大学概要【2021年度実施分】MATLABによる数理・データサイエンス教育の導入と展開

学部・部署共同

【理工・都市情報学部】MATLABによる数理・データサイエンス教育の導入と展開
実施責任者:齊藤 公明、亀井 栄治

MATLABとは、科学技術計算のための高性能なプログラミング言語です。昨年度、このMATLAB/Simulinkが包括サイトライセンス(TAH)として学内に導入され、すべての学生、教職員が天白、八事、ナゴヤドーム前キャンパスで利用できるように全学的な教育・研究の共通基盤として整備されました。このMATLAB/Simulinkは統計学、情報通信理論、金融システム論などにも有効に活用できるため、これを用いて、数理・データサイエンス教育を展開することを試みます。

ACTIVITY

本年度MATLABを用いて理工学部、都市情報学部における授業の中で数理・データサイエンス教育を実践した。以下に実践例の一部を挙げる。関連した導入セミナー、テキスト作成等もMathWorks社と共同して検討を進めている。

【1】自動車工学におけるMatlab/Simulinkの活用

2022/01/12

理工学部メカトロニクス工学科の3年次授業科目「自動車工学」においてMatlab/Simulinkを活用している。自動車工学では、自動車の力学モデルから、自動車の制御解析に用いられている二輪モデルの導出までを実施している。加えて、導出した二輪モデルをSimulinkによりモデル化を行い、実際のパラメータを設定することで自動車の制御に関するシミュレーションの実施を行っている。この理論的な定式化からソフトウェア(Simulink)によるシミュレーションのプロセスは、工学的な発見を行うために重要なプロセスであり、この発展により新たな知見の発見を期待することができる。

Simulinkのモデル例

【2】機能再現演習における制御系設計へのMATLABの利用

2022/01/12

メカトロニクス工学科3年時後期に開講されている機能再現演習では、グループごとに再現対象となる機器のコンセプト設計にはじまり、機械要素の設計、電気回路設計、制御系設計、制御ソフトウェア開発を行う。この演習における制御系設計において、MATLAB/Simlinkを活用した演習を実施した。

移動式扇風機に対する制御系の設計例

【3】MATLABによるデータサイエンスの応用研究

2022/01/12

本年度理工学部電気電子工学科4年次の卒業研究において、「先進的な電力系統の制御・運用に関する研究」(益田准教授)、「電子波の性質とその応用」(児玉教授)などのテーマで、データサイエンスの応用として、MATLABのアルゴリズムや統計など情報科学理論を活用して、膨大な量のデータを分析することで、有益な知見を見いだすことに取り組んでいる。

先進的な電力系統の制御・運用に関する研究

電子波の性質とその応用に関する研究

【4】MATLABによるマルコフ連鎖モンテカルロ法のアルゴリズム開発

2022/01/12

数学講究におけるMCMC法アルゴリズム開発

本年度理工学部数学科4年次の授業科目「数学講究」において、確率過程についての理論・応用研究を行った。確率解析の基盤となるマルチンゲール理論、確率解析の数理ファイナンスへの応用、マルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC法)によるアルゴリズム開発について基礎から応用までの研究を行い、MATLABにより新しいアルゴリズムを開発した。この解析はデータサイエンスの骨格を成す理論であり、揺らぎ現象の世界を記述・解明する数学である。対象となる確率過程の時間を離散時間とすれば時系列解析に適用される。新しい手法の開発が多方面で期待される。

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