大学概要【2020年度実施分】環境保全を目的とした「学生の学生による学生のため」の野外での実習と課外活動の体制構築
農学部
環境教育の目標として,大学生においては,知識を身に付けるだけでなく、環境保全や環境問題などを解決できるような活動に参加して持続可能な社会づくりに貢献できる人材を育成することが期待されている。本事業では,1−2年次の野外実習を受講した学生の中で,環境保全に対する取り組みをさらに発展継続させることを希望する有志学生に対して,3−4年次に「環境教育サポーター」として活動する体制を構築することを目的とする.
ACTIVITY
干潟実習サポート(8月26−28日・9月2日)
2021/02/17
4月と5月に予定していた1年生2クラスの藤前干潟での実習は,新型コロナ感染対策のために8月から9月にかけて4クラスに分けて行うことになりました.この実習の目的は、干潟の生物多様性の保全とゴミ問題について学ぶことです。学生たちは、① 干潟と岩場に生息するさまざまな生物を採集して、検索表と図鑑で名前を調べ、② 干潟で採食するシギやチドリやカモメなどの水鳥を望遠鏡で観察し、③河川を通して海に流れついた大量のゴミを回収し、④環境省の職員の方から藤前干潟がゴミ埋立処分場計画から守られた歴史や干潟生態系の重要性についてのお話を聞きました。4クラス合計で、ハゼなど魚8種類、カニ・エビなどの節足動物29種類、カイなどの軟体動物11種類など合計53種類の生物を採取・確認することができました。
今回の実習では、「環境教育サポーター」として上級生4名が参加し、干潟に入る前の注意事項や生物の採集・観察・同定の方法について、1年生に対して丁寧に優しく説明するなどしてサポートを行いました。昨年、サポーターによって作成された生物の検索表は、1年生が初めて見る生物の名前を調べるのに今年も大変役に立ちました。
動物園実習サポート(9月6日・9月8日・10月14日・11月23日)
2021/02/17
8月に予定していた1年生2クラスの大台ヶ原での宿泊実習が新型コロナ感染対策のために中止となったため,東山動物園での行動観察の実習に変更して4クラスに分けて行いました。
最近の動物園では、動物たちのストレスを軽減するために、野生に近い飼育を行う 「環境エンリッチメント」が徐々に行われるようになっています。この実習の目的は、動物たちの行動の観察によって環境エンリッチメントの効果を評価することです。学生たちは、①チンパンジー8個体の行動と場所の違いを追跡し、タワーの設置や餌やりの工夫などの効果の分析を行い、②飼育されている哺乳類の「常同行動(=単調な行動を繰り返したり同じ場所を行ったり来たりするストレス行動)」 の有無を観察し、飼育環境の違いによる比較を行いました。学生たちは動物をじっくりと観察することで、普段であれば見過ごしていた興味深い行動や社会関係に気付くことができ、飼育方法の大切さを学ぶことができたようです。
今回の実習では、「環境教育サポーター」として上級生4名が参加し、1年生に対して動物の観察や記録の方法などについて、分かりやすく説明するなどしてサポートを行いました。