大学概要【2022年度実施分】大学生の「本を読む」活動の推進

人間学部

大学生の「本を読む」活動の推進
実施責任者:笠井 尚

読書や図書館利用になかなか向かう機会のないひとも、本と親しんでみませんか。そうすることで、授業での文献利用をスムーズにするとともに、大学生活を豊かにすることを目指します。読書に対する苦手意識がもしあるなら、少し乗り越えられるようにいっしょに取り組みましょう。大人の本だけでなく、子どもの本にも目を向けることで、中高であまり読書活動をしなかったひとも思春期を「取り戻せる」かもしれないです。

ACTIVITY

活動報告1

2022/07/12

2022年7月7日(木)14:30-16:00 第1回
 
第1回の集まりを行いました。この企画では、大学生が本を読む、本と親しむ、本とふれあうための活動として、ブックトークや読書会、公共図書館での企画などに取り組みます。7月7日の第1回の集まりには、7名の学生さんと、教員、アドバイザーが参加しました。(1)ブックトーク、(2)図書館企画の計画、(3)これからのことについての検討、といった内容で実施しました。ブックトークでは、人間学部・笠井(本企画担当)、4年生の阪野くん、アドバイザーの小幡章子先生から、それぞれの薦める書籍についてのオススメが語られ、参加のみなさんで意見交換がなされました。図書館企画では、試験的に始めた犬山市立図書館での「選挙展」の様子と4年生の大橋さんによるアート関連の展示企画の計画が紹介されました。

 
第2回は、阪野くんが紹介してくれたミステリーの読書会を実施することになりました。対象とする書籍は、相沢沙呼『medium 霊媒探偵城塚翡翠』(講談社、2019年)(講談社文庫、2021年)です。
今後、参加するみなさんの意見を活かしながら、多様な企画に取り組んでいきたいと思います。

活動報告2

2022/09/12

2022年8月3日(木)14:00-15:00 第2回

第2回の集まりを行いました。第1回のブックトークで4年生の阪野くんが紹介してくれた相沢沙呼『medium 霊媒探偵城塚翡翠』(講談社、2019年)(講談社文庫、2021年)を課題図書として、読書会を行いました。7名の学生さんと、教員、アドバイザーが参加しました。

アドバイザーの小幡章子先生の司会で、活発に意見が出されました。小幡先生の助言をもとに阪野くんが事前に作成した「おしゃべりメモ」の質問に対して、会に先立って各自があらかじめ回答を書いてきました(これは個人の発言のためのメモであって、回収しないものです)。記述を参考にしながら、「興味深い登場人物」「気になるセリフや記述」「印象に残っている話やエピソード」などについて意見を交換しました。メモを活用することで、対話の内容も深まったように思います。時間が足りないくらいに感じられました。

ドラマや映画で原作の順に描くと必要以上の情報が伝わってしまうため、映像化されにくい作品であるとも考えられましたが、「あなたが映画監督なら、次の登場人物に誰をキャスティングしますか」というテーマでは、それぞれのイメージが戦わされておもしろかったようです(その後の情報で、10月よりテレビで同作品がドラマ化されるということが明らかになりました)。


このあと、9月以降、読書会も継続して実施していきたいと思います。
図書館での企画や見学などについても検討します。

活動報告3

2022/11/15

2022年10月20日(木)14:00-15:30 第3回
 
第3回の集まりを行いました。5名の学生、教員、アドバイザーが参加しました。今回は、アドバイザーの小幡章子先生に、本を読む楽しさや読書に関すること諸々についてお聞きしました。参加者の読書に対する率直な疑問や、ここでの今後の取り組みのことについての希望などを出し合いました。
参加学生からは、高校生や大学生になってからあまり読まなくなった、課題の書籍を読んでいるときは読めるけれども通常には読もうと思わない、といった意見が出されました。それでも、この場に参加していることからもわかるように、読めるきっかけがあれば楽しそうという前向きな気持ちがあって、読書に向かうヒントを探したいことが感じ取れました。
小幡先生からは、読書は最初の部分少し辛抱が必要で、そこを乗り越えるとおもしろい、という指摘がありました。ここまで進んだら必ずおもしろいという箇所まで、付箋で目標を示すなどの応援をして読めるようになったという中学生の事例も紹介されました。想像することや主人公に感情移入して読むことはおもしろくて、お話のなかの「事件」が解決する過程が目に浮かぶような箇所を読むと、登場人物といっしょに解決に向かう楽しさが味わえることも教えていただきました。

