大学概要 【2018年度実施分】地域のまちづくり活動(宿泊施設を活用した地域まちづくり)

理工学部建築学科

No.18

実施責任者高井 宏之

近年新たな宿泊施設の業態として需要が拡大しつつある「宿泊施設型ゲストハウス」を中心に、わが国が直面する空き家活用・地域活性化の手段、インバウンド(訪日外国人旅行客)等の受け皿としての可能性を追求する実践的な取り組みであり、行政や住民とのワークショップによりこれからに向けた提案を行う。
なお、本事業は3年目の事業であり、昨年度は歴史的宿場町である『亀山市関宿』を対象とし基礎検討、また地方都市を想定した視察調査を複数実施した。本年度は歴史的宿場町と地方都市でのワークショップを実施する。

伝統的木造住宅を活用した民泊事例

2019/01/31

長屋の再生(大阪市) 2018年12月8日訪問

1)施設概要
・施設構成:民泊住宅4、ギャラリー、事務所2、物販店舗、マッサージサロン、シェアキッチン、アトリエ、レンタルスペース
・開業年:2018年
2)開業の経緯
・8軒の長屋を改装、再生した事例。
・元々8戸の住宅として使われていたが、改修前には一部が倉庫となり、空き家化も進んでいた。
・オーナーは取り壊してマンションにするか、改修して使い続けるかを検討していたが、近くに住んでいた建築家が、縁があって企画・運営を行うことになった。
3)企画・建築特性(設計者談)
・これから50~60年もつことを目指して改修された。収支的には8~9年で再生費用を回収見込み。
・大阪の長屋は京都の町家のような建築外観の規制がなく、設計の自由度は高いためパッチワークのようなバラバラさが特長。
・こうした計画が提案されるなら、世の多くの空き家、古家所有者も取り壊さず、活用してみたいと思うのでは。
・2階の外観はほぼ既存のままで、古いものと新しいものを対比させている。
・利用客は9割が外国人。観光目的の2人利用が多いが、最近はビジネスの1人客もいる。4室の平均利用は8割以上。Airbnbで知って来る。
・民泊の1棟貸しにした理由は、用途変更の手続きが不要であること。ゲストハウスは数が増えてきていて競争が激しい。そのため1棟貸しのなかでも広々とした部屋で、ライバルが少なくて良い。

  • 住宅外観 住宅外観
  • 建物背後の露地庭 建物背後の露地庭

4)着目点
・既存の建物の特徴を、いかに価値に転換するか。建築的な力量とともに、市場もにらんだ周到な事業計画が求められる。

ACTIVITY

地方都市のゲストハウス事例(1)のヒアリング調査

2019/01/29

ゲストハウスA(高知県岡郡梼原町) 2018年9月9日訪問

0)梼原町の概要
・高知県の西部にある町で人口3640人の(2017年4月30日)小さな町である。
・幕末に坂本龍馬が、土佐(高知県)から伊予(愛媛県)に移動した「脱藩の道・維新の道」のルート上にある。
1)施設概要
・開業年:2018年
・室構成:客室7室(元教室)、カフェスペース(元職員室)、研修室2室、多目的室、談話スペース、体育館、野外施設(BBQ可)、グランド
2)開業の経緯
・統廃合に伴い廃校となった小学校を、重要な地域資産として活用を検討し、ゲストハウスとして再生した事例。元小学校の建物のそのまま生かし、運動部の合宿も受け入れている。
・訪問当日、地元の放送局の取材があった。ご当地でも着目されている。
・現在の施設運営のご担当は名城大学OBで、運営組織のNPO理事。卒業後に高等専門学校の先生をされ、退職後に出身地にUターンされて活躍中であった。

  • 建物外観 建物外観
  • 施設入口(小学校に来た!感じ) 施設入口(小学校に来た!感じ)
  • 建物入口の談話スペース 建物入口の談話スペース
  • 客室(元教室、ベットメイクは自分で) 客室(元教室、ベットメイクは自分で)

3)着目点
・新しい施設作りには資金が必要だが限りがある。既にある地域資産を活用し、地域の人々と協力しながら、できるだけ金をかけずに、いかに知恵を出すかがポイントと感じた。
・梼原町は早くから建築家と協力し、建築や町並みを生かしたまちづくりに力を入れてきた。そのため一日十分楽しめる観光資源があり、それらとの相乗効果も見逃せない。

地方都市のゲストハウス事例(2)のヒアリング調査

2019/01/30

ゲストハウスB(高知市) 2018年9月10日訪問

0)高知市の概要
・高知県の県庁所在地で、人口約33万人。中核市に指定されている。
1)施設概要
・定員:(本館)ドミトリールーム2、個室1、(新館)ドミトリールーム 数室
・開業年:(本館)2012年、(新館)2018年
2)開業の経緯
・オーナーさんが、地元のタウン情報誌編集の仕事で培った観光知識と、バックパッカー経験を生かし、ご家族の歴史ある建物を改装して2012年にゲストハウスをオープン。引き続き2018年に、隣地に新館をオープンした。

  • 建物外観 建物外観
  • (左)新館の共用リビング(右奥)本館 (左)新館の共用リビング(右奥)本館
  • エントランス(新館)  エントランス(新館) 
  • 宿泊室(新館) 宿泊室(新館)

3)着目点
・本館・新館共にこだわり満載のゲストハウス。オーナーさんが経営・運営を実に楽しんでいる。そんなエネルギーが宿泊客に伝わり、思わずまた来たくなる。
・関連施設が隣接することが運営・経営面で重要だが、これに加え、オーナーさんの顔がしっかり見えることも一つのポイントだと感じた。

伝統的木造住宅を活用した民泊事例

2019/01/31

長屋の再生(大阪市) 2018年12月8日訪問

1)施設概要
・施設構成:民泊住宅4、ギャラリー、事務所2、物販店舗、マッサージサロン、シェアキッチン、アトリエ、レンタルスペース
・開業年:2018年
2)開業の経緯
・8軒の長屋を改装、再生した事例。
・元々8戸の住宅として使われていたが、改修前には一部が倉庫となり、空き家化も進んでいた。
・オーナーは取り壊してマンションにするか、改修して使い続けるかを検討していたが、近くに住んでいた建築家が、縁があって企画・運営を行うことになった。
3)企画・建築特性(設計者談)
・これから50~60年もつことを目指して改修された。収支的には8~9年で再生費用を回収見込み。
・大阪の長屋は京都の町家のような建築外観の規制がなく、設計の自由度は高いためパッチワークのようなバラバラさが特長。
・こうした計画が提案されるなら、世の多くの空き家、古家所有者も取り壊さず、活用してみたいと思うのでは。
・2階の外観はほぼ既存のままで、古いものと新しいものを対比させている。
・利用客は9割が外国人。観光目的の2人利用が多いが、最近はビジネスの1人客もいる。4室の平均利用は8割以上。Airbnbで知って来る。
・民泊の1棟貸しにした理由は、用途変更の手続きが不要であること。ゲストハウスは数が増えてきていて競争が激しい。そのため1棟貸しのなかでも広々とした部屋で、ライバルが少なくて良い。

  • 住宅外観 住宅外観
  • 建物背後の露地庭 建物背後の露地庭

4)着目点
・既存の建物の特徴を、いかに価値に転換するか。建築的な力量とともに、市場もにらんだ周到な事業計画が求められる。

  • 情報工学部始動
  • 社会連携センターPLAT
  • MS-26 学びのコミュニティ