育て達人第189回 永田 央

人工光合成の研究30年 脱炭素社会づくりに貢献

理工学部応用化学科  永田 央教授(有機化学、錯体化学)

水(H₂O)と二酸化炭素(CO₂)、太陽光を使って化学原料を作る「人工光合成」の研究が世界的に盛んです。脱炭素社会づくりに貢献できる夢のクリーンエネルギーです。本学にも専門家がいます。理工学部応用化学科の永田央教授です。天白キャンパス研究実験棟Ⅱで行われている夢のある研究についてレクチャーを受けました。

研究内容は。

植物の光合成をお手本にして、「有機化合物・有機化学反応の組み合わせで光・化学エネルギー変換を実現する」のが目標です。人工光合成の分野ははやり廃りが激しくて、今は大はやりなので時流に乗っているように見えますが、私は30年前からぶれずに取り組んでいます。

研究室紹介はこちらから

人工光合成の研究で日本は世界をリードしているそうですが。

非常に範囲の広い分野なので、全部は追いきれてないですね……。世界のトップを走っている分野もある、ということだと思います。

人工光合成の可能性を語ってください。

一口に「人工光合成」といっても、目標設定はさまざまです。水素が生産できればよいのであればすでに社会実装レベルだし、二酸化炭素を固定することを目指すのならもう少し基礎研究の積み重ねが必要かなと思います。私がやりたいことは、化学反応自体の再定義が必要なので、たぶん20〜30年はかかると思います。もちろん、その間に出てくる新しい知見をその都度公表して、実用化に向けた貢献につながればいいなと思っています。

研究者人生で転機はありましたか。

分子科学研究所(大学共同利用機関、愛知県岡崎市)に在籍したのが大きかったです。優秀で個性的な研究者がたくさんいて、自由闊達(かったつ)な議論が日々行われていました。研究について自分の信念を持つことを学びました。

近くには、2016年ノーベル生理学・医学賞受賞者の大隅良典さんが勤めていた基礎生物学研究所(大学共同利用機関)がありますね。

私が分子科学研究所に在籍していた時期と重なります。あのような先生を教授で迎えるところが基礎生物学研究所のすごいところです。

2014年には赤﨑勇終身教授・特別栄誉教授がノーベル物理学賞に輝きました。

私が名城大学に来た翌年で、授業中に受賞の報が入り、学生たちと一緒に感激しました。本当にうれしかった。

アメリカのコロラド州立大学化学科に留学した時の思い出は。

ものすごく偉い先生と学生がファーストネームで呼び合っている。そんなフラットな環境でした。「こんなに自由でいいんだなあ」と感じることができる期間でした。

どんなことを教えていますか。

大学院生を指導する永田央教授

大学院生を指導する永田央教授

有機化学です。化学科なので、有機化学に興味を持っている学生さんはもともと多いのですが、「もっと広い世界があるよ」ということを伝えたくて、日々奮闘しています。

学生に繰り返し説いていることはありますか。

1〜3年生には「あいまいにならない議論をしよう」、卒研生と院生には「自分のデータをよく見て、そこから何が導かれるかをしっかり考えよう」です。

座右の銘を色紙に書いてください。

座右の銘を色紙に書いた永田央教授

座右の銘を色紙に書いた永田央教授

「学び続ける」。自分も学生たちに日々教えてもらっています。いい論文を見つけて教えてくれたり、鋭い指摘をしてくれたり。

趣味や気分転換法を教えてください。

音楽を聴くことです。20世紀のクラシック音楽が一番好きです。

特にどんな曲ですか。

作曲家の名前で言えば、バルトークとかプロコフィエフとかラベルとか。

愛用品を聞かせてください。

強いて言えば自宅で使っているパソコンかな。

永田 央(ながた・とおし)

大阪府出身。1990年、京都大学大学院理学研究科化学専攻博士後期課程を中退後、京都大学理学部化学教室助手(集合有機分子機能講座)に。1992年、博士(理学)。1995~96年、日本学術振興会海外特別研究員としてアメリカ・コロラド州立大学化学科に留学。1998年、分子科学研究所・分子物質開発研究センター助教授。光を使った酸化還元反応の研究を始める。2002年、分子科学研究所・分子スケールナノサイエンスセンター助教授に配置換え。2007年、同准教授。2013年、名城大学理工学部応用化学科教授。日本化学会、有機合成化学協会、錯体化学会、光化学協会に所属。

  • 情報工学部誕生
  • 社会連携センターPLAT
  • MS-26 学びのコミュニティ