 
次回は、11月17日(木)に実施します。小幡先生の著書である『自分を育てる読書のために』(岩波書店、2011年)を読んで、意見交換します。「著者同席」の読書会です。併せて、個人のおすすめの本を紹介し合う「もちより読書会」も行う予定です。
 
 
〈学生による企画展示の取り組み〉
犬山市立図書館とのコラボで、学生発案の企画展示に取り組みました。大橋海青さん(4年生)の「アートとわたし展」を10月15日(土)から11月3日(木)まで実施しました)。今年は「瀬戸内国際芸術祭2022」「越後妻有 大地の芸術祭 2022」「国際芸術祭『あいち2022』」といった大きな芸術祭が各地で開催されました。大橋さん自身も瀬戸内の芸術祭を見学して収集した情報を添えて、芸術の秋に絡めた書籍展示を行いました。

 
実施に際しては、選書やポップ作成などをいろいろと検討しました。展示書籍がいくつも借り出されて、利用者さんの反応もなかなかでした。
引き続き、学生さんたちの企画展示や図書館行事への参加を計画・実施しようと考えています。

活動報告4

2023/01/05

2022年11月17日(木)14:30-16:00 第4回
 
第4回を実施しました。7名の学生、教員、アドバイザーが参加しました。アドバイザーの小幡章子先生の著書『自分を育てる読書のために』(岩波書店、2011年)をみなで読みました。この本は、小幡先生が岡山の中学校で司書としておつとめだった折に、中学生に読書を薦め、彼らが先生のアドバイスを受けながら多くの本を読むようになったこと、本を通して仲間と交流する様子など、実践報告が示されています。生徒たちに薦められた本の内容、彼らの読みの様子、成長、小幡先生との交流が生き生きと書かれ、読んでいるこちらもいっしょに楽しくなってくることが、会の話し合いで確認されました。併せて、本に語られなかったお話が小幡先生から紹介されて、みな、先生の本のなかで登場する青少年のための本(物語)を読みたい気持ちが高まりました。というわけで、次回の会では、セシル・デイ・ルイス 作、脇明子訳『オタバリの少年探偵たち』(岩波少年文庫)の読書会をすることになりました。
第4回の後半は、各自が持ち寄ったお気に入りの本についてのミニブックトークを行いました。

 
次回は、12月8日(木)に実施します。
 
〈学生による企画展示の取り組み〉
犬山市立図書館とのコラボで、学生発案の企画展示を行いました。阪野裕登くん(4年生)が、「相沢沙呼展」を11月8日(火)から11月20日(日)まで実施しました。阪野くんは、学びのコミュニティの第1回の会合で、相沢沙呼『medium 霊媒探偵城塚翡翠』を紹介してくれました。同作品が10月よりテレビドラマ化されたことを受け、犬山市立図書館所蔵の相沢作品を展示しました。「霊媒探偵シリーズ」3作の色鮮やかな表紙や、阪野くん原案・大橋さん制作のポップなどの展示効果もあって、すでに予約状態になっていた霊媒探偵シリーズ3作に加えて、他の相沢作品11冊もすべて借り出されるという大きな反響がありました。

活動報告5

2023/01/05

2022年12月8日(木)14:00-15:30 第5回
 
第5回の会合では、セシル・デイ・ルイス 作、脇明子訳『オタバリの少年探偵たち』(岩波少年文庫)の読書会を行いました。6名の学生、教員、アドバイザーが参加しました。当日の意見交換では、この物語の書き手として登場する主人公や、物語の主役級の少年たち、あるいはそれを取り巻く大人たち、それぞれの個性や行動、魅力について意見交換がなされました。子ども向けの物語のように見えるこのお話も、巧みなしかけや、すぐれた描写、刺激的な展開、登場人物の人間関係など、大人も楽しめる作品としてできているように感じられました。
訳者の違う版の読み比べに取り組む学生もいて、作品の味わいの違いについても情報を共有することができました。10月22日に犬山市立図書館で行われたビブリオバトルに、阪野くんはこの本を紹介して出場しました。そのときのプレゼンを、この日の集まりの締めくくりに再演してもらいました。

