ナノサイエンスの先駆者・飯島澄男終身教授

飯島澄男終身教授が記者と懇談 12社31人が出席

近況を語る飯島澄男終身教授

記者の質問に答える飯島澄男終身教授

カーボンナノチューブ(CNT)の発見でノーベル賞の期待がかかる飯島澄男終身教授が9月18日、天白キャンパス本部棟で記者と懇談しました。昨年9月に続く開催で、昨年同様12社の記者が集まり、東京の記者も含め昨年より4人多い31人が参加しました。今年のノーベル賞の発表は、10月8日が物理学賞、翌9日が化学賞です。発表を前に、マスコミの注目度の高さを示す懇談会になりました。

懇談会は質疑応答形式で進行しました。飯島終身教授は、名城大学から持ち帰った炭素の試料を電子顕微鏡で分析してカーボンナノチューブを発見し、1991年に論文を科学専門誌「nature」に発表しましたが、発見の時の心境を聞かれました。それに対して「私にとって(大きな発見をした)3回目の興奮だった。私の先生が言うには『一つも当たらないで終わる(大きな研究成果を生まない)』科学者がいるのに、3回も当たった。私は幸運だった」。

 CNTは産業や民生部門での実用化が求められていますが、最近の応用例を尋ねる質問が出ました。飯島終身教授はアメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)でCNTを使ったマイクロプロセッサーができたという大きなニュースを紹介。「これでCNTの応用が進むのかな。アメリカの力はすごい。私自身もこれに近づくべく研究している」と話しました。

近況を聞かれると「まだまだ現役(研究者)のつもりだ。残したことがある。新しいデバイスを作るため、大学の電子顕微鏡に向かい、日々研究している」と答えました。

飯島終身教授は本学教授に就任する前、NEC研究員を務め、今は特別主席研究員です。記者から、NEC研究員のメリットを聞かれると、飯島終身教授は「いい質問だ」と応じ、「当時は、企業の研究所に飛び込むと、大学では買えないような高価な電子顕微鏡が用意され、それを使うと、競合する他の研究者との差別化ができ、成功につながった」と強調しました。

研究者生活で苦労したこと、つらかったことを尋ねられると、「あまり苦労を感じてこなかった。次の発見への期待に胸を膨らませて挑戦してきた」と振り返りました。

ノーベル賞談議とともに日本の科学研究水準の問題にも話は及びました。飯島終身教授は「スタートラインが同じなら、どこの国でも同じ水準にまで行く」という持論を披露し、1975年のベトナム戦争終結後難民になった同国出身の天体物理学者が国際的に評価の高いカブリ賞を2014年に受賞したことを紹介しました。同時に、日本は必ずしも優位ではなく、中国や韓国の追い上げに遭っていることに危機感を示しました。飯島終身教授自身も2008年に同賞(ナノサイエンス部門)を受けています。

フォトセッションも行われ、11号館にある電子顕微鏡に向かうシーンの撮影が行われました。

名城大学 渉外部広報課

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