大学概要【2022年度実施分】アクティブ・ラーニング型授業の質的保証のための高校IR

附属高等学校

アクティブ・ラーニング型授業の質的保証のための高校IR
実施責任者:伊藤 憲人

これまでアクティブ・ラーニング(以下、AL)型授業の基礎的な研究・実践・普及の経験を得ることができた。AL型授業の効果を定性的な評価だけでなく、定量的に評価をし、エビデンスに基づいた実践・普及をしていくため、「高校IR」を導入した。PDCAサイクル(P:授業デザイン、D:実践、C:高校IR、A:研究)を回し、評価の妥当性を新たに研究するとともに、AL型授業の質的保証をし、全教科・全授業において実践・普及をすることを目指している。

ACTIVITY

活動報告1

2023/01/22

【ICTデバイス等を活用した授業実践(社会科編)】
 この学びのコミュニティの予算で購入させていただいたApple pencilを利用した授業実践報告をいたします。
 今年度入学生より、1人1台のiPadの購入をし、授業等での使用が始まりました。同時に、学校として手書き機能に着目した授業支援ツールの導入をしたことにより、電子ペンの効果的な利用を考えていく必要が出てきました。2019年度から「学びのコミュニティ創出支援事業(高校IR)」に参加をさせていただき、iPadやその周辺機器の整備をおこない、既に23本のApple Pencilの購入をしていましたが、1クラス分には満たないため、今年度予算を利用し、計45本を準備し、Apple Pencilと授業支援ツールの効果的利用を検討しました。
 「歴史総合」の授業では、授業の前半はスライドを使用しながら内容説明を中心と行い、後半に「思考力・判断力・表現力」の育成を目指す「問い」をペアワークで考え、「回答する」(「解答」ではない)時間を設けています。それぞれのペアが考えた回答を共有するには、従来は黒板に書かせたり(時間がかかる)、口頭発表させたり(振り返りにくい)することが一般的でした。
 今回の授業支援ツールでは、それぞれの回答が画面で簡単に共有ができ、また手書きで記入することができるため、ICT機器の操作に苦手な生徒も利用しやすく、操作説明の時間も不要となります。自分以外の生徒の回答を知ることから、自分の回答を振り返り、さらに考えを深めることに時間を費やすことが可能となり、電子ペンを利用することの有用性を感じられました。
 授業の生徒のコメントとして、「Apple Pencilは使いやすく、ノートの代わりにiPadが使えそう」といった意見や、「キーボードと電子ペンを使い分けすることが自分には合っている」などの意見が見られました。本校は、iPadの周辺機器の指定購入させていないため、生徒自身がどのような機器が自分に合っているか考える上でも、今後もこのApple Pencilの利用を行っていきたいと考えます。

授業の後半では ペアワークで正答のない問題の回答にチャレンジします。お互い意見を出し合い、考えまとめたことをデータ上のワークシートに電子ペンで記入します。

教員は、iPad上でリアルタイムに反映された各グループの回答をチェックし、さらに考えを深めるきっかけとなりそうなものをその場で選ぶことができます。

授業中に考えられた意見を、即時に画面で共有を行い、自分の回答と比較することで、さらに考えを深めることが可能となります。

教員は、全体で共有すべき回答を1つ取り上げることができ、同級生による回答例の提示やこの問いをさらに深めることができる回答を、適宜取り上げることが可能になります。 教員側もこのようなツールの利用を通じて、さらなる授業改善を図っていく必要があります。

活動報告2

2023/01/23

【ICTデバイス等を活用した授業実践(数学I)】

 この学びのコミュニティの予算で購入させていただいたiPadを活用した授業実践報告をいたします。

 今回紹介する授業は、「数学I(1年生)テーマ:増える面積の不思議」のものです。本授業の内容としては、YouTubeにアップされている動画を視聴し、動画内に隠された誤りを数学的に考察し、解決するものです。なお、本授業は、観点別評価(主体的に学ぶ態度)を授業内で評価する授業でもあります。

 動画内で展開されている事象を数学的に考察するために、動画を繰り返し視聴(写真①②)し、どこに数学的な誤りがあるのかを発見します。発見した誤りを抽象的な表現ではなく、数学的に考察できる状況に落とし込みます(写真③)。個人で考えたことをグループワークで共有(写真④)し、考えを深めていきます。また、その過程をワークシートに記入していき、思考過程が後から見てわかるようにします。そうすることにより、観点別評価の妥当性を担保できると考えています。

 本授業において、iPadは、「動画を視聴する」道具として利用しています。一斉に動画を視聴する方法は、様々ありますが、本授業の目的を達成するためには、個々の理解度に応じて動画を視聴することが求められるため、一人一台iPadが必要でした。また、iPadの強みと紙の強みを活かするために、授業教具をすべてiPadに統一するのではなく、ワークシートも併用しています。なお、本授業では、数学的に考察し、解決することを目的としているため、発表をすることなく、授業は終了していますが、発表をすることがあれば、さらにiPadの活用の幅が広がります。

写真①:各自のiPadで動画を視聴する。

写真②:一人一台iPadを所有していることにより、自分のペースで繰り返し動画を視聴することができます。

写真③:動画の内容を数学的に考察するために、ワークシートに自分の考えを書き出します。

写真④:個人で考察した内容をグループワークを通して共有します。その結果を、ワークシートにまとめながら課題解決につなげます。

活動報告3

2023/01/31

【ICTデバイス等を活用した授業実践】
 これまでの学びのコミュニティの予算で購入させていただいたICT機器を活用した授業実践のまとめの報告をさせていただきます。
 2019年度から採択していただいた「高校IR」では、ICT機器として、「AppleTV」、「iPad」、「Apple Pencil」「キーボード」を購入し、同時に学校予算で、プロジェクターとスクリーンの設置をしていただきました。これらの機器を利用したアクティブラーニング(以下、AL)型授業の実践を行ってきました。先進校視察等を行いながら、その知見を活かし、AL型授業の質の向上を図り、校内での報告や校内外の教員を対象とした教育研究会の開催を2度ほど行ってきました。
 これらの活動経験を普段の授業実践に取り入れている宮田教諭(数学科)の授業は学習指導要領が求める「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」を一例に相応しく、その一端をご紹介するとともに、購入した機材の利用の様子を報告いたします。

演習中に授業担当者が生徒の解答をiPadで写し、それをスクリーンに投影したものを生徒本人に説明させています。主体的・対話的な学びを意識したものとなります。

先ほどの生徒の解説に補足するため、電子黒板機能を利用したり、必要に応じて板書したりするなど、授業の「ライブ」感を出すことで、集中力を高める効果があります。

iPadを利用して、授業中に関連事項を調べる風景は、既に目新しいものではなくなっています。

授業開始直後に、Apple Pencilの利用希望を募った様子です。クラスの約半数の生徒が借りていました。授業での指示は、Apple pencilを利用してデータ上に記入することも、ワークシート(紙でも配布)に筆記具を利用して記入することも、どちらでも可としました。

実際の授業の様子を見ると、紙に記入する生徒がほとんどでした。ICT機器があるからと言って、利用される訳ではないことがわかります。今後、教員側がそれらの機器を試行錯誤しながら利用し、適切な使い方を考え出していく必要がありそうです。

2、3年生には現在iPadは購入させていませんが、昨年度までに整備した22台のiPadの積極的な利用を促すため、今年度、キャスター付きiPad収納保管庫を購入させていただきました。

この保管庫の天板に、使用する際の予約の印として、付箋なり、使用予定表を貼ってもらっています。2、3年生の授業担当者を中心に積極的に使用してもらっています。

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