 
次回は、12月22日(木)に実施します。
 
〈企画支援、企画展示の取り組み〉
犬山市立図書館とのコラボで、図書館企画の運営支援と企画展示に取り組みました。
11月20日には、犬山市立図書館で行われた絵本作家・鈴木まもる先生の講演会の運営にスタッフのメンバーとして協力しました。会場設営から、当日の受け付け、司会などを学生が担当し、裏方をしながら、図書館の企画を楽しむこともできました。

 
11月15日からは(~年内開催)、「どんぐり文庫30周年記念」展示を支援しました。「どんぐり文庫」は、犬山にある家庭文庫です。学生さんたちには、代本板やブックリストの作成を手伝ってもらいました。

 
今後も図書館企画の支援や運営にかかわりながら、読書や本に親しむ活動を進めていければと思います。

活動報告6

2023/01/05

2022年12月22日(木)14:00-15:30 第6回
 
第6回の会合では、先にも報告した、犬山市立図書館とのコラボで実施した企画展「アートとわたし展」「相沢沙呼展」などの内容を紹介し、今後実施したい企画のことについて相談しました。5名の学生、教員、アドバイザーが参加しました。企画を一から立ち上げることは、なかなかハードルが高いようですが、イメージを深めることはできたのではないかと思います。今年度中の残された期間内には、小幡先生にご助力いただいて、犬山市立図書館で子どもと一緒に取り組める読書行事を企画してみようということになりました。これに大学生も参加することで、本を通しての活動に取り組み、企画づくり、企画参加に慣れ、この企画を次年度に続くものに育てるとともに、次の新しい企画づくりにつなげていきたいと考えています。

 
この日の集まりでは、来年2月に、この活動の一環として実施する学外見学の予定についても相談しました。本や読書の取り組みを進めることに資するよう、先進的な公共図書館を見学して刺激を受けたいと思います。

活動報告7

2023/03/30

2023年2月15日(水) 第7回
 
2月15日には、豊橋市まちなか図書館を見学しました。豊橋の駅前にできた新しい図書館です。11名の学生とアドバイザー、3名の教員が参加しました。佐野館長補佐さんにご案内いただきまして、興味深い見学ができました。座席数が多く、中高生もたくさん訪れています。テーマ別の排架、書籍の「面出し」展示がなされていて、どの棚にも興味をひかれます。中央には講演などが行われる階段状のホールや、カフェがあり、各種の講座や企画が盛りだくさんです。楽しい図書館のありようは、見学した学生さんたちのこれまでの図書館のイメージを大きく変えたようです。

豊橋市まちなか図書館の詳細は、HPを参照してください。とても素敵な図書館です。
https://www.library.toyohashi.aichi.jp/facility/machinaka/

次年度も先進的な図書館、活動に力を入れている図書館を見学したいと思います。

活動報告8

2023/03/30

2023年2月25日(土) 第8回
 
2月25日には、犬山市立図書館で、アドバイザーの小幡先生のファシリテートによる子ども読書会を実施しました。学生4名が参加しました。図書館での募集に応えて、「子ども司書」を中心に4名の小学生が参加してくれました。課題図書はリンドグレーンの『やかまし村の子どもたち』(岩波書店、石井登志子訳)です。この本は、犬山市立図書館が発行しているブックガイドにも、小学5~6年生向けのおすすめの本として紹介されています。課題図書を読んで、子ども同士、学生同士で意見を交換したあと、子どもと学生で意見交流をしました。お互いに気づかなかったことがわかって、より深く物語が楽しめました。よくできた子どもの本は、おとなが読んでも味わいがあるものです。訳者の違う版を読んだ子ども、学生もいて、より深い議論になって読書会の楽しさが実感できました。

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