ナノサイエンスの先駆者・飯島澄男終身教授

ノーベル賞の期待がかかる飯島澄男終身教授 今も獲物を追う

インタビューに答える飯島終身教授

 今年のノーベル賞は物理学賞が10月3日、化学賞が翌4日に発表されます。本学では、2014年の物理学賞を赤﨑勇終身教授・特別栄誉教授が受賞したのに続き、飯島澄男終身教授と吉野彰理工学研究科教授に期待がかかります。メディアも注目し、取材依頼が入っています。飯島教授に天白キャンパスの研究室で近況を尋ねました。獲物を追うハンターのように、今もユニークな研究をやっているようです。

―――1991年にカーボンナノチューブ(CNT、筒状炭素分子)を発見してから26年たちました。

 グーグルに論文引用数サイトがあり、今も私の論文がけた違いに多く引用されているのが分かります。基礎科学は文化のバロメーターと言われますが、基礎科学のすそ野拡大に貢献していると思います。

―――CNTの可能性は。

 いろいろありますが、安価で使いやすくないと、たくさんある競合材料には勝てません。スマートフォンのスクリーンに使われたこともありますが、とてもコストが合いませんでした。良質なだけではダメなのです。

―――今後の予定は。

 日本、中国、韓国3国のCNT研究者の会議が中国の蘇州であります。科学雑誌「Nature」が日本のカーボン研究の動向をまとめた特集を出すというので、メールでのインタビューに答えました。その刊行を待っています。

最近の語録をまとめました。

2016年6月3日、吉久光一学長との対談で
 大学時代は山登りやオーケストラで音楽ばかりやっていました。若い頃は自分が将来何をやろうかと考える時期であり、急ぐことなく興味あることにチャレンジしたらいいと思っています。私は大学4年生の夏休みが終わってから物理の材料研究をやろうと決め、それからは一直線に突き進みました。好きなことには打ち込めますから、若い人にはぜひ自分の一番得意なものを見つけてほしい。 もし失敗したら、 戻ってまた出直せばいいのです。その勇気が大事です。

2016年9月20日、新聞記者の取材に答えて
 理論屋ではなく、私は典型的な実験屋。未知の世界を開くのは楽しい。
 カーボンナノチューブは、20年 の年季で見つけました。電子顕微鏡の経験、体験、知識、いろいろなものがないと発見できません。私は東北大学大学院の初めから電子顕微鏡の技術を磨いてきました。電子顕微鏡は1932年にドイツで発明され、分解能を高めてきました。私が飛び込んだころは機が熟していました。大学院時代は金属原子を観察していました。金属が炭素に変わりましたが、解釈は熟知していました。
 子どものころは虫捕りに熱中しました。高校時代は地学部にいました。中学時代から、科学の面白さを教えてくれた理系の先生に引かれました。電気通信大学時代は岩登りをしました。
 研究者人生を振り返ってみると、自分はうまいこと選択肢を選んできたと思います。

2016年11月15日、CNT発見25周年を記念した国際会議「CNT25」で、CNTの発見を自らセレンディピティ(serendipity、偶然の幸運)と言っていることの真意を尋ねられ
 科学史に残る偉大な発見の半分以上は偶然の発見ですが、発見にはオープンマインドの姿勢をもつことが重要です。

2017年6月6日、本学広報用のインタビューで
 今年は15人の学生がつきました。学生には好きな研究分野を見つけるように指導しています。好きなものが見つかれば、放っておいても研究しますよ。適材適所も大事です。
 研究者はまず好奇心がなければなりません。

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