大学概要【2019年度実施分】機械工学における創造-設計および設計-生産横断型学修プログラム

理工学部

機械工学における創造-設計および設計-生産横断型学修プログラム
実施責任者:塚田 敦史

 近年、創造のキーワードの下に新しい状況の変化に対応した実践的設計教育が重要視されております。本プログラムは、機械工学科において設計の入口と出口に力点を置いた学びを構想し、2016年度に準備からスタートしました。そして昨年度に本プログラムによる講義がスタートしました。設計の入口は、ものや価値を生み出す元となる種を創造し、そこから設計課題へいかに落とし込めるかを体験的に学び取っていきます。また設計の出口は、設計し図面化された対象を、学修した生産加工の知識と技術を応用してどのような過程によって具現化できるのかを体験して学修します。必修講義であり大人数講義でいかに実施できるかを昨年度の活動経験を踏まえ、より効果のある講義を目指して進めていきます。

ACTIVITY

活動報告1

2019/11/19

 本プログラムでは、創造から設計を考えていく流れを少しでも体得できることを目的に、講義体制の構築および準備を進め、昨年度より機械工学科2年生において講義がスタートしました。本年度はこのプログラムの最終年度になります。このプログラムは、設計から生産にわたる過程のうち、入り口の領域にあたります。機械工学関連学科のある大学では、創造をキーワードに掲げた学修活動が近年見受けられるようになりました。設計の行為は創造的な思考であると言われますが、そのためには常日頃から目にする様々な事象に意識をもって接するのがきっかけとなります。これを体感するのは大変難しいです。
 最初の課題は学生の日常生活で関わるある製品を1つ採用し、思考展開図を構成してみることから始めます。要求機能や機構、構造を関連付けて提示するもので、設計の上流における枠組です。昨年度はグループのワークショップを主体に講義を構成しましたが、結果的に要求機能を抽出できるレベルや、その機能を実現しうる機構を想起するまでの理解度が、個々人で差が大きかったのが反省点でした。そこで本年度は、学生個人で要求機能や機構の構成要素を創案してから、グループ活動へ展開していくようにするなど、個人活動とグループ活動とのメリハリをつけて進めていくように改めました。

対象の機械に対してどのような機能を持っているのか,各自の考え(種)を表出させていく.

対象の機械に対してどのような機能を持っているのか,自身がユーザになったつもりで各自の考え(種)を表出させていく.

各自で表出した要求機能を,グループ内で発表して共有するとともに,他者の(要求)機能は自身の発見にもつながる.

グループメンバーから表出した要求機能を集約していく.

活動報告2

2019/12/13

 本プログラムは、設計から生産を考えていく流れについて少しでも体得できることを目的に準備を進め、昨年度より機械工学科2年生において実際に講義がスタートしました。設計から生産加工にわたる過程、設計の出口の領域にあたります。設計分野で普及している3DCAD(3次元コンピュータ援用設計)による設計から、CAM(コンピュータ支援による製造)によるNC加工データの作成、そしてNC工作機械(数値制御による工作機械)を用いて、設計データの一貫性を通した横断型の学修を試みるものです。設計し図面化された“考え”(仮想の姿)を、生産加工の知識と技術を応用してどのような過程によって具現化するのかを、学生が体験学修を通して理解していきます。設計データという仮想の姿が、実際にNC工作機械で実体として生まれてくるのを実感します。

CAMの役割とインタフェースを理解していきます

設計データ(CAD)をCAM によりNC加工データに変換して、NC工作機械で加工していきます

活動報告3

2020/01/27

新たなテーマのもとで、まずは各個人の頭の中で創造をスタートする(創造の種出し)

 本プログラムでは、創造から設計を考えていく過程と、設計から生産を考えていき実際に人工物を産出する過程を、少しでも体得できることを目的に昨年度より講義をスタートしました。
 新たに“つなぐ”という抽象的なテーマを示して、人を豊かにする“もの”や “こと”を思考展開するグループワークへ進みました。活動報告1で題材とした日常生活で関わる機器のように世の中に既に存在している機械ではなく、全く存在しないすべて創造からのスタートです。単にアイデアを出すのではなく、要求機能をまとめあげ、そこから機構、そして全体構造へと展開していくプロセスになります。全体構造は、ポンチ絵にあたるスケッチを描いていきます。身の回りの機械や教科書から得る情報は大切ですが、その情報のみに傾注すると収束思考に陥りがちです。あらゆる思いついた(または気づいた)物事が創造の種になりますが、実際に進めるとグループによって創造の展開がなかなか進展せずに苦慮しておりました。このようなことは実際の設計ではよく生じることであり、そこをどのようにブレークしていくのかも重要な体験となります。思考をいかに発散させられるかは設計の初期には必要で、従来の講義とは真逆の視点になります。講義回数の中で時間が思いのほか足りなくなり、全体構造を表すスケッチと要求機能とを深化していくには至らず、今後の課題となりました。

創造の種から要求機能(テーマ)を定義し、そして具体的な機能を創出し、機構および全体構造へと脈略をつけていく

最終的に全体構造を表すスケッチに落とし込んでいく

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