リチウムイオン電池の発明者・吉野 彰 理工学研究科教授

インタビュー(2017年9月1日)

ノーベル賞の期待がかかる吉野教授にインタビュー

好きな言葉を色紙にしたためた吉野教授

好きな言葉を色紙にしたためた吉野教授

今年のノーベル賞は物理学賞が10月3日、化学賞が翌4日に発表されます。本学では、2014年の物理学賞を赤﨑勇終身教授・特別栄誉教授が受賞したのに続き、吉野彰理工学研究科教授と飯島澄男終身教授に期待がかかります。7月1日に教授に就いた吉野氏は9月28日に天白キャンパスで記者会見に臨む予定ですが、メディアからは出席希望が続々と入っています。それを前に、リチウムイオン電池の開発にまつわる話や好きな言葉などをじっくりと聞きました。

リチウム電池のサンプル

リチウム電池のサンプル

―――リチウムイオン電池開発のブレークスルーは。

 8ミリビデオカメラの電源用電池の小型軽量化を求められていました。そのためには新しい負極材料が必要でした。新しい炭素繊維の研究をしていたら、旭化成社内で他の目的で実験して失敗した例を知り、そこに着目しました。材料メーカーにはいろいろな蓄積があります。失敗例の中に宝物があるはずだとにらみました。同じ社内だからこそ資料を入手できたのです。

―――リチウムイオン電池がここまで普及すると思いましたか。

 8ミリビデオカメラだけでは小さなマーケットで終わっていましたが、携帯電話、スマートフォン、自動車、航空機と利用範囲が広がり、ハッピーな面がありました。1985年の開発のころはこれだけ巨大なマーケットになるとは思いませんでした。

リチウム電池を手にする吉野教授

リチウム電池を手にする吉野教授

―――今後、どのような可能性を持っていますか。

 電源として使うだけではなく、電気を貯める機能に可能性が広がります。発電所の隣に巨大な蓄電システムを造り、電力需要に応じて、蓄電したり給電したりすることです。省資源、省エネルギーのインフラとなると思います。

――吉野教授には「リチウムイオン電池が未来を拓く 発明者・吉野彰が語る開発秘話」(シーエムシー出版)という新書版の面白い本があります。その中で、銀塩フィルム写真、レコード、二次電池を「三種の鈍器」とくくり、銀塩フィルム写真がデジタルカメラ、レコードがCD、ニッケル・カドミウム二次電池がリチウムイオン二次電池に置き換わった理由を論じています。その真意を説明してください。

 変革で消えていくものがあります。白熱電球がLEDに変わったのも一例です。一方で、エジソン(1847~1931年)の時代の発明品で100年以上使われているものもあります。なぜそれほどしぶとく生き残ってきたかを理解し、どう取って代わられるかを見通すことで研究開発の方向性が見えてくるという意味で書きました。

―――好きな言葉を書いてください。

 好奇心と洞察力。好奇心とは監視カメラ、洞察力とはエックス線カメラのようなものです。研究開発では一番重要です。

―――東海地区の企業関係者、企業研究者向けにもメッセージをください。

 中部地方、特に愛知県は自動車産業が世界をリードしています。グローバル化が進む中、世界で勝ち残っていくためには攻めなければなりません。成功例は、グーグルのアンドロイドです。無償で提供し、世界的に普及したら、次には利益を吸い上げていく仕組みをつくる。デファクトスタンダード(事実上の標準)をつくっていくやり方は最近の成功パターンです。自ら開発した技術を、どうせならただで使わせてやるぐらいの姿勢でやらないと、なかなか世界には通じません。そのような世界に通じる新しい技術や人材を愛知県から生み出していくことは、ある意味で私の使命だと思っています。

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