大学概要【2021年度実施分】橋の模型づくりを通じたPBL教育

理工学部

橋の模型づくりを通じたPBL教育
実施責任者:渡辺 孝一

本取組では,学生自身で橋梁模型の設計製作を行い,課題解決型学習を通じて,ものづくりの真の楽しさを経験します.工学知識の応用力,問題解決能力,製作過程における遂行能力を通じ,社会人基礎力を育むことを目的とします。

ACTIVITY

橋の模型作りを通じたPBL教育の活動スタート

2021/06/23

 橋の模型作りを通じたPBL教育の活動がようやくスタートしました.活動目標のひとつである,ジャパンスチールブリッジコンペティション(Japan steal bridge competition,通称「ブリコン」)2021に参加し,製作した橋模型で優勝することを見据えています.

 昨年度は、新型コロナウイルス感染症防止の観点から苦渋の決断として参加を見送りましたが,今年度はオンライン開催(予定)ということもあり,社会基盤デザイン工学科3年生ら7名(男子学生3名,女子学生4名)と4年生6名(男子学生3名,女子学生3名)がJSBC2021に参加することになりました.

 4月,在学生ガイダンス時に3年生へ参加を呼びかけ,数回の個別説明を経て,5月末にようやくブリコン参加メンバーとして,顔合わせ会を行いました.責任者の社会基盤デザイン工学科 渡辺孝一教授から,活動の趣旨と目的が伝えられた後,リーダーの佐藤伸也さん(渡辺研究室,学部4年生)の進行で自己紹介をしました.また,今年度の活動計画や,製作した模型をアピールする大会であるブリコン2021について初心者が理解し易いよう丁寧に説明がありました.参加メンバーの自己紹介やルールの解説を受けて,漠然としたものがわかり,緊張も少しほぐれた様子でした.

 ミーティングを終えて,早速,大型構造実験棟内で初めての溶接体験を行いました.昨年度のブリコン活動は中止であったたため,学部4年生も溶接作業には熟達していません.そこで事前に練習を重ねて,溶接の技術を向上させました.この活動では,他者に技術を伝えることの難しさを実感し,自身が成長していくことも重要な課題です.今後の活動が期待されます.

プロジェクトに参加する4年生によるディスカッション

製作する橋模型のイメージを説明するメンバー

保護具を装着して初めての溶接の様子

スケッチからひとつ一つ形に仕上げていく

2021/08/03

 橋の模型作りを通じたPBL教育の活動は,主に平日の講義終了後や週末に進めていきます.学生はスマホのアプリを活用することで,実験室の壁面にスケジュール表(ガンチャート)を設けなくとも,個別の作業工程をしっかり管理しています.自分達が今,どのような作業を優先させるべきかを簡単に把握することが出来るようです.一見して,効率的に見えるのですが,問題点は,個々のスケジュールを勝手に,断りなく変更出来る気軽さから,その日に予定していた作業人数が急に不足することが多く,予定していた作業が概ね,遅延し,先延ばし気味になっていくことです.しかも,先延ばし工程の更新も容易に出来てしまうので,スケジュールを管理出来ているのか,単に管理した気に浸っているだけなのか,アプリを利用した作業工程管理にも利用者によっていろんな側面があるようです.
 一喜一憂しながらも,スケッチした橋が少しずつ,形になってきました.従来の模型製作の作業では,CAD図面を作図した後,ひとつ一つのパーツを出来る限り正確に加工して,ある程度の部材がまとまった段階で,製作精度を確認していました.今年のチームは,パーツ一つ毎に,寸法を測定し,設計値との製作誤差を即座にCADデータに戻すことで,次のパーツの設計図面を微調整する作業を,特に指示することもなく実行しています.この方式は手間がかかりますが,結果として部品完成時の形状誤差が少なくきれいに仕上がっています.まだ,作業半ばですが,今後の作業進捗が期待されます.

橋のコンセプトを説明するリーダー

橋の部品の製作手順を確認する様子

加工した部品の精度を丁寧にチェックする様子

部品毎の製作誤差を集計して確認する様子

部材加工をする様子

無駄口なく集中して作業する様子

加工中の部材の仮組みの様子

製作精度を確認する様子

橋模型の完成に向けて急ピッチで作業を進める

2021/08/22

 橋の模型作りを通じたPBL教育の活動も,夏季休暇を有効活用して急ピッチで進んでいます.模型は概ね完成し,仮組(部品を完成状態まで組み立てる作業)を何度も行って,細かい部材の修正を進め,一通りの精度を確認し,一旦仮の完成状態となりました.次に,外観を良くするために重要な塗装作業に入りました.細かくて複雑な鋼部材への着色は,下地処理,中塗,上塗りの3段階の手順を追って行いました.手間と乾燥のために相当な時間が必要ですが,塗料本来の色味が生かされるよう丁寧に仕上げています.塗装完了後は,ブリコン競技ルールに則り,橋模型を効率的に組み立てるための「架設」作業練習を8月後半に集中的に行っていきます.
 平行してこのプロジェクトでは,オリジナルチームユニフォームを作成しています.デザインは学部3年生が担当し,これまでの作業を振り返り,そこから着想したデザインをTシャツにしたようです.ユニフォームのお披露目は,ブリコン当日(9月2日~3日)に予定しています.

仮組状態の最終確認

塗装前処理の様子

屋外での下塗り塗装作業

上塗り塗装作業

ユニフォームデザインの様子

構想中のデザイン

JSBC2021大会で総合準優勝

2021/11/19

 橋の模型作りを通じたPBL教育の活動もいよいよ大詰めとなり,目標としていたジャパンスチールブリッジコンペティション(JSBC2021)の当日を迎えました.全国の大学や高専から合計20チームが参加しましたが,今年はオンライン開催となりました.名城大学チームは,構造実験棟フロアを利用した競技を行いました.競技は事前のビデオ収録とリアルタイムでの競技を組み合わせて実施されました.大会のルールブックに則りビデオ撮影しながら,製作した橋模型を組み立てました.大会初日9月2日と翌3日の2日間で,錘を載せて強さを競う載荷競技,橋模型の取り組み全体と橋の特徴をアピールするプレゼンテーション,橋の美しさを競う美観部門の競技が実施されました.競技の結果,名城大学チームは,美観部門1位,構造部門2位,総合準優勝という好成績を残すことができました.
 大会が終わって2か月後,ブリコンチームメンバーが再び参集して,今年度の橋の模型作りの取り組みに関する反省会を実施しました.メンバー上級生,下級生のそれぞれの立場から,今年度を振り返り,次年度に向けた課題を抽出し、引継ぎ事項をまとめました.特に作業中の安全対策や感染症予防で気を付けたことなどは,来年度に向けて有効な情報となります.こうして反省会を終え,次のメンバーへのバトンを渡すことができました.

橋模型の組み立て開始

橋模型の完成まであと一息

橋模型に錘を載せる準備の様子

構造部門2位(大会の結果発表のオンライン画像)

美観部門1位(大会の結果発表のオンライン画像)

総合準優勝(大会の結果発表のオンライン画像)

総合準優勝受賞の様子(大会の結果発表のオンライン画像)

完成した橋の前で記念撮影

橋の模型作りを通じたPBL教育反省会の様子1

橋の模型作りを通じたPBL教育反省会の様子2

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