の研究員になり、大型コンピューターのOSを作るという、当時の会社の重要なポジションに就かせていただきました。しかし、自分の研究を続けたいというもやもやしたものがあり、2年で辞めました。親には叱られましたが。

副学長としてはどんな仕事をしていますか。

新学部開設準備とともに、障がい学生支援センター長や附属図書館長を併任しました。2017年度、2018年度と本学が私立大学図書館協会の会長校にあたり、全国の大学の先生方や事務職員の人たちと一緒に仕事をする機会に恵まれました。

授業で強調していることはどんなことですか。

自分で考えることです。自分の頭で考える、主体的に問題解決にあたるということです。

好きな言葉を色紙に書いてください。

好きな言葉を色紙に書いた佐川教授

好きな言葉を色紙に書いた佐川教授

「自分はごまかせない」です。「もういいわ」と妥協する自分を、別の自分が見ています。自分が納得するまでちゃんとやらなければならない、自分に責任を持たなければならないという意味です。

趣味は。

マラソンです。私は放っておくと体がぶくぶくに太る体質で、会社に入ったころは100キロ超えでした。やせなければとランニングを始め、1998年に初めてフルマラソンを走りました。兵庫県の加古川マラソン(2020年は開催延期)のように川沿いを走るのが好きです。タイムも伸びます。自己ベストはサブ3.5(3時間30分切り)です。最近はあと数分で切れませんが。

新型コロナウイルス感染症の拡大で各地のマラソン大会が軒並み中止や延期になっています。

目標がないとだめなので、どこかの大会にはエントリーしていますが、中止になります。普段も川沿いを走っています。

この際、学内外にPRしたいことがあればどうぞ。

学生に向けて、アイデアを形にするにはやる気が大事ですが、やる気というのは喜びを体験できないと出ないものです。成功体験を大事にしてほしいと思います。そのためには自分で主体的に積極的に取り組むことです。

佐川 雄二(さがわ・ゆうじ)

愛媛県今治市出身。1987年、名古屋大学大学院工学研究科情報工学専攻博士前期課程修了、日立製作所研究員を経て1989年、同博士後期課程に進み、1992年、同課程修了。博士(工学)。本学理工学部情報科学科准教授を経て2008年から同学部教授。情報センター長、障がい学生支援センター長、附属図書館長を歴任。2017年4月から副学長。情報処理学会、電気学会、言語処理学会、計量国語学会に所属。

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